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因果応報?

お久しぶりです。

 商いをする上で利益を得るのは当たり前の事だ。だけど、利益ばかり追求して人を蔑ろにすると孰れ報いを受けるだろう。因果はめぐる糸車なのだから。悪い事ばかりしていれば孰れ自分に帰って来るのだ。一番善いのは、作り手も、売り手も、買い手も得をする関係だ。誰かを陥れてまで利益を得ても長続きしないだろう。当たり前の事だけど、それを守り続けるのは難しい。まったく人は難しい事に挑戦する生き物だな。斯く言う俺が求める道も困難だけどね!





 長閑な田舎には不釣り合いな整地された石畳を痩せぎすの小男が文句を垂れながら大股で歩いてくる。


 「ええい、誰も彼も知らぬ存ぜぬと謀りおって、我を馬鹿にしているのか!」


 陽の光隠れる曇り空の下で小男は苛立ちを隠そうともしない。


 「それもこれも全てエルフの小娘のせいか。忌々しい」


 苛立ち紛れに言葉を吐き出せば小男は苦虫を噛み潰したような顔をする。


 「我がマオー家の身代が今のように傾いたのも元を辿れば全てエルフのせいだ。ここに来て我にも仇をなすとはますます許せん」


 尚も加速していく怨嗟の念は小男の顔を醜悪に歪めていく。


 「そうだエルフの小娘の秘密を暴けばいいのだ。そして帝国を動かせばエルフなど造作もなく滅ぼせよう。くっくっく。そうだ、それが善い。然すれば我がマオー家は今一度帝国内での地位を取り戻すのだ」


 小男の病んだよな濁った瞳はありもしない未来を覗く。


 「忌むべきエルフの秘密を暴いた英雄としてな。ふっふっふ」


 粘着質な笑みを浮かべ欲望と願望を織り交ぜた夢を幻視する。


 「そしてエルフ諸共この石畳の秘密も闇に葬るのだ。このような物が出回れば我の取り分が減ってしまうからな」


 その自己中心的な物言いは自分さえ良ければ他者はどうなろうと構わないから口にできるのだろう。


 「こんな石畳が存在する事は許されない。雨季が来ても、この石畳があれば街道を苦もなく進む事が出来るではないか。だが、それでは困るのだよ。輸送が困難になればなるほど、我らが得をするのだからな。公国の下民どもは雨季の前に大量に塩を手に入れようとする。その時に我ら帝国は高値で売り付ける事が出来る。困るのは奴らだ。だから高値でも飛ぶように売れるのだ。それが、この石畳が街道に敷設されれば流通に何の支障も無くなってしまう。その前に出処を突き止めて製作者諸共エルフを根絶やしにしてくれる。我の利益を守る為にもだ」


 己の利益の為に新しい発明を闇に葬る。それはもはや正気とは呼べぬ論理である。だが小男は楽しそうに自分の論理を確かめている。


 「うむ。やはり我の考えは正しい。この奇妙な石畳は怪しすぎる。昨夜、雨が降ったにも拘わらず何故、乾いているのだ?」


 得体の知れぬ物に対する人の反応としては探究心や好奇心などあるが、この男の反応は懼れそのものである。


 「このような物を公国如きが手に入れて善い筈が無い。帝国より優れた公国など存在せぬ。してはならんのだ」


 そして言葉だけに留まらず蔑視の視線も石畳に向ける。


 「これ以上の邪魔な障害は我の目論見に反する。卑小な物とて看過できぬ」


 己が矮小さを棚に上げ詰る姿は小男の背も相まって小悪党という言葉が似合っている。


 「ふん。必ず秘密を暴いてやる」


 言葉だけは大層な物言いだが、その視線は自分以外の者が居ないか忙しなく探っており。持論語りをする割には、人の目が気になる辺り、やはり小悪党にしか見えない。そして自覚が無いから余計に滑稽に見える。


