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ずっと気になってた人
そんなある日、少年に少女が問う
「ねぇ・・何か悩んでる?」
少年の顔色があまりにも暗かったから聞いたのだが少年は、
「ん?何もないよ?」
「やっぱりなんか変だよ」
少年の答えに反論する。
最近こんなことが増えてきた。
「恋煩いとかしてるでしょ」
少女が聞いた。こういう時の女の勘は怖いほどよく当たる。
「・・・うん」
少年はそれとなく答えた。
「どんな人よ」
少女の質問はどことなく遠回しだ。
「ずっと気になってる人」
少年は頬を赤らめながら答える。
「いつから?」
「ずっと前から」
段々、双方が食い気味になっていく。
少女が耐え切れなくなったように聞く。
「で、結局誰なのよ」
「・・・誰だと思う?」
あえてはぐらかそうとする少年に少女は切れた。
「わかるわけないじゃない!」
「ごめんって・・・あなただよ」
少年は謝罪をはさみながらやっと答えた。
「それって・・・私?」
「そう」
不思議な空気感がそこにはあった。