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「ちょろいちょろい」
魔物たちがいなくなって静かになると、セレナが俺たちにウィンクした。
「あらためて自己紹介させていただくであります。ジブンはルンでありますっ。職業はソーサラーであります」
つばの広い帽子をかぶった小柄な女の子――ルンは軍隊みたいな敬礼を俺たちにした。
「危ないところを助けていただいて感謝するであります」
「あんなザコどうってことないわよ。最強フェンサーセレナさまの剣技、見惚れたでしょ」
「はい! 華麗な戦いぶりでありました、セレナどの!」
「華麗? 猪突猛進じゃなくてか?」
「トキヤ、なにか言ったかしら」
「いえ、なにも……」
ルンはマジで惚れてしまったらしく、セレナに尊敬のまなざしをキラキラと送っていた。セレナも得意げに髪をふぁさあっとかき上げてカッコつけていた。
「一人で前衛で戦って三体もの魔物を相手にできるとは! ジブンはあのハンターウルフに10回もやられてしまったのであります!」
……じゅっ……なに!?
「じゅっ、10回!?」
「それって、10回全滅したってこと!?」
俺たちが聞き返すとルンは「で、あります」と首肯した。
「ジブンはソロなので全滅という言葉が正しいかはわかりませんが、戦闘不能になっては街に強制転送を10回はしていたのであります。恥ずかしながら」
俺もセレナもクラリーチェもあ然としていた。
後衛職のソーサラーのソロだと魔物の群れに襲われては勝ち目はないが、それでもパーティーを組まずに10回もチャレンジするとは……。
俺たちの疑問を見透かしたルンは事情を説明してくれた。
「実を言うと、以前はクエストを攻略するたびに他のプレイヤーに声をかけて野良パーティーを組ませてもらっていたのであります。ですがジブン、戦闘になるたびに魔法をめちゃくちゃに飛ばしてしまって仲間に迷惑をかけてしまい、その悪評が広まったのか、ついには誰もパーティーを組んでくれなくなってしまったのであります……」
そういえばそんなウワサを聞いたことがあるのを思い出した。ヘタクソなソーサラーのせいでクエストに失敗したとかなんとか。どうせクエストに失敗してイラついているプレイヤーが仲間に責任を擦り付けているだけだろうと思っていたが……。
「苦手なことなんて誰にでもあるよ、ルンちゃん」
「ありがとうございます、クラリーチェどの……」
「そうだ、ルンちゃん。わたしたちとパーティーを組まない?」
その言葉にルンは一瞬、笑顔を見せたが、その笑顔はすぐに曇った。
「ジブンとパーティーを組んでも足手まといにしかならないであります……」
「そんなことないよ! それに、ゲームってみんなで楽しむものだもん。足手まといだからって仲間はずれにするのはぜったい間違ってるよ。苦手なことがあるのなら、それをみんなでフォローするのがゲームだよっ」
「アタシは以前、このトキヤってやつにひどいことしちゃったから他人のこと言えないんだけど、クラリーチェの言うとおり、仲間外れはよくないわ。アタシたちとパーティー組みましょ。トキヤ、いいわね?」
「もちろんだ」
「トキヤどの、セレナどの、クラリーチェどの……。ありがとうございます、であります!」
■パーティー
1:セレナ(フェンサー) リーダー
2:クラリーチェ(ヒーラー)
3:トキヤ(ランサー)
4:ルン(ソーサラー)
こうして俺たちに新たな仲間が1人増えた。




