魔法の義手 形状変化の練習
太陽神の降臨が終わり、ディックが以前よりもボサボサになった頭に戻ると本屋の主人が、すごい形相で俺の家まで訪ねてきた。
あの洗剤を売ってくれと言うのだ。
だが一度全てを失い、復活するかは分からないと伝えると、しばらくの葛藤の後に肩を落として帰っていってしまった。
その後も悩み続けているらしく、本屋の前を通る度に唸り声が聞こえるようになっていた。
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俺といえば、金貨10枚で購入した『魔導工学』の本に夢中になっていた。
その夢中ぶりと言えばセリアが嫉妬するほどであった。
俺の右腕に関係しているであろう記述の他にも興味を引かれる内容が沢山あった。
この本の作者は天才なのだろう。
本屋の主人曰く、これは翻訳されたもので翻訳版ですら書かれてからすでに数百年経っているだろうという。
元になった本は更に古いものなのだろうと言っていた。
それにしても何故こんな片田舎に、こんな本が埋もれていたのか......。
いや、こんな片田舎だからこそ、埋もれていたのかもしれないな。
俺が本に夢中になっていると、最初は大人しくしていたセリアも痺れを切らして俺を誘惑してくる。
直接的な物ではなく視覚に訴える誘惑だ。
......俺は頑張った。
ミニスカートでのパンチラ攻撃には耐えた......。だが、裸エプロンでの攻撃にあっさり陥落してしまったのだ。
今夜も我が家は騒がしい......。
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俺の右腕に取り付けられた金属の腕。
セリアにも手伝って貰い本を読み解いた結果、この腕は形状を変化させる事が出来ると書いてあることが分かった。
俺は右腕に意識を集中する。
だが、なかなか右腕は反応しない。
俺はセリアに剣を借りて手に取ってみた。
ギラリと光る刀身に思わず身体が震える。
この金属のイメージが必要なのだろう。
右腕は右腕なのだから普段はイメージの必要は無いのだろう。
言い換えれば右腕のイメージガ出来ているのだろう。
右腕が剣になるイメージだ......。
俺は目を閉じて集中した。
「......」
「......」
「......」
「カツ! 出たよ!」
俺はセリアの言葉に目を開いて右腕を確認する。
そこには多少不格好だが、剣と呼べる物が手首から生えていた。
右腕は集中を切らしても剣の形のままだった。
『闇の触手』と違い、形が出来てしまえばそれを維持するようだ。
俺は再び元の右腕をイメージすると、すんなりと元の形に戻っていった。
「もっと練習が必要だな」
「そうみたいね、でも凄い右腕だったんだね」
「そうみたいだね」
「剣......、買う?」
「う~ん、欲しいけど、とりあえずはセリアの剣を借りるよ。いいかな?」
「うん、いつでも言って」
そして、2人は眠りに就いた。
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その日、俺は郊外の森の中に一人いた。
鍛冶屋で買った鉛を右手に握る。
手の中をドングリのような形になるようにイメージする。
伸ばした人差し指は丸い筒状にイメージして内側には螺旋の溝を描く。
ドングリ状の鉛を指の付け根に運んでいくイメージ......。
見れば形はイメージ通りになった。
拳銃の形だ。
モデルガンが趣味だったおかげか、剣よりも大分楽にイメージできた。
俺は銃口を森の木に向けて、左手を弾丸の当たりに添える。
『火の魔法』を使い、爆発をイメージする。
左腕の特性で無詠唱で発動した魔法は筒状の手の中で爆発して鉛の弾丸を銃口に向けて押し出す。
......破壊力は予想以上だった。
激しい爆発音と共に放たれた弾丸は木に大きな穴を開けて貫通していた。
(口径がでかすぎたかな? 爆発の威力もでかすぎか?)
完全に趣味の領域の行動だが、俺は剣への変化と共に銃への変化も練習する事にした。




