【83】 ビッグファイブ
「いやでも――これは受け取れないよ。3億は大金すぎる」
「遠慮するな。未来のイルミネイトへの投資さ」
「イルミネイトは全焼しちまったけど」
「言っただろう、未来と。帝国の話だ。向こうで新規オープンさせるのなら、金が必要だろう。だからこれを使ってくれ」
「いいのか……?」
「良い。私は錬金術師だが、その本質は商人でね。だから、カイトの苦労もよく分かるし、志は一致している筈だ。なんの不都合もない。それに、あなたへの投資はとても価値がある。私はシャロウとは違い、その人間の『ビッグファイブ』を見極める性分でね」
ビッグファイブ。
心理学のアレな。外向性、神経症的傾向、協調性、開放性、誠実性だったか。覚えている俺もスゲー(自画自賛)。
これは驚いた。
ワンダのヤツ、かなり大人だった。
でも多分、俺というよりは『ルナ』の為だろうけどな。
「印象が変わったよ、ワンダ。良い人だったんだな」
「それはどうかな」
なにやら含みを持たせているようだが――違うな。
部屋を無償で貸してくれるし、あのリーベも優しいし、なにより資金まで提供してくれる。普通はここまでしてくれない。
「ワンダ、わたしからもお礼を申し上げます。ありがとう」
ぺこっと姿勢よくお辞儀するルナ。その光景にワンダはギョっとして慌てていた。……ん?? なぜ、そんなアタフタしているのだろうか。
「ル……ルナ、それは困る」
困る?
……やっぱり、な~んか怪しいな。
◆
自室へ戻ると、俺のベッドの上にミーティアが座っていた。
まるで置物みたいだな。
「ん、どうした」
「その、カイト。明日には帝国へ行くのですよね?」
期待の笑みを浮かべ、金の髪を揺らすミーティア。顔が近い。こうして見ると『おでこ』が広くて可愛いんだよなぁ。恐らく、ミーティアのチャームポイント上位に入るだろう。
「そうだな。ワンダのおかげで当面の資金も出来たし、帝国でたくさん稼ぐぞ。――で、ミーティアの借金も全額返済してやるからな。俺との約束だ」
「本当ですか!? ありがとう。私、借金返済もそうですけど、なによりもカイトの為に頑張りたいんです。だから、仕事をいろいろ教えて下さい。全力で邁進して参りますから!」
今日のミーティアはやる気満々。俺の為とか嬉しいこと言ってくれるし、こりゃ、ミーティアの成長が楽しみだなぁ。




