3-1
「俺さまの名前はサーベラス。お前たちに決闘を申し込むぜ!」
「いいわよ!」
「よくねーよ!」
ドラゴンに続いて漆黒の森のダークレオまでも倒した俺とセレナとクラリーチェのパーティーは、拠点としている街でそこそこ名が通るようになっていた。街を歩いていれば声をかけられたり、パーティーに加えてほしいというプレイヤーが現れたりした。そしてボス戦の助っ人として一時的にパーティーを組んでくれという要望も多かった。
俺はバグっぽい『エンチャント』のスキルをあまり他人には見せたくないので、ボス戦には加わりたくなかったのだが、セレナが「いいわよ!」と即答で承諾してしまうせいで俺は少々――いや、だいぶ困っていたのであった。幸いにも今のところ一度も『エンチャント』を使う機会はなかったが、ドラゴン討伐などの強ボスの助っ人に呼ばれたら使わざるを得ないだろう……。
そしてついに今日、『PvP』を申し込まれた。
彼女は無論「いいわよ!」と受けて立った。
だから俺は即座に「よくねーよ!」と言ったのであった。
『PvP』とはプレイヤー同士の戦いである。一部のスキルに対人補正がかかって効果が弱くなるスキルがあるが、基本は魔物との戦闘と変わらない。それからプレイヤー同士の同意があれば経験値ロストの有無やアイテム、お金などの賭けなども設定できる。
「どうしてよ、トキヤ。サーベラスとかいう名前だっけ? 相手してあげましょうよ」
「うかつにPvPを受けるなって。負けたらどうするんだよ」
「アタシは負けないわっ」
そうだ。
そうだった。
セレナはそういう性格だったのだ。
クラリーチェも苦笑いしている。
サーベラスと名乗った男がセレナの肩越しに俺のほうを見る。
「お前がトキヤとかいうヤツか。雑魚のくせにドラゴンを討伐したパーティーに引っ付いているっていう」
そのウワサは俺にとって逆に好都合だった。ボスを一撃で倒してチーター扱いされるほうがよほど厄介だ。
「そんなことないわ。トキヤはアタシたちの仲間よ! いっ、いちおうねっ」
「そうですそうですっ。トキヤさんは大切な仲間ですっ」
セレナとクラリーチェは俺の援護をしてくれた。
俺はサーベラスのほうに向き直る。
「俺もお前のことを知ってるぞ。『初狩りのサーベラス』だろ?」
「ほう、俺さまも人気者になってきたわけだ」




