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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第1章:個性
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9.予約して参りました

「カロン、村が見えて来ましたわよ」



 唐突に名前を呼ばれ、ぎょっとしたがいちいち反応していると情けないので平気なフリをする。



「一安心ですね、行ってみましょう」



遠目に見えている村へと向かう。


ー〜ー〜ー



 俺の身長より少し高い木製の壁が見える、よくみると木々は上手く噛み合わされており防御力はそこそこ高そうであった。


 壁に沿って歩いて行くと馬車が通れるサイズの入り口が見えてくる。

入り口に槍を持った若い男がいた、自警団だろうか?とりあえず話しかけてみる事にした。



「アリスシア王国の騎士団だ。村に入れていただきたい」


 槍を持った若い男はこちらに気づくと駆け寄ってくる。


「王国の騎士団ですか!戦はどうなったんですか!?」



 門番がこの反応だという事は恐らく生き残りは居ないのだろう。


 残念だ…



「勝ち…と言えるのだろうか…私とこちらの姫様だけが生き残った」



 俺自身殆ど敗残兵の様な有様だ、勝ったかどうかを判断する者すら死んでしまったから結局相打ちの様な感じなのかも知れない。



「それは大変でしたね…是非村で休んで行ってください、村長には僕から声をかけておきますね」



「ありがとう」



 無事門を通してもらえた。


 村は思ったより整備されており安心した、宿屋すら無いようでは姫様に申し訳なさすぎる。



「姫様、私は宿を探して参りますので広場で座って休憩していて下さい」



 なるべく陽の当たらなさそうな場所を指差す。



「わかりましたわ。お気をつけてくださいまし」



俺は頷いて宿屋を探しに行く


ー〜ー〜ー


 なんとか一番良い宿屋を見つけ、予約をして報告しに広場へ戻ってくると、姫様は顎髭を紐で結んでいる老人と話していた。



「あら、お帰りなさい。宿屋は見つかりましたの?」



 姫様は俺が近づくと話しかける前に振り向いた。少し驚いたが態度に出ない様にする。



「はい、予約して参りました。…そちら方は?」



「この村の村長を務めております、アドと申します」



 この御老人は村長だったのか



「カロン・ヴァンヒートと申します。少しの間ですがお世話になります」




「この度の戦、お疲れ様でした。

ゆるりと戦の疲れを癒して行ってくだされ」


 アド氏は顎髭を撫でながら話している。実に見事な顎髭だ。



「ありがとうございます。」



「よろしければ夕飯はウチへ来てくだされ。

おもてなしさせて頂きたい」



 それはとても嬉しい提案だ、長旅になりそうなのでなるべく金は節約したい。


 が、一応確認を取るべきだろう。



「姫様はよろしいですか?」



「良くってよ」



 ニッと微笑む、何回見ても可愛らしい。


 こんなに可愛らしいのに何故王国では評判が悪いのだろうか。



「ではご馳走になります。夜にこちらから参ります、時間は何時頃がよろしいですか?」



こうして戦勝会の予定は少しずつ決まって行った。

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