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6-7

「待たせたな!」


 セレナとクラリーチェのもとへと戻るなり、俺は馬型幻獣から飛び降りた。

 二人は今まさに危機的状況に陥っていた。

 肩で息をするセレナのHPは残り1/4。

 クラリーチェのMPは完全に尽きてしまっている。

 そしてサイクロプスのHPはほとんど減っていない。


「遅いわよ!」

「待ってたよっ、トキヤくんっ」


 俺はセレナたちをかばうようにサイクロプスの前に立ちはだかった。

 大岩の上で見物していたシルクハットの男――ファウストが「ようやく主役の登場かね」と芝居がかった口調で言う。

 余裕ぶっているが、度肝を抜かせてやるぜ!


「真打ち登場だ!」


 槍を天高く掲げる。

 それに応じて馬型幻獣が発光して球体へと姿を変化させる。

 そして球体と化した幻獣は空高く飛翔し、俺の槍の穂先目がけて飛び込んだ。

 槍が光を帯びる。

 幻獣の力が俺の槍に『エンチャント』された。

 攻撃力9999付与の能力だ。


「ほう、これはこれは……」


 傍観者ぶった余裕の態度をとっていたファウストも、俺の特異な力を目の当たりして髭をしきりになでだした。


「がんばって、トキヤくんっ」


 クラリーチェが俺に声援を送ってくれた。

 サイクロプスが振り上げた棍棒を俺の頭上に打ち下ろしてくる。

 俺は槍の柄で防御の姿勢をとる。

 加速と質量を乗算した大木のごとき棍棒の一撃と、初期装備の槍。

 ぶつかりあったらどちらが勝つか。

 答えは考えるまでもない。

 俺の槍だ。

 俺の槍に宿った『エンチャント』の力によって物理法則はあっさりと覆され、サイクロプスの棍棒はまんなかでへし折れた。

 俺の槍は傷一つついていない。

 HPも1ミリたりとも減っていない。


「今度は俺のターンだぜ」


 俺は姿勢を低くして駆け、サイクロプスの足元へともぐりこんだ。


「『通常攻撃』だあああああっ!」


 そして槍を思い切り突き上げた。

 刹那、槍から光の渦が放出される。

 視界を奪う閃光。

 光の渦が槍の先から天空へと駆け上る。

 9999の威力を宿した光の渦は、巨大なサイクロプスの腹に風穴を開けた。

 サイクロプスがあおむけに倒れる。

 地面が縦に揺れ、そこら中の小石が巻き上がる。

 立ち込める砂煙。

 砂埃が晴れたのと同時にサイクロプスは消滅し、俺たち三人パーティーに経験値が加算された。

 サイクロプスを倒した。


 ――あいつもやっつければいいのかい?


 幻獣が言った『あいつ』のほうを見上げる。

 巨岩の上に立っているファウストは俺たちに称賛の拍手を送っていた。


「すばらしい! すばらしいものを見せてもらった!」

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