ユニークスケルトン
どこかの地下室。
石で作られた部屋に長い髭を生やした老人と、それに付き従う少女の姿があった。
「そんな物、どうするんだ?」
「うむ、なぜだか奇妙な因果を感じてな」
「気のせいだジジイ」
「ジジイと呼ぶな!」
「で? そんな人間の腕の骨をどうするんだ?」
「無視するなよ......。まあ、仮初めの命を与えてみるかのう。儂の予感が正しいかはいずれ分かる」
「忘れるくせに」
「むぅ......。覚えておるわい」
「この腕の持ち主の事を覚えているのか?」
「むむ」
「ほれ見ろ」
老人はばつが悪そうに顔をしかめながら呪文を唱える。
かつて石原克治の腕であったそれは、新たに命を得ることになったのだ。
「ここも起動しておくかの」
「こんな迷宮を作ることになんの意味があるんだ?」
「まあ、趣味じゃな」
「悪趣味だな」
「うるさいわ!」
老人と少女は部屋を立ち去ると更に地下へと進んでいった......。
そしてグレイポートの西の山中に古の遺跡(超リアル体験型アトラクション)が目を覚ますのだった。
****
(ここはどこだ?)
石造りの部屋で俺は目覚めた。
(思い出せない......。何かに従う存在だったはずだが)
俺はカタカタと音を立てて立ち上がるとゆっくりと歩き出す。
(うわ! 化け物!)
通路を曲がると、目の前には骨の化け物。
スケルトンが3体立っていた。
しかしそれは俺を見ても、襲いかかってくることもなく、ただ立っていた。
俺は武器を探そうと辺りを見回す。
目に入った木の棒を取ろうと手を伸ばした瞬間。
......骨の右腕が目に入った。
部屋に残ったかつての主人の残留思念と腕の骨が持っていた記憶が、腕以外の部分も支配して、ひとつの命として生まれた存在。
ユニークスケルトン
高い知性と主人への忠誠を持つ魔物が、この世界に新たに生まれた。
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俺は木の棒を手に取り、棒立ちのスケルトンの頭にフルスイングする。
1体の頭を吹き飛ばしても、残りの2体は棒立ちのままだった。
残りの2体も頭を吹き飛ばすと、なんだか力が上がったように感じた。
その後も迷宮を回り、襲いかかってくる素振りのない魔物を次々と倒し力の高まりを感じていく。
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どれほどの時が経ったのか分からないが最下層の魔物を倒した頃には、俺の身体は肉を得ていた。
世が世なら魔王と呼ばれるほどの存在が、辺境の迷宮で生まれ落ちた瞬間だった。




