52 怪物側の人間達
崩壊していく巣。
呆然とそれを見る。
男がどこかにいないか探すが、もちろん見当たらない。
気を使って周辺を探知していくが、それでも見つからない。
認めたくないが、男は消えた。
巣の崩壊に巻き込まれた。
そうして周りを探ってたおかげで、別のものを見つける事が出来た。
時間が止まってるこの場で動くことが出来る者達。
カズヤと同じ能力者だ。
それを探り当てたカズヤは、すぐに気を使って周囲に影響を及ぼしていく。
気を用いて行ったのは結界作り。
怪物除けのために行ってるものだ。
ただし、その効果を少し変える。
対象は人間、この近くにいる連中を標的にする。
結界は何も怪物限定というものではない。
目標を変える事で様々な存在に影響を及ぼす。
人間にする事だって出来る。
そうする事で、効果範囲にいる者達に影響を与えていく。
普通、こんなもの使うわけにはいかない。
多くの人間に影響をおよぼすからだ。
だが、幸い今は夜の都市。
人はほとんどいない。
いるのは、カズヤ達を襲った連中くらいだ。
躊躇うことなく人間相手の結界を作っていく。
相手は襲ってきた連中だ。
容赦など全くしない。
襲ってきた連中のせいで、男が消えたのだ。
そんな事をする奴等を生かしていくつもりはない。
放置した方が危険だ。
能力者達は、犠牲をものともせず足留めにきた。
カズヤ達を葬るために仲間を何人も巣の中に送り込んだ。
崩壊しようという巣の中にだ。
攻撃してでもカズヤ達を止めようと。
そんな事をすれば、どうなるか分かってるはずだ。
巣に投入した仲間が犠牲になると。
それでも強行した。
巣を破壊する者を葬るために。
たった二人のために、何十人も使って。
そこまでする奴等を放置は出来なかった。
目的や目標を達成するために、犠牲をためらわないのだ。
今後どんな事をしでかすか分からない。
何より、明確にカズヤ達に敵対している。
息の根を止めようとしている。
崩壊する巣にとどめようとしたのもその為だ。
力量差があって普通に戦ったら倒せない。
だから崩壊する巣に巻き込もうとした。
実力差がなければ、自分達の手で殺しに来るだろう。
生かしておくわけにはいかない。
放置していたらいずれまたやってくる。
殺しにくる。
そんな連中を無視しているわけにはいかない。
無視は消極的な協力だ。
相手に猶予を与え、機会を提供する事になる。
そんな事するわけにはいかない。
徹底的に殲滅しなければならない。
「あの怪物共が…… !」
カズヤははっきりと怪物と断定した。
相手が人間であってもだ。
殺しに来た奴等を人間だと思うつもりはない。
何より、怪物の存続に協力してるのだ。
巣を破壊しないという形で。
その時点で怪物の仲間というべきだ。
生かしておけば、それだけで不幸をまき散らしていく。
だからこそカズヤは決めた。
敵対している能力者を殲滅すると。
その最初の第一歩として、この場にいる連中を消滅させると。




