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僕のペナントライフ  作者: 遊馬 友仁
73/78

幕間その4〜決戦・日本シリーズ!オリックス対阪神〜その③

 10月29日(日)


 やはり、バファローズは強かった――――――。


 試合が動いたのは、3回裏と少し早かったものの、相手の動揺をついて、一気に得点を重ねる場面は、まるで、前日の試合が、そのままひっくり返ったような一方的な展開となった。


 我がチームの先発・西勇輝(にしゆうき)が、自らのミスをきっかけに失点を喫してしまった一方、バファローズの先発・宮城大弥(みやぎひろや)は、1点リードで迎えた4回表のピンチも、ノイジーを少し外寄りに落ちていく変化球で空振り三振に仕留めた。

 ノーアウトから中野(なかの)が出塁し、エンドランを敢行したものの、森下(もりした)の強引なバッティングでダブルプレーとなり、その後、大山(おおやま)佐藤輝明(さとうてるあき)の連打で作ったチャンスを活かしきれなかった4回表の攻撃が、この試合の勝負の別れ目になった様に感じる。


 前日の試合と同じように大差はついたが、そのきっかけは、バッテリーのわずかな動揺や、些細なミスだ。

 その小さなほころびをつける両チームは、さすがに、圧倒的な差でペナントレースを制し、クライマックスシリーズも危なげなく勝ち上がって来ただけはある。


 この日は、前日に作っておいたクリームシチューの残りにトマトケッチャップを投入したソースで、トマトクリームパスタを作った。

 パスタの味は、彼女にも好評だったものの、我がチームが大敗したことで、僕にとっては好ましい味とはならなかった。

 

 【本日の試合結果】


 プロ野球日本選手権シリーズ オリックス 対 阪神 第2戦 


 オリックス 8ー0 阪神


 バファローズ・宮城大弥(みやぎひろや)、タイガース・西勇輝(にしゆうき)の先発で始まったゲームは、3回裏に西の牽制悪送球で3塁に進んだランナーを西野真弘(にしのまさひろ)がタイムリー3ベースで返して、1点を先制。続く4回裏には、野口智哉(のぐちともや)廣岡大志(ひろおかたいし)中川圭太(なかがわけいた)の連続タイムリーが飛び出して3点を追加。

 終盤にも追加点をあげたバファローズが大勝し、シリーズの対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。


 ◎10月29日終了時点の日本選手権シリーズ成績

 

 阪神タイガース     1勝

 オリックスバファローズ 1勝

 

 ※


 10月31日(火)


 シリーズ第3戦から、決戦の舞台は阪神甲子園球場に移った。


 阪神電鉄なんば線のドーム前駅から快速急行に乗車すると、阪神尼崎駅を経由して、わずか20分で到着する距離にもかかわらず、「移動日」という名目の日程が組み込まれていることに、各方面からツッコミが入っていたが、なにはともあれ、近距離で行われる日本シリーズは、関西地方で大きな注目を集めている。


 この日は、彼女の帰りが遅いということで、自宅で試合を観戦した。

 一人でとる食事になるということで、夕食は、簡単にできる冷凍うどんで済ますことにする。


 期待と不安の中で、始まった第3戦は、我がチームが2回に先制したものの、中盤にホームランで同点に追いつかれ、その後、エラーをきっかけに逆転を許す展開となった。


 これまで、確実に取っていた内野ゴロでダブルプレーを取れずに残ったランナーや、その後のエラーにつけこんで得点するなど、やはり、バファローズは侮れない相手だ。

 

 9回裏に、一打同点、長打が出れば逆転サヨナラの場面で、大山が、フルカウントから平野佳寿が投じた変化球で空振りに打ち取られた瞬間、


「あぁ……アカンかったか……」


と、ため息をつき、肩を落としたが――――――。


 それでも、日曜日の第2戦とは異なり、5対1とリードを広げられてから、終盤に3点をあげて1点差までつめ寄り、最終回もチャンスを作って、あと一歩のところまでバファローズを追いつめた展開には、明日以降の試合に希望を持てるものだったと感じる。


「明日は、頼むで大山……」


 心のなかで願ったことが、つい口をついて出てしまう。

 

 そうして、明日の試合に想いをはせていると、僕の心を癒やしてくれる相手から、LINEメッセージの着信があった。

 

 ==============


 帰ってきて試合を観てたよ!


 今日は、惜しかったね。


 明日は、また私の家で

 試合を観戦しない?


 ==============


 もちろん、彼女からのお誘いを断る理由は、僕にはない。

 平日ながら、翌日の水曜日も彼女の家で、日本シリーズを観戦することになった。


 【本日の試合結果】


 プロ野球日本選手権シリーズ 阪神 対 オリックス 第3戦 


 阪神 4ー5 オリックス


 タイガース・伊藤将司(いとうまさし)、バファローズ・東晃平(あずまこうへい)の先発で始まった第3戦は、2回裏にタイガースが内野ゴロの間に1点を先制したものの、バファローズは、4回に頓宮裕真(とんぐうゆうま)のソロホームランで追いつき、5回表には、内野ゴロの間に1点を勝ち越したあとも、伊藤の送球エラーにつけ込み、このシリーズここまでヒットのなかった宗佑磨(むねゆうま)が2点タイムリーを放ち、試合を優位に進める。

 タイガースも7回裏に、ルーキー・森下翔太(もりしたしょうた)のタイムリーで1点差までも追い上げるも、バファローズのリリーフ陣も踏ん張り、9回裏には、一打同点の場面で守護神・平野佳寿(ひらのよしひさ)が、タイガースの4番・大山悠輔(おおやまゆうすけ)を空振り三振に打ち取り、このシリーズ2勝1敗と一歩リードした。


 ◎10月31日終了時点の日本選手権シリーズ成績

 

 阪神タイガース     1勝

 オリックスバファローズ 2勝

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