第39話 暴虐皇子は成敗する
「―――決めたぜ、お前の死体の前で、後ろのツレを首を絞めながら死ぬまで犯しまくってやるぜ!覚悟しろ!!」
目の前で醜悪な表情で俺を睨みつけるブルと名乗る帝国軍兵長
怒りで冷静な判断も出来ていないのか、侯爵令嬢であるリリスを犯すと言い出した。
「貴様こそ、覚悟できてるのか?俺に剣を向けるということがどういうことか」
コイツ程度の技量で俺に勝てるはずがないことは分かっているだろう
「けっ、貧民街のガキ一人、バラバラにして下水に流せば誰も気づかねぇよ!」
「それに、テメェもだ!銀髪の女!さっきからなんだテメェのその眼!このブル様を見下しやがってぇ―――!テメェにはこの金髪のガキを始末した後、その身体で嫌というほどわからせてやるからな!」
「御託はいい、さっさと掛かってこい」
護身用の剣をヒラヒラさせ、ゴミクズを煽るといっちょ前に納刀し居合の構えを見せた
「さっきは、油断したが俺にこの構えをさせたら最後・・・テメェの首は永遠に身体とサヨナラだ」
「へぇ――――」
「アーサー様、ここは私が!」
俺の前に出ようとするリリスを右手を広げ制止する
「出しゃばるなリリス、帝国軍の膿は俺の手で切除する」
「舐めやがってぇ―――死ねぇ――」
シュッ
ブルが剣を抜ききる前にアーサーが振り下ろした護身用の剣が一直線に振り下ろされると
「ぎゃぁぁぁ、腕ェェ」
剣を抜こうとしたブルの左腕は剣の柄を握ったまま腕から切り離された。
そして・・・
「ついでに、貧相なナニも斬り飛ばしておいてやったぞ?」
ブルの腕と同時に男の尊厳を奪う一撃をみまう。
「ぐぁぁぁぁぁ、嘘だぁぁぁ」
元々せまいあばら家、ブルが暴れると家の中が滅茶苦茶になっていく
「きゃぁぁぁ!」
サラの母親も、裸のままシーツに隠れ部屋の隅で小さくなり身を屈めている
「ヒィヒィ、テメェ帝国軍兵長にぃぃ、こんな真似してぇただで済むと思う・・・」
「帝国法、第一条 十三項 一ヴァルハラ帝国皇帝、並びに皇室に連なる者に悪意を以て剣を向けた者は、その時点で不敬罪の中でも最も重い、手足切断罪の上、5日間帝都の広場で晒され、しかる後に斬首・・・」
「また、その血縁者、配偶者三親等まで流罪として斬首、残りの親族は懲役労働送りとする。」
「はぁ?テメェ何を言って・・・」
「我が名は、アーサー=ヴァルハラ・・・このヴァルハラ帝国の皇太子である」
俺は皇太子の証である黄金の獅子が意匠された黄金の短剣を兵長に見せた
「あっ・・・そ、そんな・・・嘘だろ、皇太子殿下がまさか・・・」
血が噴き出す腕と股間の事を忘れ唖然とするゴミ兵長
「我が名は、リリス=ミョルニル、ミョルニル侯爵の娘です」
「ヒッ、侯爵家の!?」
兵長は慌てて俺たちに土下座する。
俺は家の前の野次馬連中に冷たく言い放つ
「今すぐこの地域の治安局の連中を連れて来い、すぐに来なければアーサー=ヴァルハラの命に従わぬ者として、後日必ず処分すると付け加えておけ!」
「ヒィィィ今すぐ!!」
――――治安局の連中は直ぐにやって来た
『皇太子殿下の名を語るとは、不敬罪でその場で斬り殺してやる!』
表でそんな威勢のいい声が聞こえ
「お前か、皇太子殿下の名を・・・で、で、で、殿下ぁぁぁ!!」
どうやら、この治安局の男は俺の顔を知っていたみたいだ。
その治安局員は俺に向かって土下座するもので、他の野次馬連中も土下座した
「このブルとかいう帝国兵を捕らえよ、俺に向け剣を振るって来た・・・皇族に対する不敬罪の現行犯だ」
「ヒィィィ嘘だぁ、死にたくない、殿下ぁぁぁお慈悲を!!」
「せいぜい、お前のして来た悪事を全部吐いて、親族の斬首を2親等までにしてもらえるように減刑に努めるのだな・・・連れてけ!」
「はっ!!」
野次馬たちは、俺が解散するように命じると蜘蛛の子を散らすように
―――血痕があちこちに飛び散った長屋の床で俺に向かって土下座してる女性
リリスの方へ視線を向けると、悲しそうな表情で頷く・・・俺も答えるように頷き
「構わぬ、面をあげよ・・・俺たちはお忍びだ、本来ならこのような騒ぎを起こす気はなかったのだ、許せ」
「!?そ、そのようなこと・・・あぁ私は殿下に対し「出て行け」なんて失礼ないことを――殿下ぁ!私には小さな娘がおります!ですので、鞭打ちでも、焼きゴテでも甘んじて受けますので、どうか死罪だけは!!」
先ほどのことで、かなり動揺しているのか助命を乞うばかりで先ほどから一向に話が前に進まない
「女、名はなんと申す?」
「わ、私は、メラと申します殿下!」
ダメだ、俺の手には負えない・・・救いを求め、リリスになんとか話が出来る状態に落ち着かせてもらうことにした。
リリスに少し外で待機しておいて下さいと言われ、長屋の外に出てサラの母親が落ち着くのを待つ
(だが、あまり時間がないんだよリリス、騒ぎから城の連中の耳に入ったら大騒ぎになるぞ)
早く手の中のペンダントの事を尋ねたくて焦る俺は、空を見上げ溜息を吐いた・・・




