表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

追放された俺のスキルコピーがチートすぎる件

無能と呼ばれ、追放された主人公。


――けれど、その判断は本当に正しかったのか。


答えは、すぐにわかります。

「――レイ、お前はもうパーティを抜けろ」


 ギルドの一室。

 その一言で、すべてが終わった。


「……え?」


 思わず聞き返す。

 だが、目の前にいるリーダーのガルドは、冷たい目でこちらを見下ろしていた。


「聞こえなかったか? お前は“無能”だって言ってんだよ」


 周りのメンバーも、誰一人として俺をかばわない。

 視線を逸らすやつ、露骨にため息をつくやつ。


「レイ……ごめん」


 回復役のミリアだけが、申し訳なさそうに呟いた。


「お前のスキル、“模倣コピー”だっけ? そんなもん、使えたところで意味ねぇんだよ」


 ガルドが鼻で笑う。


「戦えねぇ、火力も出ねぇ、役に立たねぇ。正直、今までよく寄生してたなってレベルだ」


 ーー寄生。


 胸の奥が、ズキッと痛んだ。


「……俺は、ちゃんと戦ってた」


「は? どこがだよ」


 食い気味に否定される。


「結果がすべてだろ。お前が入ってから、明らかに効率落ちてんだよ」


 何も言い返せなかった。

 確かに、目に見える成果は出せていない。


 けれどーー


「……わかった」


 俺は、静かにうなずいた。


「抜けるよ」


「はっ、最初からそうしとけ」


 ガルドは興味なさそうに手を振る。


「荷物まとめて出てけ。次の依頼の邪魔だ」


 それで終わりだった。

 あっけないほどに。



 ギルドを出た俺は、人気のない森の方へと歩いていた。


「……無能、か」


 自嘲気味に呟く。


 俺のスキル、“模倣コピー”。

 相手のスキルを一時的に真似できる能力。


 だけど――


「使いどころがない、って言われ続けてきた」


 強力なスキルほど、発動条件や負担が大きい。

 俺のコピーも例外じゃない。


 だから、まともに使えた試しがなかった。


「……まぁ、今さら考えても仕方ないか」


 そう言って、顔を上げた、その時だった。


 ガサッ――


 草むらが揺れる。


「……っ!」


 現れたのは、牙を剥いた魔物――ウルフ。


 しかも、一体じゃない。


「三体……かよ」


 思わず舌打ちする。


 普段の俺なら、逃げるしかない状況だ。


 だけど。


「……どうせ、もうパーティもない」


 誰にも期待されていない。

 失うものも、ない。


「やるしか、ないよな」


 深く息を吸う。


 ウルフが一斉に飛びかかってきた。


「くっ……!」


 とっさに腕でガードし、横に転がる。

 爪がかすめ、服が裂けた。


 その瞬間――


 頭の奥で、何かが“カチリ”と音を立てた。


『スキルを認識しました』


「……え?」


『対象:ウルフ

 スキル:高速機動』


 視界の端に、見たことのない文字が浮かぶ。


「なんだ、これ……」


模倣コピーを実行しますか?』


 機械的な声。


 でも、迷う理由はなかった。


「……やる」


『コピー完了』


 次の瞬間――


 体が、軽くなった。


「……っ!?」


 地面を蹴る。


 ――速い。


 さっきまでとは、比べ物にならない。


「これが……スキル?」


 ウルフの動きが、はっきり見える。


「いける……!」


 一気に距離を詰める。


 剣を振る。


「はあっ!」


 ザンッ――


 一体、倒した。


「マジかよ……」


 自分でも信じられない。


 だが、止まらない。


「次!」


 残りの二体も、あっという間だった。


 ◇


「……はは」


 地面に座り込む。


 心臓がうるさいくらいに鳴っている。


「俺……戦えてるじゃん」


 いや、それどころか。


「これ、めちゃくちゃ強くないか?」


 “見たスキルをコピーする”。


 それだけじゃない。


「使いこなせる……?」


 さっきの動き。

 初めて使ったはずなのに、違和感がなかった。


 まるで、最初から自分のものだったみたいに。


「……なんだよ、それ」


 思わず笑いがこぼれる。


「じゃあ俺、今まで――」


 “使い方を知らなかっただけ”じゃないか。


 ガルドたちの顔が浮かぶ。


「無能、ね」


 ゆっくり立ち上がる。


 手の中の剣を見つめる。


「……後悔させてやるよ」


 小さく、でも確かに言い切った。


「俺を追い出したこと」


 風が吹く。

 森の木々がざわめいた。


 その音が、まるで祝福みたいに聞こえた。


「さて――」


 レイは、一歩踏み出す。


「最強、目指しますか」


 その目には、もう迷いはなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


続きが気になると思っていただけたら、

ブックマーク・評価をしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