 自分以外の者が見えないと安心したのか、小男は村の東に向けて歩みを進めた。





 だけど、そこには先客が居たのだよ。その者はエルフをこよなく愛する異世界よりの異端児。


 「向こうの世界にはこういう諺がある」


 この世界に舞い降りた(迷い落ちたとも言う)転生者たる者が、そう僕だ。


 「壁に耳あり――」


 師匠を護る愛戦士クラウスだ。


 「――私メリー。今あなたの後ろにいるのってか?」


 そして巫山戯ながら微笑むも、絶対零度の様な瞳は1ミリも笑ってはいない。


 「なるほど、なるほど。なぜ執拗に師匠を探っていたか分かったよ。昔の筋違いな因縁を未だにエルフに向けているからなんだね」

 やれやれ度し難い馬鹿だな。


 「そしてこの村を探るのは自己の利益の為か」

 そうか、そうか。

 ソウイウコトカ。


 「その為にロアーバ帝国よりお越しのエロワ・マオー君でしたか…」

 よし! 消そう。

 あんな俗物は百害あって一利なしだ。


 「いや……待てよ。ここで消したら、この村が怪しまれる」

 一時の怒りに任せて処理してしまえば師匠にも累が及ぶかもしれない。

 愛戦士は狼狽えない。

 そう、クールに行こうじゃないか。

 MY GODである師匠の為だ。

 スマートにあしらってやろうじゃないか。


 「恥辱に塗れて二度と来たくなくなるようにしてあげよう」

 うん。

 何も間違ってないな。


 「ターゲットは村の西北西に移動中、追跡しながら作戦を練るか」

 さて、どんな風にもてなしてやろうか。

 そうだな……。


 「新しい魔法の実験に付き合ってもらうか」

 師匠を思い編み出した新しい魔法だ。

 その栄えある被験者一号に任じてやる。

 もちろん拒否権は無い。


 「予定変更。先回りして準備しておこう」

 エルフを陥れようと言うならば!

 相応しい罰を受けてもらおうか!




 必殺な仕事人みたいな気分で駆ける幼児が一人。

 然れど人の眼に映るに能わず。

 影の様に布石を打つ者なり。

 彼の者の名は愛戦士クラウス。

 愛する者の為に戦う一人の男なのだ……。

 なんて、ご大層な事を言ってはいるが、やろうとしてる事は唯の悪戯小僧である。



 そして悪戯の罠に掛かる予定の小男が、ホイホイと村人の家に訪ねに来たのだった。

 そこに罠があるとも知らずに……。

 そこに幼児が潜んでいるとも知らずに……。




 「ふん。家の扉も閉じぬとは田舎者ばかりだな。そんな事では盗まれても知らぬぞ」


 注意喚起の言葉なのだろう。だが、そのいやらしい笑で全てが台無しだ。


 「この我が親切にも教えてやろうではないか。その行為に感謝して我に請われるままに全てを話す。ふっ完璧だ」


 何が完璧か知らないが、精神科に入院するのをお勧めする程に阿呆な頭なのは、完璧に間違いない。

 惜しむらくは、この世界には精神科なる物が無いことか。


 「物事は始まりが肝心だ。堂々と行こうではないか。」


 小男は無駄に自信満々のままに勢い良く入口に向かう。


 「忙しい所失礼する! 我はていゴブッゥ!?!」


 そして勢い良く何かに顔から衝突して後ろに下がり、這い蹲る。

 そりゃ前傾姿勢で勢い良く行けば顔から先に当たるだろ。


 「オォッオォー!? ……いたひっ。いふぁいにゃんだといふのだ」


 何喋ってるか分かんねーよ。

 まあ鼻を押さえてるから痛みで話しづらいのかもしれないな。


 さて、彼が何にぶつかったのか? 簡単な話である。もちろん家の扉に決まっている。では何故、家の戸が空いている様に見えたのか。その原因が新しい魔法のせいなのは賢明な方なら言われるまでもなくお気づきでしょう。


 そして、その魔法とは”幻影魔法”である。理論は簡単にサクッと説明すると光を留めたからなのだ。……えっ? 簡略しすぎ? しょうがないなぁ~お客さん。そんなに知りたいならもう少し説明しようか。


 『あら? 何か音がしたわ』


 人の目とは光があって初めて世界を認識できる。光が物に当たり反射した光を人は目に受けて初めて物の色や形が分かるのだ。ならば、その光を空間に留めてしまえば立体映像の様に空間に表示出来るのではないか? と考えて編み出した魔法なのだ。


 『誰だ? ウチの戸を叩く馬鹿は』


 そして悪戦苦闘の末に何とか物に出来たのが今の幻影魔法だ。


 『私が見てくるわ。お父さん』


 編み出した理由? そんなのは決まっている。師匠の御姿を映し出す為だ。

 何時でも俺の愛しい師匠の――。


 「はーい。どなた?」

 「ダウッ!?」


 ……御姿を見ようとって……。

 今、物凄い良い音がしたぞ?


 「あら? 大丈夫ですか?」

 「ヌオォオォー……」

 小男が頭を押さえて這い蹲っているな。

 開けた扉で頭を強打されたのかね?

 む? 出てきたのは何時かの、おねいさんじゃないか。

 何時ぞやは魔法の調査に協力して頂きありがとうございます。


 「だ、大丈夫だ。少し頭を打っただけだ」

 意外に我慢強いね。

 まあ、綺麗な女性だから文句を言うのをやめただけかもしれないがな!


