【32】 特別割引
「悪かったよ、ルナ」
「…………」
ぺこっとお辞儀して、ルナはキッチンへ行ってしまった。……あちゃ~、やっちまったか俺。あとできちんと謝ろう。
「カイト、ルナさんはどうされたのですか」
「さ、さあな。さて、俺はちょっとアイテムショップでも行くかな。ミーティアも来るかい?」
「はいっ。ずっと掃除ばかりでしたので、気分転換をしたいと思っていたところです」
◆
このセイフという街は、帝国から離れているせいか治安はそこそこ。人口は数千と小規模だった。けれど、帝国からやって来る冒険者や関係者が度々通りかかる為、そういったヤツもチラホラ見かけた。
「なんか、睨まれているような……」
「どうしたのですか」
「いや、なんでもないよ、ミーティア」
……まさか、この『シャロウ』のエンブレムのせいだろうか。
外出時は隠した方が良さそうだな。
「?」
「いや、行こう」
アイテムショップ『インパルス』へ入った。
「らしゃーい…………って、シャロウ!? い、いらっせいませ……。世界一のギルド様がまさか、こんな街にいらしていたとは。帝国で活動なさっていたのでは……?」
今日はすぐ反応があった。
やっぱり、このエンブレムの効果は絶大だな。とりあえず、誤魔化しておくか。
「俺は、事情があって単独行動を許されていてね」
「そ、そういう事でしたか。シャロウにはお世話になっておりますゆえ、関係者様には特別の割引をしておりますので」
ああ、知ってる。他の街でもそうだから。
だから、とことん利用させてもらうよ、シャロウ。




