【33】 錬金術師
足りない日用品を購入した。
茶葉とかお菓子、ルナへの土産とか。これで機嫌を直してくれるといいんだがなー。うーん、うん。きっと、ルナなら分かってくれるはずだ。
お店を出て、少し歩いたところ。
それは突然起きた。
「――――なっ、囲まれた!」
数人の人間が俺たちを囲んでいた。
いや、亜人もいるのか。耳と尻尾があるヤツもいるな。
「カイト、これは……!」
「……っ、どうして俺はこうトラブルに巻き込まれやすいんだかな」
己の運の無さを恨むよ、本当に。
いや、でも本当の運なのか? ……まさか、エンブレムを利用したツケか。だとしたら、こいつらは『シャロウ』に恨みがある!?
様子を伺っていると、ひとりが前へ出て、
「…………そのバツ印……『シャロウ』で間違いない。所属メンバーだな」
そう静かに言った。
女……錬金術師の女の子か。ソレイユ並の際どい衣装に身を包んでいるな。そういうファッションが流行っているのだろうか。
「いや、俺はもうメンバーじゃない」
「メンバーではない? では、そのエンブレムは何だ」
「これはそういう飾りだよ。ほら、よくあるだろ。お土産屋とかでさ」
それらしい作り話で誤魔化してみた。
しかし、
「笑わせるな。それは紛れもない『シャロウ』のエンブレム。そもそも、エンブレムの不正は絶対に出来ない。それが世界とギルドの理であり、厳格な掟。ルールだからな。それに、あなたの顔はどこかで見た覚えがある」
「……っ!」
まずい、俺の顔を知ってるヤツか。
女はさりげなく構えつつ、確認してきた。
「最後に聞きたい。あなたは今はどういう立場だ?」
なぜそれを聞く。
ここは素直に答えた方がいいのか――それとも。




