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東方剣録伝 〜幻想郷最強剣士の物語〜   作者: 黒井黒
第二章 小さな異変と恋心
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十八話 麗奈とルーミア

和也が出てきません。麗奈とルーミアの会話が主です。


〜博麗神社〜


「はぁ〜」


和也が紅魔館に行ってから約束の三日間があっという間にすぎた。そして、今日は四日目。

私はいつもと変わらない生活を送っている.....と言いたいんだけど


「...はぁ〜」


一昨日のルーミアの一件から、どうも私はおかしくなっている。胸の鼓動が早くなっている気がする。熱があるかのように顔が熱い。それもアイツのことを考えると酷くなる。


……認めるしかない。




私は和也の事が.....……。





好きなんだ。





ルーミアに言われてから自分の気持ちに気づいた。いや、もっと前から気づいたはずなんだ。


「はぁ〜...私なにやってるんだろ」


恋なんてくだらない、必要ないと思ってたのにいざ自分が恋に落ちるとここまで変わるとは。


「...和也に会いたいと思っちゃうなんて。すごくモヤモヤするし、気持ち悪いけど...不思議と悪い感じはしない」


これが恋というやつなんだろう。なんとも忌まわしく心地よい感情なんだろう。

私は和也の帰りを待ちながらお茶を啜る。今でも今すぐにでも会いたい。だけど、私は迎えには行かない。それは、何故かと言うと.....恥ずかしいから。


「全くなんであんな奴好きになっちゃってるんだろ...私」


私が自問自答してると襖が開いた。


「恋に悩める少女の麗奈よ! 私が助けてあげましょう! 」


そこに居たのは一昨日、私をこんな目に遭わせたルーミアだった。


「ルーミア...襖を開ける時は静かに開けてね。壊れるから」


「アレ? 私の話聞いてた? 」


私はルーミアの為にお茶を用意する。


「聞いてるわよ。えぇそうね、この気持ちが消えるもんなら消して貰いたいわね」


「いや、流石にそれは無理だけど.....でも、貴方達の仲を深めることなら出来るかもしれないわ」


「はぁ? 別に仲なんて深めなくていいわよ」


ルーミアが人をからかうようにニヤっと笑い、肩をひじで続いてくる。


「そんなこと言って、本当は和也君と一緒になりたいんじゃないの? 」


「.......」


麗奈にはそれを答えることが出来ない。でも、本当は気持ちをぶちまけてしまいたい。だが、それが無理なことも麗奈は理解していた。


「.....麗奈、博麗のしきたりの事を気にしてるの? 」


「.....アンタ知ってたの?」


麗奈を含めた博麗の巫女には代々守らなければいけないしきたりがある。

しきたりと一言でいうがそれは言わば正しい巫女の心構えを記したものだ。そして、その中に博麗の巫女は結婚、もしくは交際してはいけないというバカみたいなしきたりがある。


その項目が記載されている理由はわからない。でも、しきたりはしきたり守らなきゃいけない。


「ルールは破るためにあるのよ! 」


「それだったらルールの意味無いじゃない。守らせるためにルールなのに」


「紫と歴代の博麗の巫女が作ったルールなんて、そんな物破ってしまいなさいよ」


「それが出来たら苦労しないのよ...」


私はため息混じりに言う。


「一回紫に言ってみたら? 」


「...…考えとく」


もし紫に言ったらどうなるんだろう? 祝福してくれるかな?それともしきたりを守れって言われるのかな?


どっちでも私は変わらないけど...。


何言ってんだ私は!? 和也を好きだって気づいてから素直になり過ぎてるでしょ!! ヤバイ!このまま和也に会ったら死ぬ、絶対死ぬ!


私が悶えるように蹲っているとルーミアが心配そうに見てきた。


「...大丈夫? 」


「全然大丈夫じゃない!」


私が少し落ち着くとルーミアは話し出した。


「さて、本題に入りましょうか」


ルーミアが先程までのにやけ顔からはうって変わり、真っ直ぐ真剣に麗奈を見つめている。ルーミアの特徴的な赤い瞳が光を覗かせる。こういう時だけこいつが妖怪なんだなと再認識させられる。


「前来た時は話す前に帰らされたから言えなかったけど」


「あの、私の修行に手伝ってくれるって話? 」


「そう。あと和也君も含めてだけど」


「私は和也を異変に関わらせるのは嫌なんだけど...」


ルーミアはそれを聞いてまたもや口元を緩ませて、意味ありげな視線を飛ばしてくる。


「そういうの良いから、早く本題を話して」


ルーミアは修行の内容を詳しく話した。要約すると、ルーミアがある程度の異変を起こす。それを麗奈と和也で解決するという至ってシンプルなものだった。


だけど、少し特殊な点は……和也には仕組まれた異変だと気付かれないこと。博麗の巫女として異変を意図的に起こさせることに多少の罪悪感があるが、遅かれ早かれ自分の意思に反して異変に関わることになる和也に異変の雰囲気を感じてもらいたいとルーミアが押し切った。


麗奈の修行はその後でも十分可能だと。


麗奈にも納得いかない点もいくつかあったが、和也の為になるならと自分を納得させた。


「それでいつ決行するの? 」


「私はいつでも良いけど...どうする? 」


「私に聞くのね.....じゃあ二日後の私の誕生日にしましょうか」


「ふーん、なんで誕生日の日にやるの? 」


「なんとなくよ、なんとなく」


これで決行日は決まった。ルーミアは準備があると一足先に帰っていった。


(だったら、そろそろ和也に帰ってきて貰わないとまずいわね)


和也を迎えに行かないといけない。なんでだろう、すごく緊張する。


高鳴る鼓動を抑えながら、明日和也を迎えに行くことにした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「紫、麗奈が乗ったわよ」


「そう、ご苦労様」


私の横で隙間から顔を出している妖怪、紫が労いの言葉を言ってくる。


「紫、私と麗奈の会話を聞いてた? 」


「...聞いてないわ。どうかしたの? 」


「いや、なんでもない」


麗奈と和也。二人はこれから大変な事になるだろう。いろんな意味で.....でも、私は応援してる。


紫の思い通りにはさせない。



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