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マルガレーテさんは驚きの声を上げた。
「すっごーい。こんな超レア素材、実際に見たのはじめてだよー。ちょっと見せてもらっていーい?」
「はいっ。どうぞ」
マルガレーテさんはクラリーチェから『青色貝殻』を受け取る。
目の近くまでもっていってじっと細部を見つめたり、頭上に掲げて照明に透かしたり、いかにも職人といった観察の仕方をしていた。
「これをイヤリングに加工してもらいたいんです」
「イヤリングでいいの? アクセサリーに加工するより、お気に入りの武器に埋め込むほうが人気だけど」
「この子はそっちのほうが好みなのよ」
セレナが言った。
「なるほどー。冒険よりファッションを楽しむタイプのプレイヤーなんだね。わかるわかる。ウチもどっちかっていうと、っていうか、断然そっちだからね。そうでなきゃアクセサリー店なんてやってないもん」
マルガレーテさんは手にしていた『青色貝殻』を作業台にそっと置く。
「でも、ホントに加工しちゃっていいの? 今も言ったけど、武器屋防具に埋め込んで強化もできるし、素材のままならフリマやオークションで高値で売れるんだよ?」
「もう決めたんです。って言いながら、実はちょっとだけ迷っていましたけど、マルガレーテさんに加工してもらえるのならぜひイヤリングにしてもらいたいですっ」
「うれしいこと言ってくれるねー。レアアイテムの加工なんて腕が鳴るよ」
マルガレーテさんは「ウチにまかせてよ!」と胸を叩いた。
それからマルガレーテさんは「ほい」と俺たちの前に手を差し伸べてきた。
「加工素材ちょうだい」
「へ? 今渡したわよ」
「違うよー。イヤリングに加工するための鉱石だよー。金属部分をつくるのに必要な」
「えっ、なにそれ……」
俺たち三人はそれぞれ顔を見合わせる。
金属部分に必要な加工素材だって……?
焦るセレナ。
不安げになるクラリーチェ。
俺たちがアクセサリー加工に関して全く知識がないことに気付いたマルガレーテさんは、申し訳なさそうな口調で加工の説明をしてくれた。
「あのねー、アクセサリー加工するためには『青色貝殻』みたいな『メイン素材』以外に『サブ素材』っていうのも必要になるんだ。イヤリングは金属だから鉱石だね」
そしてサブ素材はメイン素材のレア度に依存していて、超レアアイテムであえる『青色貝殻』ならばサブ素材もそれ相応のレアな鉱石を用意しないといけないのであった。
「サブ素材はウチの店に在庫があって、お金さえ払ってくれればこっちで用意できるんだけど――」
「払いますっ。お金を払いますからサブ素材、マルガレーテさんのほうでお願いしますっ」
「あ、えっと……。ゴメンね。話には続きがあって……。ウチでも『青色貝殻』の加工に見合うほどのレアなサブ素材は置いてないんだー。ホントにゴメンねー」
マジかよ!?
ここにきてまさか足止めをくらうとは思いもよかなかった。
一番落ち込んでいたのはクラリーチェだった。
呆然自失とはこのこと。
俺もセレナもマルガレーテさんも、気の毒な彼女になんてなぐさめればいいのかわからなかった。
すると、はっとクラリーチェは顔を上げて俺たちに提案した。
「フリマ! フリーマーケットに行こうよっ」