 「そうなのですか?」

 「あ、ああ。問題無い」

 その証拠に口の端が少し上がって鼻の下を伸ばしてやがる。


 「我…いや、自分は帝国から来たエロワ・マオーと申す者です。少々お尋ねしたい事があるのですが」

 「ご丁寧にどうも、私はミッシェルと言います。それでどのような御用かしら?」

 綺麗な女性だからと少しでも好印象を与えたいのか高圧的な喋り方じゃなくなってきたな。

 そこら辺が男の悲しいさがかね。

 キリッとか効果音が聞こえそうなくらい豹変してやがる。

 それも長くは続かないんだけどね。

 こうするから。


 「実は――」

 まず小男の右肘を押します。

 「きゃっ!」

 するとおねいさんの左腕に小男の右手が掛かります。

 次に小男の両膝を後ろから押します。

 「――私はぁあ!?」

 小男は跪く形になります。

 そして咄嗟の事で体勢を崩した小男は、おねいさんのエプロンを左手で掴みます。


 「いったい何をなさるのですか!?」

 傍から見たら襲いかかった様にしか見えませんな。

 まあそのものですけどね!

 さて、仕上げに入りますか。


 「ち、違う私は「貴方の様な女性に踏み付けられて詰られたいだけなんだあぁ!! だから私を踏んでください!! 罵ってください!!」です。……え?」

 小男の間の抜けた声が最後に聞こえたけど、その前の言葉のインパクトがありすぎて殆んど聞こえないな。


 「いやぁあーー!! お父さん助けて! 襲われるーッ!」

 「どうしただぁー!? シェリー!」

 そして奥からお父さん登場。

 事態は混迷を極めますな。

 あっ怒りっぽいオジさんじゃないですか。

 二人は親子だったのかよ。


 「きさまぁあ!! ウチの娘に何しとるかぁあ!!!」

 オジさん声デカイよ! 耳に響くよ!


 「いや、ちが」

 「何が違うかぁあ!! 言い訳すんなッ!」

 「へぶっ!?!」

 あっオジさんの蹴りが命中。

 綺麗に顔面に決まったな。

 そして小男は後ろに吹っ飛ぶと。


 「お父さん!」

 「大丈夫か!? シェリー!」

 そして抱き合う親子。


 「よくもウチの娘に手ぇ出しやがったな!!」

 怒髪天を衝くを体現してますよ。

 真っ赤な魔力が天を焼く勢いで燃え上がってるね。


 「オラァわけぇ頃は槍のブルーノって言われて公軍で鳴らしてたんだぁあ! 覚悟はできてんだな!!」

 オジさん昔は公国の軍に所属してたのか。

 退役後にこの村に定住したのかね?


 「ひっ!?」

 あかんこれ。

 小男終了のお知らせ。

 さらば、君の事は覚えない。



 さて、小男が処刑されてる間にさっき使った魔法の検証結果を整理するかな。


 今回先に使った魔法が光を利用した幻影魔法だ。使い方としては今の様に被写体の姿を光を使い魔力で記憶してから空間に投影して幻を見せるのに使えるな。


 次に使った魔法は、いわゆる声帯模写みたいな魔法だ。人の喉から発せられる個々人の発声音波を記録し再現する魔法だ。こちらは風魔法の応用だ。空気の波で人の声を再現出来ないかと苦心したのだよ。もちろん師匠の声を再現する為だ。あの凛々しく艶やかな声で囁かれたい! しかし一度魔力で声の波形を記録しなければ再現不可能だったりするので使い勝手が良いとは言えない。それは幻影魔法も然り。



 「ま、待ってくれ! いだッ! 待つのだ。自分は商人なのだ」

 「商人だぁ!? どこの商人だぁっ!!」

 「てっ帝国だっ! 帝国の商人だ」

 お? オジさんの手が止まったな。


 「この村に用があって訪れたのだ」

 「……この村さ関係あるのは公国の商人だけだぁ。オメェ今直ぐこの村から出て行けぇ!」

 オジさん親の敵でも見るような殺気の溢れる視線ですよ。

 何かあったのかね?


