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5-4

 フリーマーケットとはプレイヤーが個人で出店している店である。職人街のようにしっかり建築された店舗ではなく、簡易なテントを張ってそこを店とすることができるのだ。戦闘職、生産職問わず、フリーマーケットはタブレットの『フリーマーケット出店』から自由に出店ができる。

 マルガレーテさんが「ふむふむ」とうなずく。


「フリマにならレア鉱石も出品されてるかもしれないね」

「さがしにいこうよっ」

「マルガレーテさん、なんて名前の鉱石が必要なんですか?」

「『メノス鉱石』だよ」

「『メノス鉱石』ね。わかったわ」


 俺たちはいったんマルガレーテさんの店を出てフリーマーケット広場へと向かった。



 フリーマーケット広場は、この街で最もにぎやかな場所である。

 フリーマーケットの出店は誰でもできるが、場所はこの広場でしかできないのだ。

 広場のそこかしこにテントが張られていて、プレイヤーたちがいろんなアイテムを売っている。アイテムをさがしにきたプレイヤーたちがその間を縫うように歩いている。仲間たちとおしゃべりしながら歩く者、立ち止まって交渉している者、目当てのアイテムが見つからなかったのか落胆している者、居眠りしている店主……。いろんなプレイヤーがいる。探し物がなくても、単に見て回るだけでもフリーマーケットは楽しい。


「げ、こんないっぱいある店の中から探すの!?」

「セレナ、検索機能を使えばいいだろ」

「あ、そっか。でもそれはそれで味気ないわね」

「まあ、見て回るのはまた今度だな」


 俺たちはさっそくタブレットを起動させ、『出品検索』を行った。

 検索枠に『メノス鉱石』と入力する。

 検索中……。

 10秒ほどの検索の後、目的のアイテムがヒットした。

 『メノス鉱石』。出品数1点!


「一個だけ!? トキヤくん、早くそのお店にいこうよっ」


 クラリーチェが俺の服の裾を引っ張って急かした。

 検索結果の座標を頼りに俺たちは『メノス鉱石』を出品しているプレイヤーのテントへと向かった。この時間帯は特に広場が混雑する時間帯で、俺とセレナとクラリーチェは他のプレイヤーと何度も肩をぶつけてしまったりぶつけられたり、靴を踏んでしまったり踏まれてしまったり、と困難を極めながら目的地へ向かった。目的のプレイヤーのテントへ着くころには髪がぼさぼさになってしまっていた。

 歩くのにも一苦労だった……。

 俺たちは目的のテントの前に立った。


「お客さまかにゃ?」


 テントの主――猫耳のアクセサリーをつけた女の子が首をかしげる。


「『メノス鉱石』くださいなっ」


 クラリーチェがあいさつもそこそこに目的のアイテムの名前を告げた。


「あるにゃ」


 店主は灰色の鉱石をずずっと手前に出してきた。


「買います! 買いますっ!」


 クラリーチェがタブレットの『購入』ボタンを押す――のを寸前で俺が阻止した。


「トキヤくん!?」

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