表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/1061

荘厳なる少女マグロ と 運動会

 "母親":

 「…さっきの何?」




 "マグロ" と "姉" の姿が見えなくなるや否や、

 "母親" が切り出した。




 言葉は――


 「峠」


 「峠」


 ――針鼠の様。




 "父親":

 「……娘を

  <ショーフ>

  にでも

  するつもりなのか?」




 "父親" は

 ”同じ種類の物”

 を返した。




 "母親":

 「は?」




 "母親" が "父親" を見た。




 "父親":

 「君は、娘を

  <ショーフ>

  にでも

  するつもりなのか?」




 "父親" は見返さなかった。




 "母親":

 「何言ってんの?」




 "父親" は

 ――突然

 "母親" の口調を真似する様に、

 言った――




 "父親":

 「もっとケツを突き出して!」




 "父親":

 「もっと優雅に!!」




 "父親":

 「男を誘惑する様に!!!」




 "父親":

 「女らしく!!」




 コム・ァン・フー。




 そして――




 "父親":

 「いつの時代のジェンダーかんだよ………」




 全ての台詞は、嫌味に満ち溢れている。




 "母親" は腹を立てた。




 "母親":

 「だってしょうがないでしょ?

  ――勝つ為なんだから……」




 "父親":

 「勝つ為なら

  娘を

  『くねくね』

  <ショーフ>

  みたいなマネさして

  いいのか?」




 "母親":

 「だって<芸術点>がそう…」




 "父親":

 「<芸術点>なんて馬鹿げている」




 "父親" は言い切った。




 "母親":

 「何を今更……」




 "母親" は "父親" を見ないようにした。




 "父親" も、相手を見なかった。




 "父親" は黙った。




 "母親":

 「どうしたの?」




 "父親":

 「別に」




 "母親" は "父親" を見た。




 "母親":

 「今日はどうしたの?」




 "父親":

 「どうもしない」




 "母親":

 「文句があるなら話し合いましょう?」




 "父親":

 「………話し合えるのか?」




 "父親" は

 ――横目で

 "母親" を見た。




 "母親":

 「試合が終わったら……」




 "父親":

 「これまで、

  何十回と

  試合が終わったが、

  話し合いを

  したか?」




 "母親":

 「これまで何も言ってくれなかったじゃない!」




 "父親" は黙り込んだ。




 "母親" は

 ――機に乗じて

 相手を追い詰める様な事を

 しなかった。




 ただ視線を逸らしただけだった。




 "父親":

 「ただでさえ君は、

  ”機密情報を管理する仕事”

  をしている。


  だからこそ…――


  だからこそ、

  あまり話せなくても

  『しょうがない』

  と思っている。


  愚痴を分かち合う事さえ、

  自分等夫婦には出来ない。


  でも……――


  話し合えるのか?」




 "母親":

 「子供の事は違うでしょ?」




 "父親":

 「自分は、娘を

  <ショーフ>

  なんかにさせたくない!!」




 そして――言った事を繰り返した。




 そこで――




 "母親":

 「わたしだって………」




 "父親":

 「でも――」




 相手を遮ってから――




 "父親" は、言葉を切った。




 すぐに繋いだ。




 "父親":

 「最近あの子等にやらせている事は、

  <ショーフ>

  みたいなマネばかりじゃないか……

  ――それも

  ――あんな小さな子供に…」




 "母親":

 「もう子供でもないでしょ?」




 "父親":

 「子供だよ」




 "母親":

 「とにかく――今日は止めて」




 毅然と言った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