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【87】 Lv.9999

「ごめん、無理。あたしにはカイトがいるし」


 不快そうな表情でソレイユは返事を返した。

 こんな顔初めてみたぞ。こわー。



「なんだって!?」



 セントラルは驚愕(きょうがく)していたが、納得もしていた。


「……だろうと思ったよ。二人で来るからおかしいと思っていたんだ。――でもね、教えてくれ……カイト、君は本当にソレイユさんが好きなのか? そもそも、お前のレベルじゃ釣り合わないだろ。彼女は高レベルの男性がタイプなんだぞ!」


 急に口調が(あら)くなるセントラル。

 そんな(ねた)ましいぞ、みたいな目で俺を見てくれるな。



「カイトは『Lv.9999』よ」



 ソレイユは、現実をセントラルに突き付けた。

 それは間違いない。『レベル売買』スキルで上げたからな。



「……なっ、なんだと!! 9999!?」



 そうぷるぷる震え、嫌な汗を垂らすセントラルは俺をバケモノでも見るような目をしていた。隣にいるソレイユはドヤ顔で俺の手を取り――まさかの恋人繋ぎを。


 うわぁっ、柔らかい……手小さいな、コイツ。



「ごめんなさいね~。あたし、最高レベル(・・・・・)の人間しか興味ないの。あんたみたいな低レベルは視界にも入らないわ」



「そ、そんな……。カ、カイトお前……帝国で取引をしたあの時、自分のレベルを上げないと言っていたじゃないか! アレは(うそ)か!!」


「いつの時代の話をしているんだお前は。俺はもうシャロウのメンバーではないよ。今の俺には本当の仲間がいる。ソレイユはそのひとり。大切な女の子なんだ」



 ソレイユの顔が赤くなって、手に力が入っていた。

 なんでそんな泣きそうな顔してんだか。



「く、ぐぅ……! で、では……私とカイトは恋のライバルということだ。いいさ、仮に付き合っていたとしても君を奪ってみせるよ、ソレイユさん。そして【中立国・サテライト】へ駆け落ちしよう」



 諦めの悪い。

 そんなソレイユもさすがに嫌悪を(あら)わにし、



「うっざ……。ないわ」



 そう吐き捨てた。

 それからソレイユはそっぽ向いて俺を連れ出した。



 ◆



「お、おい。いいのか」


「いいのよ、あんなの。しつこい男は大嫌い! あたしは、カイトみたいな帝国紳士が好きなの。あと波長が合うっていうか、退屈しないし……なんかさ、カイトって家にいるような安心感があるのよね」


 息を()むほど美しい赤青のオッドアイが俺だけを映し出していた。ソレイユのこの明眸(めいぼう)には吸い込まれそうになるな。てか、そうベタ()めされると顔が熱くなるほど照れる……。



「ありがとう」

「礼はいらないわ。だって、付き合わせちゃったのあたしだもん。ごめんね」


 実はソレイユって堅実(けんじつ)なのかも。

 てかそうだろ、絶対。これは一度確かめる必要があるな。


 でもその前に。


「ソレイユ。一度実験してみていいか」

「うん? 実験?」


 俺は、ソレイユの桜色のモミアゲ(髪)にさりげな~く触れてみた。


「あー、触りたかったの~。別にいいけど」


 ぜんぜん嫌がらない。

 それどころか笑顔で俺の頭を()で返してきた。


 まさかの反応。


 ソレイユの俺に対する好感度、いつの間にこんな爆上げしていたんだ。



 これは意外すぎた。

 あとはソレイユの『闇』を暴くだけか。

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