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2-10

 攻撃はヒットした。

 しかし、頭上に表示されているHPはほんのわずかしか減っていない。

 ダークレオが全身の毛を逆立てる。

 その瞬間、ダークレオを中心に荒ぶる雷の嵐が発生し、セレナはその直撃を受けて吹き飛ばされた。


「まずい! クラリーチェ、セレナに回復魔法を」

「うんっ。――治癒の光よ!」


 倒れたセレナに光のシャワーがやさしく振り注ぐ。

 セレナのHPはとりあえず全回復した。

 今の電撃は近接職を吹き飛ばすスキルだったのだろう。幸いにも威力はさほどでもなかった。

 しかしこれでクラリーチェのMPは完全に尽きてしまった。もはや補助魔法による援護は頼めない。

 俺たちと距離が離れたダークレオは、全身にまとっていた雷を放出してきた。

 電撃は鋭く暴れながら俺たちに襲いくる。

 ダークレオの電撃は俺たちを逸れ、近くの岩や木を吹き飛ばした。

 運よく命中しなかったが、そんな幸運は二度も続くわけがない。

 ダークレオはその場に留まり、電撃を溜めだしている。


 ――おなかいっぱい。


 そのとき『声』が聞こえた。

 振り向くと、精霊型幻獣がキャンディを食べ終わっていた。


 ――力、貸してあげる。


 精霊の姿が輝きだし、光の球体になった。

 そして光の球体は俺の槍に宿った。


「こ、これがトキヤのスキル……」

「『エンチャント』なんだね!」


 タブレットでステータスを確認する。

 攻撃力10010。

 エンチャントによる補正値は9999。

 オオカミ型幻獣のときと同じだ。

 これで勝てる。

 ……槍の間合いまで接近できればの話だが。

 一歩でも近づけばダークレオは電撃を放射して俺を迎撃してくるだろう。

 俺の攻撃力はカンストしているが、それ以外のステータスはレベル1の状態。不用意に近づけばせっかくの『エンチャント』も台無しになる。

 どうにかして近づかなければ……。


「ダークレオ! あんたの相手はアタシよ!」


 そのとき、セレナが全速力で駆けだし、ダークレオの真横に回った。

 ダークレオの注意が彼女に向く。

 そして彼女は道具屋で買った『スロウスモーク』を三個一気に投げた。

 地面に落ちた薬瓶が割れ、煙が発生する。

 煙をかぶったダークレオの動きが鈍った。


「トキヤ! 今よ!」

「ああ。サンキュー、セレナ!」


 ダークレオがセレナに向かって電撃を放射する。

 セレナは剣で防御の構えを取る。

 彼女に食らいつく電撃。

 セレナの頭上に表示された黄色いHPバーが右側からどんどん赤色に浸食されていき……残りわずかのところで止まった。

 その間に俺は槍の間合いまでダークレオに接近していた。

 光を宿した槍で真正面から突く。

 それは『通常攻撃』だった。

 だが、ただの『通常攻撃』ではない。

 幻獣の力を宿した『通常攻撃』は激しい閃光を伴い、一撃にしてダークレオの黄色いHPバーを右端から左端へと赤色に染めた。

 吹き飛ばされるダークレオ。

 大木に激突してずり落ちる。

 横倒しになったダークレオは光の粒子となって消滅した。


 ――お役に立てた? 人間さん。


 『エンチャント』が解除されてもとの姿に戻った精霊は漆黒の森の奥へと帰っていった。


 こうして俺たちは『ダークレオ討伐』のクエストを完遂した。

 そしてさらに『黒き獅子を討つもの』の称号を獲得した。

【あとがき】

https://ncode.syosetu.com/n7782ha/

もう一つの長編連載【精霊剣承 ~ ハズレスキル『金属召喚』で伝説の魔書を手にして最強の魔術師になったので、ケモミミメイドと銀髪ロリと共に旅立つことにした。 ~】もぜひぜひ読んでみてください。

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