表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/1061

荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――




 "バレエ座の怪人":

 「チューリング――チューリング、メイドノヒキャク…。

  イルゾン・サン・ルコネッサンス――ァンバリァブルマン……」




 ―――――――――――――――――――――――――




 "マグロの母親":

 「実際、あの子 ["すっぽん"] は

  ――去年

  世界では勝ててなかったでしょ?

  ――今年はどうだか………。


  海外では、

  あの子 ["すっぽん"]、

  全然評価されてないじゃない……

  ――芸術点だって低いし…

  ――トランジションは甘いし……。


  気にする事ない。


  柔軟加点だって認定の最低限を

  『やっと』

  クリアしている――そんな程度でしょ?


  あんたのレベルに行ける筈がない。


  あの子 ["すっぽん"] に

  あんたの

  <孔雀の尾 [ピーコックステイル]>

  が出来るの?

  ――出来ないでしょ?


  それに

  『勝ててる』

  って言ったって………

  ――国内でだけ。

 

  あんたの方が、サーキットポイントは高いんだよ

  ――忘れたの?


  <全国大会>

  の順位は、

  海外派遣に選ばれる上では

  重要だけど、

  海外に行ったら

  問題じゃないでしょ?


  それに

  五回転SJ [スピンジャンプ] って言ったって

  アクセルが出来るわけじゃないし、

  まだFJ [フォーロールジャンプ] も

  ――BJ [バックロール] も

  『三回転が入った』

  って話はない」




 ”重力スケート”

 の世界は

 <狭い>

 為、すぐに

 ――競技者の

 噂が広まる。




 その上、

 シーズンオフでは

 ――新しく

 ――難しい技に挑戦する

 ――多くの選手が

 全国に散らばる競争者への牽制の為に

 <新しい技の成功例>

 を、仮想空間に

 ――映像ニュースとして

 流す

 そんな傾向にある。




 見せびらかす事で、

 ライバルの気を挫こうとする――


 駆け引き。




 また、

 "マグロの母親" は

 ”ドラフト”

 時代に鍛えられた情報収集能力で

 ”重力スケート”

 に於ける

 全国の有望な少女達の出来栄えを

 知る事が

 可能だった。




 以上の点から――


 「もし ["すっぽん" が新しい技を]

  出来てるなら、

  話がとっくに

  ["マグロの母親" のトコロに]

  来ている筈……――」


 と

 ――"母親" は

 結論付けた。




 そして


 「だから心配する事はない」


 という主張を

 続いて

 導き出そうとするが――




 "マグロの姉":

 「でも、["すっぽん" は]

  BJ [バックロール] の三回転に挑戦してる

  って…――」




 ――と反論がある。




 "マグロの母親":

 「誰に聞いたの?」




 そこで、"マグロの姉" は、名前を上げた。




 それは、

 <"マグロの姉" と同じ練習場に通っている子供の名前>

 だった。




 その

 <"マグロの姉" と同じ練習場に通っている子供>

 の "友達" は、

 <"すっぽん" と同じスクールに通っている>

 という。




 "母親" は

 娘に

 詳しい説明をさせなかった。




 "マグロの母親":

 「……『BJ [バックロール] の三回転に挑戦してる』

  って言ってるって時は

  ――大体

  まだ出来ていないって事」




 そう断言した上に――




 "母親":

 「大体、

  『挑戦してる』

  って言い方は、

  『まだ高確率で成功する程安定していない』

  って意味なんだから。


  だってそうでしょ?

  ――実際に出来るなら

  ――やればいいんだから。


  前に

  あの子 ["すっぽん"] が

  学校のスケートショーに出た時の映像を見たけど、

  BJ [バックロール] は、

  一回転だったよ………」




 因みに、

 将来有望なスケート選手は

 ――どこの学校でも

 表彰され、

 演技を

 全校生徒の前で

 見せる機会があるものだ

 ――"マグロの姉" も

 ――何度も

 ――学校で

 ――滑った。




 [※ただ――学校のショーで本気を出す者はいない]




 "マグロの母親":

 「それに

  BJ [バックロールジャンプ] の三回転・単発より、

  あんたのSJ [スピンジャンプ] 四回転、四回転、四回転

  の方が

  点数高いんだよ

  ――前も言ったけど」




 耳に蛸が出来る程、繰り返された事。




 同じ言葉ばかりで

 口内が酸化する程。




 それでも――"母親" は繰り返した。




 "母親":

 「もっと自信を持ちなさい

  ――物事の悪い面ばかり見るのは

  ――あなたの悪い癖なんだから」




 "マグロの母親" は知っていた

 ――スポーツは

 ――メンタルで

 ――左右される

 ――事。




 "マグロの母親":

 「とにかく、今年は気を付ければいいの。

  あの子のペースに乗せられたら終わり。

  メンタルを強く持てば良いだけ。


  とにかく

  <顔見世>

  では、徹底的に避ける事。


  去年だって、

  接触に見せかけて

  あの子 ["すっぽん"] に


  ”殴られた”


  子がいるんだから」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