2話 DATALESS
私は、変哲もない教室でシャープペンを握り続けるのだった。
時計の針が動くたびに、窓から太陽の光が控えめなく入り込んでくるただの教室に私は何も期待してはいなかった。
なのに、何故こんな所にいるんだ、と問われれば私は答えられない。
心がわくわくと踊るような冒険をしたくないわけではない。
冒険を行くことを禁じられているオリから出られるほど、私は物事で成功をしていなければ大学の先生から偉人だとよばれるほどに、立派に成長していないからなのだろう。
ねぇ。皆は今まで生きてきて、大舞台で成功したことはある?
18世紀のアメリカで、ジョージ・ワシントンはフレンチ・インディアン戦争で大活躍した。
19世紀のアメリカで、エイブラハム・リンカーンが南北戦争終結の2年前に奴隷解放宣言を発表したらしい。
夢を実現できるほど、あなた達は優秀な方達だった。
度胸と未来の塊だった。
ジョージもエイブラハムでもない、その正反対の私はまともに大舞台にも上がれない。
夢を実現できる力という言葉も、そこまで行きつけはしない。
小学校の時、全校集会で歌の発表をした時の緊張感が今でも新鮮に思い出せるほど、私は臆病だ。
皆の視線が私ではなく、大舞台に上がっている人達に向けられているというのに馬鹿なことを考えたものだ。
今だから馬鹿にできることなのかもしれないけどね。
「あっきー! 次、理科室だってさ。行こ行こっ!」
「そうね。」
私は、いたって普通の友達と一緒に移動した。
廊下で話し合っている友達を見ると、ひとりひとりが笑っているのがよく目についた。
きっと、幸せな生活を送っているのだろう。
クラブが厳しくても、抜き打ちテストが難しくても、笑いに変えられる力がそなわっているのだろう。
そう思うと、私の夢はただの“我がまま”にすぎないのかもしれないと考えさせられた。
でも、幸福を追求する、それが人間のあり方だ。
私の数年後の未来には綺麗な光がさしているのかもしれない、とだいたいの人は思っているのだろう。
私はそう考えていた。
私はこんな笑い合っているだけの平凡な生活は求めてもいないし、それがただループしてるだけの刺激のない時間を過ごしているのは死んでいるのと同じだと思っている。
友達がまた笑った。
私は愛想笑いを浮かべている。
自分では信じられないほど、笑い方を意識して内面を悟られないようにしている。
「うわあっ。」
ぬれていた階段で足をすべらせたのが、新しい生活の始まりだった。