 「いったい何が……」

 「オラの昔の仲間はな……。オメェら帝国の商人が補給物資を出し渋り、値を釣り上げたせいで補給が間に合わなくて魔獣に殺されただだぁ。だからオメェらに殺されたも同然だぁ!!! とっとと出てけぇっ!! ぶち殺すぞっ!!!」

 「ひぃいいーー!!」

 あぁー確かに利益にあくどい帝国の商人ならやりそうだな。

 地球でも軍隊で補給物資の横流しで利益を得たりする馬鹿がいたからね。

 戦いに負けたら意味なくなるのにな何でするんだろ。

 全て金の魔力に魅入られたが故の愚行ですかね。

 そんな馬鹿どもに、金は使っても金に使われるな、と言う言葉を贈りたいね。

 とかなんとか考えてたら小男が脱兎な敗走で逃走しましたな。


 「くそっ。……マルコム、オロフ、ドナ。お前らのかたきかもしれねぇ奴を逃がしたオラを許してくれ……」

 オジさんの目の端に光るものが見える。

 武士の情けじゃ、これ以上見るまい。




 大人のおとこの葛藤を見た俺は何とも言えない気分になった。

 だけど、小男の追跡を緩める気は無い。

 別に敵を討つ訳じゃないけど、この村に来れないようにする。

 その予定の変更はなしだ。




 「くそっ! 下民どもめッ! 我にした仕打ちは、いずれ返してやるからな! だいたい利益を得るのは商人ならば当たり前の事なのだ。それを恨むなど、筋違いも大概にいたせ! それに死んだのは死んだ奴らに運と金がなかったからであろうが!」

 逃げてから悪態をつくとは小悪党と言うよりも三下と言えるな。


 「どうせ先の魔獣討伐戦の事であろう。あれは公国がもたついていたから被害が増えたのだろう。下民の避難などせずに戦いに加わり帝国の為に戦っておれば早々に終結していたのだ」

 それは帝国の為に公国軍を使い捨ての駒にしようとしたんだろ。

 それにどう言おうが、公国の民を見捨てろ、としか聞こえんよ。


 「あの戦いでは商人も戦っていたのだ」

 商人も、ねぇ。


 「あの時の我の案が採用され利益を生んだから帝国の損害を少なからず減らせたのだ。それを出し渋ったなどと馬鹿にしおって!」

 あぁー…。

 うん。

 ギルティーだ。

 オジさんの予感は的中してた。


 「まあいい。親の不出来は娘に償わせるとしよう。ふっふっふ、見ておれよ。貴様の娘が、我に跪き許しを請う様を目の前で晒してやる。その時には首輪でも付けてやるのも一興かな」

 外道認定しました。

 これより排除しま……って向こうから誰か来たな。

 あれは――。


 「む? あれは……。確かこの村の村長の縁戚だと聞いたな。やはり片田舎には勿体無い程に美しいご婦人ではないか」

 マイ・マザーだよ。


 「ふむ。やはり一番美味そうな物から食べるに限るな。その後に小娘に手を付けるか。どれ、服装の乱れを直すか」

 凄い粘ついた笑だな。

 その顔で身嗜みを整えても顔までは変えられないぜ?


 どうして、こう言う奴らは変な自信を持ってるのかね。

 身の程ってやつを教えてやるか。

 まずは少し後ろに下がるか。



 よし、小男の後方、約10メートルの位置だ。

 次に光学迷彩魔法の解除。

 小男は気づいた様子もなく歩き出したな。

 それに合わせて俺も静かに歩き出す。


 そしてマザーの視界に入るように小男の左斜め後ろに移動。

 うむ。

 マザーに上手く気付いてもらえたようだ。

 そこでマザーに向けて手を振る。

 するとマザーも気付き手を振ってくれる。

 笑顔が眩しい美女の微笑み付きだ。


 美女に笑顔で手を振られたら男なら誰でも満更でもないだろう。

 むしろ俺の前にいる小男なら勘違いして舞い上がるだろうな。

 そら、馬鹿がその気になって右手を動かそうとしている。

 だけど、勘違いはそこまでだ。


 「お母さーん。迎えに来てくれてありがとう!」

 その場に大きく響く様に大声でマザーに答えるのだ。

 それと同時にダッシュで小男を追い抜き。

 笑顔眩しいマザーの腰に抱きつくのだ。


 「お母さん。クラウスが遅いから心配したのよ?」

 「ごめんなさーい。でも迎えに来てくれて嬉しかったよ? だから両手を振ってみたんだ!」

 「うふふ。クラウスったら大げさね。そんな所はトリスに似てるんだから」

 「お父さんとお母さん仲良しだもんね。お母さんはお父さんの事なら何でも分かるのかな?」

 「そうね。この世で一番好きな人よ? 誰よりも分かるわ」

 「それじゃあ僕は?」

 「この世で一番大切な私の子供よ」

 「お母さん大好き!」

 「あらあら。クラウスったら」

 ああ、マザーのナデナデは至福なり。

 さて、腰に抱きつくついでに小男を確認しますかな。

 おうおう。

 羞恥に魔力を赤く染めてますな。

 顔は平静を装ってるが口の端が歪んでるぜ?

