19-7
弓の構えを解いたドラゴニュートの一人が俺のそばへと走ってくる。
そしてその姿が光の球となり、俺の槍に宿った。
槍が光り輝く。
「クラリーチェ、フライの魔法を!」
「わかったよっ。フライ!」
クラリーチェの魔法を受けた俺は翼を得たように身軽になった。
助走をつけてジャンプし、はるか上空へと飛翔する。
ここから降下して、フロストドラゴンの背中に槍を突き刺す!
しかし、フロストドラゴンはそれを許さなかった。
フロストドラゴンは俺を見上げながら大きく口を開け、吹雪のブレスを吐き出してきた。
吹雪のブレスが直撃した俺は巻き上がる木の葉のごとく吹き飛ばされ、雪の上に墜落した。
「トキヤ!」
セレナが俺のもとまで駆け寄ってきて抱き起してくれる。
俺は自分の力では起き上がれなかった。氷のブレスを受け、下半身が凍り付いて動かせない『凍結』の状態異常になってしまっていたのだ。
デッドしていないだけマシだが、これではまともに戦えない。
「クラリーチェお願い。トキヤにリフレッシュして!」
「今行くっ――きゃあっ」
フロストドラゴンが前進し、俺たちと合流しようとするクラリーチェの行く手を阻む。
長い首を地面に垂らし、クラリーチェを正面からにらみつける。
「ひえっ」
すくみあがるクラリーチェ。
フロストドラゴンは口を開け、凍てつくブレスを吐き出した。
両腕で顔をかばうクラリーチェ。
ブレスの直撃を受けた彼女も下半身を凍り付かされてしまった。
俺はタブレットを素早く操作し、ストレージから『オールキュア』を取り出して使用する。これは高価でなかなか買えるものではないが、あらゆる状態異常を治す切り札だ。
そうして凍結の状態異常を解除すると、俺はフライの効果が残っているうちに再び上空へと飛び上がった。
フロストドラゴンの真上を位置取る。
フロストドラゴンが頭を真上に向ける。
口を開く。
そこに俺は槍を投げ放った。
グオオオオオオオオオッ!
フロストドラゴンの片目に槍が突き刺さり、そこを中心に光の爆発が起こった。
俺が着地するのと同時にフロストドラゴンが苦悶の叫び声を上げながら横倒しになる。激しい縦揺れと共に地面の雪がぶわっと巻き上がって視界を遮った。
「やったわ!」
ぴょんと跳ねるセレナ。
槍に宿っていた光の球が俺のもとに帰ってきてドラゴニュートの姿に戻る。
「リフレッシュ!」
クラリーチェは自分に状態異常解除の魔法をかけて凍結を治す。
散り散りになっていた俺たちは一か所に集まり、巻き上がった雪が収まるのを待っていた。
雪が晴れる。
横倒しになったフロストドラゴンの姿が明瞭になる。
頭上に表示されているHPバーは――。
「うそっ」
「まだやっつけてないよ!」
フロストドラゴンのHPバーはまだ1/3ほど黄色い部分を残していた。
どういうことだ!?




