【90】 二人の女騎士
リベンジへ帰宅するとソレイユは自然と離れた。ちょっと名残惜しさも感じながら部屋へ向かおうとすると、ルナが現れ、俺の目の前に立った。
「カイト様。とても心配しました」
「ごめん。ソレイユに付き合ってた」
「そう、ですか……」
明らかに声のトーンを落とし、元気がなさそうだった。――いかんな、変な誤解をされる前にきちんと事情を話しておこう。
「大丈夫だよ。ソレイユを守る為だったから。どうやら彼女はストーカー被害に遭っていたようでね。それを解決して来たんだよ」
「……そうだったのですか。ごめんなさい。わたし、妙な勘繰りを」
「ん?」
「い、いえ! 何でもないのですよ。それより、カイト様。ご飯にましょう」
「そうだな、お腹ぺこぺこだ」
晩飯を戴き、風呂やら何やら済ませればあっという間に就寝となった。
――次の日。
いよいよ帝国へ旅立とうとしたのだが、この店『リベンジ』に二人の女騎士がやって来た。あれは、ソレイユと同じ『帝国の騎士』だな。やはり短いスカート。上等な剣を腰に携え、凛々しくソレイユを出迎えていた。
「おはようございます。ソレイユ様」
「おっはー、ソレイユ」
先に丁寧に挨拶したのは、変わった髪の色をした女騎士だった。派手な焦げ茶というか、色々混じっている。流行りのメッシュってヤツかな。ソレイユよりも胸があり、姿勢も良かった。生真面目な雰囲気だ。
軽い挨拶をした方は背が低く、ミーティアに近い風貌だった。けれど、赤髪は目立つな。ショートボブで可愛いけど。
「クレール、アメリア……どうしたの?」
クレールと呼ばれた少女が俺の方へ。
いきなり頭を下げた。
「まずは謝罪を。カイトさん、あなたの店の炎上騒ぎ……駆けつけた時には既に放火されていた後だったのです。間に合わなくて申し訳ありませんでした。ですが、すぐにパナシーアの方たちが声を掛けてくださいまして、団結をと――」
なるほどね。道理であの時、ソレイユの部下の姿がなかったわけだ。しかし、あの即席連合に加わってくれていたんだな。
「いや、いいんだ。放火したのはシャロウだし、キミたちは何も悪くない」
「ですが……なんとお詫びして良いか」
「詫びる必要はない。俺たちはこれから『帝国』へ向かう。そこで新しい店をやるよ」
「そうでしたか。ではソレイユ様、我々と共に帰りましょうか。宜しいですね」
「帝国へ帰ろ~」
そう二人はソレイユを逃がさんとばかりに距離を縮めていた。なんか囲まれつつあるぞ、アイツ。
「ちょっと待って。あたしは【ワンマンアーミー】よ。自由行動を許されているの。だから、帰るとかないし。カイト、助けてよ!」
「――お、おい。ソレイユ、俺の背中に隠れるなよ」
「む、ソレイユ様。カイトさんとそういう仲なのですか!?」
「ま、まさか! 彼氏なの~?」
クレールは疑問の眼差し。アメリアはきゃっきゃとしていた。なんだか勝手に盛り上がっているな~。さて、変な誤解をされる前に――
「な、なわけないでしょ。カイトはあたしの旦那様よ!」
「って、うぉぉぉい!!」
なに勢いで言っているんだ!




