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魔法の紅茶専門店  作者: ミイ
54/139

054.思い付きとオヤツ


...



「...なるほど。」

アンからの相談を受け、考え込んだジャスパーだった。魔道具以外のことは考えるのに多少時間がかかるようだ。


「いかがでしょうか?」


「それも可能でしょう。私が日頃王都内で見てきた中でも97人いましたから、全部が全部は不可能でしょうが。それでも数十人からでも始められることかと。」


「ジャスパーさん、それってもしや...ただすれ違った人個々を把握して数えられるという事ですか...?」


アン達3人は衝撃で言葉が出なかった。


「知っている事なら知っているというだけですが?」


ジャスパーは淡々と言葉を返すが、ジャスパーは見た事をほぼ完全に記憶する事ができるという事だ。街ですれ違った人間の数など、今日1日分だって全く覚えていないのが普通だ。それを一人ひとり顔の照合までできているという事なのだろう。


「お前さん、何者なんだ...。」

マークは感心したように呟く。





また、スタスタと歩き始めたジャスパーだったが、それに対し振り向いて答えた。







「魔道具師だ。」









...





ジャスパーの事で収集作業が止まっていたアン達だったが、一旦休憩をとることにした。


アンは可愛らしい赤いシートを敷くと、せっかくなので3人にもそこへ座って欲しいと促した。


「ほう、シートなど持ってきてくれたのか。野郎だけではその辺にそのまま座り込むだけだからな、たまには気分も変わっていい。」

マークはピクニックのようだと笑っていた。


「あと、皆さん良かったら紅茶をどうぞ。疲労回復の効果が少し付与されています。それと、こちらは試作品なんですが味噌バターマフィンです。ジャスパーさんは一度試作で食べた事のあるもので恐縮ですが...。」


「なんと、王宮でも今話題の紅茶がいただけるのか!?しかもミソバターマフィンとはなんだ!?」

ケントは嬉しそうだ。目がキラキラと輝いている。


「ケント!仮にも護衛業務中だぞ。警戒は怠るなよ。」

マークは一言注意する。


「はい!私が見張りで立ったまま食べます!」

良い返事だが、目がキラキラ、ワクワクしている感じは変わらない。


アンはそんな2人を見てクスクスと笑った。


「それにしても、疲労回復の紅茶とははじめて飲みます。どのくらいで効いてくるのでしょう。」

ケントは不思議そうにアンのいれてくれた紅茶を眺めている。


「そうですね...皆さんはこのくらいの距離ならさほど疲れないでしょうから、もしかすると分かりにくいかもしれません。けど、数十秒もすれば効いてくるはずです。」

アンはそう言って紅茶に口を付けた。


それにならって3人も紅茶を口に含む。男性用に甘さはないシンプルな味わいだった。


ケントはやはり若いこともあり、疲労回復の効果はほぼ必要がなかったようだ。変化が分からないらしい。


一方でマークは長年蓄積した肩や腰の痛みが少し和らいだと大喜びだった。ジャスパーは魔道具制作で酷使した眼精疲労と頭痛がおさまっていると、嬉々としていた。


味噌バターマフィンはケントが1番気に入ったようだ。

「これ、香ばしい風味と味わい深さ、ほどよい甘さが最高だな!バターのコクがまたいい。定期購入させてほしい!!」


「あ〜これは酒のつまみにはならないが、オヤツにはいいな。若造だけではなく、年配の騎士達にも気に入られるだろう。」

マークも味わって食べてくれた。


ジャスパーは美味いとだけ言った後、サッと食べきってしまった。



そして4人は食べ終わると再び素材収集に向けて歩き出した。

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