 精々その行き場の無くなった右手で直すんだな。


 「お母さんから美味しそうな匂いがする。今日のお昼はなあに?」

 「鶏肉に茸と野菜が沢山入ったトマトのスープよ」

 「美味しそう! 聞いてたらお腹空いちゃった。早く行こう」

 「ええ、行きましょう」

 さらば間抜けな小男よ。

 お前じゃどう足掻いてもマザーを振り向かせる事は出来ないのだ。

 さて、一度家に帰るかな。


 これで小男のちっぽけなプライドにヒビを入れられれば御の字だ。

 自分の勘違い程、恥ずかしい物はないからな!

 これぞ秘技! ”自分に向かって手を振られたと思い自分も手を振ろうとしたけど相手は別の人に手を振ってました”だ。

 羞恥に悶えて自分の愚かさを噛み締めろ。



 などと考えてたら家に着きました。



 「お父さんはまだ戻ってないのかな?」

 「そうね。もう少ししたら戻ってくるわよ。クラウスは先に食べちゃう?」

 「お父さんを待ってる!」

 「分かったわ。少し待っててね」

 「はーい。……あれ?」

 「どうしたの?」

 「ドッドさんに貰った大切な物を落としちゃったみたい。多分帰り道に落としたかも。探して来ていい?」

 「あまり遅くならないでね?」

 「はーい!」

 さてと、小男を処分してくるかな。

 汚物は処分だ。



 あのまま進めば今頃は村の南側かな。

 お? 居た居た。

 まだ真っ赤な魔力を宿してるのか。

 どれ、姿を消しますか。



 「どいつもこいつも我を馬鹿にしおって許さんぞ」

 別にお前の許しはいらなくね?


 「村長が帰ってきたら必ず謝罪させてやる。それでも今日の事は水に流してやらんがな」

 それじゃあ伯父さんが謝り損じゃないか。

 しょうがない。

 代わりに俺が、お前を、水に流してやるよ。

 確かこの先には下水管への入口があったはずだ。

 それを使おう。


 「む? さっき見たよりも民家が左にズレているな。どうやら怒りで我を忘れていたようだな」

 そうだな、もう少し左に行くとイイヨー。


 「フッ。普段は冷静な我が――」

 あれ? 声が、途切れた、よ?


 『――がぁああぁあーーッ!?!』

 何処かでぇー声がぁ~木霊ぁーするぅ~。


 「ついでに”秘密の小部屋”から水を注入~♪」

 約900リットル程かなゴミを流すには丁度いいだろう。

 序でだ水魔法で操作して押し流してやろう。

 異世界初のウォータースライダーだ存分に楽しむが良い。

 出口は無いけどな!


 『ぶわっぷッ!? な、何故水がぁー! うぁああぁあぁーー……』

 左手を~腰に当てー右手を~耳に当てる。

 うむ。

 声が聞こえないな。

 大分遠くまで流されたか。


 いや~悲しい事故ですなぁ。

 まさか下水管に落ちてしまうとは、な。

 よそ見をして足を踏み外すとは「運」が無いねぇ。

 自分で言っていた事だから納得もするだろう。


 「危険だから蓋をしとこっと」

 土魔法でガチガチに固めて封印しよう。


 「やれやれ。ちゃんと看板があるのにな、何を見ていたのやら。見ていたのは「幻影」ですか?」

 さて、嘯くのはここまでにするかな。


 奴は俺の使った幻影魔法で幻を見ていたのだよ。魔法で道を左に曲がって見える様にしたから左に逸れて穴に落ちたのだ。


 「明日になれば出られるから闇の中で頭を冷やすといいよ」

 それではサラダバー! 明智君。

 余程運が悪くなければ明日また会おう!

 さて、帰って飯にすんべ。





 翌日、顔色の悪くなった帝国の商人が二人領軍に救助された。

 その後近隣の都市にまで護送されたらしい。

 ヴェラさんからの又聞きだからそうなのだろう。


 だが俺は侮っていた。

 奴らのしぶとさを……。

読んでくれて、ありがとうございます。


久しぶりに書くと少し変な気がしますね。

今まで病気治療の過程で少し頭痛が酷くて頭が回りませんでした。

それに合わせて少し身辺に変化もあり書く気力も無かったです。


これからは少し間を開けても投稿したいと思います。

更新頻度が落ちる事をお詫びします。


それでは次回も会いましょう。

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