第1話 プロローグ。
「今日中に終わらせなきゃいけないな……」
俺は重いまぶたを無理やり持ち上げながらつぶやいた。
机の上には、エナジードリンクの空き缶が乱雑に散らばっていた。
大学を卒業し、大手防衛産業企業の戦車設計チームに入社してから、いつの間にか10年が経っていた。
入社当初は情熱に満ちあふれていたが、時が経つにつれ、絶え間なく押し寄せる過重な業務に気を取られるようになっていった。
それでも、仕事に対する責任感と達成欲はむしろますます大きくなっていった。
「チーム長、少し休んでください」
隣の席の主任が心配そうな目で声をかけてきた。
「大丈夫だ。俺がやらなきゃ、誰かに押し付けるわけにもいかないしな。最近、黒豹の海外契約が多くて要求も増えてるだろ。忙しいのは当然だよ」
言い終えると同時に息が詰まった。
幼い頃から戦車が好きだった俺は、夢見ていた防衛産業企業の戦車設計チームに入社した時、世界を手に入れたかのように喜んだ。
だが、その喜びも束の間、俺に与えられる仕事はいつも過剰で、責任の重さもまた思っていたよりずっと重かった。
「それでもチーム長、健康が一番です。こうして耐え続けて倒れたらどうするんですか……」
「大丈夫、まだ耐えられる。うちのチームの成果もいいんだ、もう少し頑張らないとな」
俺はため息をつきながらつぶやいた。
上司たちの評価も良く、仕事ができると言われるたびに、そして通帳に振り込まれる金額がだんだん増えていく楽しさに、さらに仕事にのめり込んでいった。
友人たちがちょうど入社し、社員から代理に昇進する頃には、俺はすでにチーム長の座に就いていた。その時の達成感は本当に言葉にできないほどだった。
だが、いざチーム長になってみると、仕事は終わりなく増えていくばかりだった。
以前のように仕事が嬉しく感じられないのを見ると、自分自身もはっきりと疲れていた。このままでは本当に体を壊すという思いがよぎった。
何日も徹夜を重ねてようやく設計図を仕上げてファイルを送った後、メールを確認すると、また新しい要請が届いていた。
一つを終わらせても際限なく押し寄せる仕事に、虚脱感と挫折感が押し寄せてきた。
「何だよ、また追加修正の依頼だと? これをいつ終わらせろって言うんだよ……俺はもう、全部放り出したいくらいだ」
「まあまあ、それでも最年少チーム長じゃないですか? 社内で本当にすごい人材が出たって噂で持ちきりですよ?」
主任が励ましの言葉をかけてきたが、心の奥底では虚しさと怒りが入り混じっていた。
『本当にこんな生き方でいいのか? 毎日疲れ果てながら、ここまでしなきゃいけないのか……』
尽きない疑問と息苦しさが胸を重く押しつぶす日々が積み重なり、いつの間にか数年が過ぎていった。
そうして狂ったように働くうちに、ある日また新しい噂が広まり始めた。
「次期核心技術開発室長の座にチーム長が有力だという噂だけど?」
「本当にすごいな。30代半ばで室長だなんて……」
周囲の同僚たちの言葉に謙虚に答えた。
「はっ、室長? 買いかぶりだよ。まだ決まったわけでもないのに」
正直、気分は悪くなかった。好きだったプラモデル組み立てと第二次世界大戦の戦史研究も諦めて仕事に打ち込んできた甲斐があったと思った。
だが、その代償として払わなければならないものがあることに気づくまで、そう長くはかからなかった。
「チーム長、また徹夜されたんですよね? 最近顔がひどくやつれてますよ。もう一週間も家に帰れていないし……このまま本当に倒れたらどうするんですか?」
主任のいつもの心配混じりの声に、大したことないというように顔を上げた。
「あ? ああ。でも、K-2の与圧装置の設計は終わらせたから大丈夫だ。もう限界だよ。今日は早めに帰って休むから、急ぎの用があれば電話してくれ」
主任に業務を任せ、溜まった洗濯物のバッグと家で仕上げる設計図を持って駐車場へ降りた。
最年少室長の座に就いた達成感も束の間、このままでは本当に自分の体が持つのか疑問が湧いた。
車に乗り込んだ俺は、いつもの癖でタバコを口にくわえた。だが、ライターを取り出す気力すらなく、そのままタバコを唇の間に挟んだままにした。
エンジンをかけたが、車を動かす気にはなれなかった。押し寄せる疲労にほんの少しでも目を閉じたくて、シートを後ろに倒した。
疲れた目を閉じると、ふと幼い頃、机の上に並んでいた戦車のプラモデルたちが思い浮かんだ。
夜通し組み立てながら夢見ていたあの頃が、はるか遠くに感じられた。
『あの時からだったか……この手で最高の戦車を作ると誓ったのは……』
だんだん重くなるまぶたとともに、全身がだるくなっていった。
意識が薄れていく中でも、第二次世界大戦の戦場を駆け巡っていた戦車たちが夢のようによぎっていった。
『ただ少しだけ休むか……』
深い疲労が押し寄せ、最後に残っていた意識までもが、ゆっくりと闇の中へ吸い込まれていった。
そしてその瞬間、はるか遠くから聞こえてくるような砲声とともに、全身が奇妙な感覚に包まれた。




