【86】 Lv.3755
なぜギルドの前に。
このセイフの街にはいくつかギルド拠点がある。その内のひとつが【ニュートラル】だった。しかも中堅クラス。その建物はアイテムショップよりも大きい。
「ソレイユよ、これはギルドにしか見えないが」
「ええ、ギルドよ。カイトお願い、今だけレベルを全部あげて」
「ん、今だけ? って、誰の?」
「あんたのよ。今、レベルいくつだっけ?」
「調整して今は『100』だよ。全部って『Lv.9999』になるだけだがな」
「それでいい! カンストした状態でギルドへ一緒に入って欲しいの」
「……構わんが、手数料は膨大だぞ。払えるのか?」
「今は余分なお金を使っている余力はないのよね、あたし。帝国へ行けばおジジからお小遣いが貰えるかなぁ。う~ん……うん。じゃあ、こうしましょ」
ソレイユは手を鳴らすと、こう提案した。
「あたしを好きにしていいわ。どんな風にしてもいい。だからお願い」
「お、お前な……どうしてそこまで」
「カイトが一番信用出来るからよ。それじゃ、ダメ?」
――こ、ここまで言ってくれるとは。けど、
「身売りはダメだ……だから――」
……ソレイユのヤツ、顔が真剣だ。
訳ありか。これは冗談で済まさない方が良さそうだな。
とりあえず俺のレベルを最大に上げ、ギルドの中へ入ると――
「ソレイユ様! む、その男はなんだい。って、カイト!?」
「誰だっけ」
「おい! 私だよ。この前助けに行ったじゃないか、セントラルだ」
ああ。セントラルね。
――遡ることシャロウ時代。
俺は『レベル売買』スキルを使いまくり、帝国で荒稼ぎをしまくっていた。あの時は一瞬で億万長者してたっけ。でも残念ながら『シャロウ』の資金源になっていたけどな。
そんな噂を耳にしたのか――ある男が『レベルを上げたい』と訪ねてきた。それが優男の『セントラル』だった。しかもこいつは冒険の為ではなく、ある女を口説き落としたいからだと言っていた。
――ああ、そうだ。
どうなったのか聞いていなかったな。
「久しぶりだな。で、当時の女はモノに出来たのか?」
「残念ながらな。けどな、今日ついに結婚を申し込む」
「おお! マジか。うまくいったら結婚式に出るよ」
「ありがたい。――ということで、ソレイユさん。どうかな、私は今やあなたのレベルを超えて『Lv.3755』だ。この私と結婚してくれ」
……??
ソレイユ?
はぁ!? はぁぁぁあ!?
まさか……当時、セントラルが狙っていた女って……!
ソレイユかよ!




