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純粋に空想世界を楽しみたい!  作者: 倉科ユウ
9/9

リアル人生ゲーム~なるみside~

 美咲先輩が作ったこのリアル人生ゲームの世界。


 一ターン目にして、テレポートのカードを手に入れてしまった。


 いったいどこへテレポートされるかはわからない。だが、夕希先輩や美咲先輩、柚葉や白奈の目の前でビュンッと消え去るなんてとてもかっこいい。

 ぜひ、カメラなどで私の消え去る瞬間を撮ってほしいが、ここは空想世界。それができないのが唯一残念なところだ。



「さて、これをいつ使うかですが……」 


 最後の方で使うとみんながバラバラになっている可能性が高いので見てもらえないかもしれない。

 だったら早めに使うほかないだろう。


 ボワンとルーレットが目の前に現れた。

 どうやら私の番が回って来たらしい。



「みなさん見ててくださいよ!」


 ではさっそく―――――――――――



「我こそは時空を操りし者なり! テレポーションッッ!!」



 瞬間、目の前の景色がかすれ、気づけば今までの目の前に町が広がる景色とは一変していた。


 空が近い。あたりは何やらもくもくとした白い煙みたいなものが漂っている。


 そしてその煙の向こうに見える遥か下には先ほどまでいた街の景色が………



「って、えぇぇぇぇぇ! 落ちる! 落ちますって!!」


 私は雲の上にいた。


 別に高所恐怖症といったわけではないがさすがに何もないフラットな状態でこんなところに連れてこられたら誰だって怖いだろう。


 と、思ったがなんだか足元がやけに安定している。

 見てみると地上と同じようにマスが続いていた。


 足元が光り文字が浮かび上がってくる。



 『ようこそ天界の世界へ。あなたは選ばれし者。ここから続く道からゴールまでお進みください』



「私が選ばれしもの………」


 思わずにやけてしまう。


 な、なんていい響き! これは私の言われてみたい言葉トップテンに入る言葉だ。


 目の前にルーレットが現れる。

 どうやらアイテムを使った後でも進めるらしい。


 私はルーレットを回して出た数、七だけ進んで足を止めた。


 そこで出たイベントは次のようなものだ。



 『他プレイヤーを一人、十五ターンの間一ずつしか進めないようにする』


 選択肢は夕希、美咲、柚葉、白奈、ランダムの五択。

 

 ………ここはランダムにしておこう。一人名指しで選ぶというのはなんだか抵抗がある。


 ただ、なんとなくだが美咲先輩が当たりそうな気がする。………本当になんとなくだけれど。


次のターン。私が止まったマスで発生したイベントは



 『木になった果物を収穫せよ。収穫した分褒美を授ける』



 さっきもそうだったが、どうやら地上の方と違ってこっちは人の行動に干渉してくるようだ。


 それよりも今回のイベント内容だ。

 聞く限りによってはとてもおいしい内容ではないか。

 一攫千金のチャンスだ。



 そう考えていると、突然また床が光り思わず目を瞑ってしまう。

 しばらくし光が収まり、目を開けると目の前にはたくさんのリンゴの木が。


 そして同じく浮かび上がってきた数字はきっと残り三十分を知らせるものだろう。


 私は木と同様に現れた大きな袋を片手に、懸命にリンゴを収穫し始める。

 だってたくさん獲るれば獲るほどお金が手に入るわけですから懸命にならざる負えません。



 そして三十分後、時間終了を告げる合図とともにリンゴの木が消え始める。


 私の持つ袋には約五十個ほどのリンゴが収まっている。


 さあて、どれほどの額が手に入るのでしょう。だいたいこういうものは一つ百万くらいで換金されるから五千万円くらいだろうか。


 私がそう希望を膨らませていると再び文字が浮かび上がってくる。





 『成瀬なるみはリンゴを四十八個手に入れた』




 ………………………………………………。




 私はこのとき理解した。



 そして諦めた。


 

 このゲームでまともさを求めることを………





 



 




 


 



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