後編
2/6 ご指摘により誤字を修正しました。
「兄上、また酒を飲んでおられるようですね」
マーロムの問いかけにばつの悪そうな顔をするアルブレヒト。
弟が自分の潔白のために行動している中で、自分は酒を煽っている。それを恥じ入る心はまだ残っていた。
だが、謝ることはしない。弟を援助する兄のために、弟が行動するのは当然のことなのだから。
「マーロム、そんなことより、どうであった? あの下賤な嘘つきはウィケッドと通じていたろう?」
「……それなのですが、兄上。本当に、襲撃を計画したのは兄上ではないのですね? 私にだけは、真実を教えていただけないでしょうか」
「何を言っているのだ!? 儂がそんなことをすると、本気で思っているのか!」
アルブレヒトは怒声をあげるが、マーロムは怯まなかった。毅然として兄に相対し、激昂したアルブレヒトのほうが逆にたじろいでしまう。
「ドワルド侯爵とともに、カールなるものを尋問しました。もう一度他の者を使って本人かを確認し、その上で詳細に問い詰めたところ、私には虚言を弄じているようには見えなかったのです」
「それはお前が甘かっただけであろうが。もうよい、儂がやる」
「この件は教会が預かっています。国王陛下と言えども、当事者となったからには、それを覆すことは出来ません」
「貴様っ。この兄に逆らうというのか」
思わずマーロムに掴みかかるが、酔いで足がもつれてしまう。マーロムが慌てて支えなければ、転んでしまうところだった。
「落ち着いてください。教会のことは、私に任せてくださればいいのです。悪いようにはしませんよ」
「あ、ああ。そうだな」
マーロムに支えられながら立ち上がり、椅子に座りなおす。
落ち着くと、確かに教会のことはマーロムに任せるべきだとわかる。気が急いてしまってマーロムを責めてしまったが、それも全部ウィケッドが悪いのだ。
「兄上、カールのことは任せてください。それよりも王宮内のことです」
「何だ、王宮内のこととは?」
「王宮内に兄上とウィケッド公爵を争わせようとしている者がいるかもしれないことです」
自分でもウィケッドでもないのなら、その可能性はある。王を嵌めようとしたものが潜んでいるやもしれない。
もしそうだとするなら必ず探し出さなければならない。
「お気づきになられましたか? 兄上には不服でしょうが、もしそんな輩がいるなら、公爵との講和に話を持っていけます」
「なるほど。お前の言う通りだ。ウィケッドとのことはともかく、不届き者の有無はたしかめなければならん」
「はい。誰かが裏で糸を引いているか知れません。お気をつけください。もしかしたら、ドワルド侯爵かもしれないですぞ」
「ドワルドがか? まさか、あいつに王宮の侍女を動かせはせんよ。そのようなことは……」
無いと、自信をもって言い切れなかった。自分が、ラディスラウムとエリザベートの痴情のもつれを利用したように、ドワルドも王とウィケッドの共倒れを仕組んだとも考えられる。侍女だって、ドワルドの縁戚の一人や二人いてもおかしくはないのだ。
アルブレヒトは、また自分の足元が急に不安になってきたのを感じていた。
「……そうだな。ああ、気をつけるとしよう」
だから、アルブレヒトはマーロムにこう答えるしかなかった。
「聞きましたか? 国王陛下がベンゼン家襲撃の犯人をドワルド侯爵と考えておられるとか」
「おお、何でも陛下は日和見のドワルドなどと呼んでいらっしゃると聞きましたぞ。しかも、それは王位を狙うための隠れ蓑だったらしい」
「ウィケッド公爵とのことが終われば、次はドワルド侯爵が……」
ドワルド侯爵が王位簒奪を企んでいる。貴族社会は様々な噂が流れるが、内容が内容だけにこれは急速に広まっていった。
無責任な憶測が、まるで真実のように語られていくのは世の常である。しかし、その標的にされるものは堪ったものではない。ドワルド侯爵は、噂が流れたのは自分の責任として自主謹慎を行い、侯爵の取り巻きたちも噂にさらされることを嫌って出仕をしなくなった。
平時ならよかったが、ただでさえ王宮内の業務はウィケッド一派がいないことでボロボロの状態であった。それに加えてさらに人員が減ることで、残された貴族たちへの負担はいや増すことになる。不満から、さらに過激な憶測が噂となって流布されていく。
「ドワルド侯、そなたも聞いておろう。王宮内に流れる噂を」
「はい、陛下」
玉座の間には、国王アルブレヒトと王太子ラディスラウム、王の側近である貴族や騎士たちが集まっている。そして、玉座に対して跪くドワルド侯爵とその取り巻きの貴族たち。
王位簒奪を狙っているというドワルド侯爵の噂は、もはや誰もが信じるようになっている。ウィケッド一派と対立中であるアルブレヒトも、もはや捨て置くことはできなくなった。そこで、玉座の間に主だった貴族たちを集めて鎮静化させようと図ったのだ。
「雀どももいらぬさえずりをするものだ。儂はそう考えておるが、どう思う」
「まこと、その通りでございます。しかし、火急の事態が生じている故、不安に思ってのことでしょう」
「その火急の件があるからこそ、一致団結せねばならぬ。それを、邪魔しおる者のなんと多きことよ」
玉座の間にいる貴族たちの多くが、そっと顔をそむける。アルブレヒトの位置からすれば、その様子がよく見て取れた。
怒声をあげたい気持ちに駆られたが、どうにか我慢をする。そして、傍らの侍従が持つ盆からカップを取り上げた。口元まで運ぶと、とても良い香りが逆だった心を鎮めてくれる。
「この茶はドワルド侯よりの贈り物だな?」
「左様でございます。候爵様より、奥方様が直々に厳選された茶葉をブレンドした物と伺っております」
アルブレヒトの下問に侍従が答える。それを聞いてから、カップに口をつけた。香りに見合った味が口内に広がっていく。
「うむ。美味である。良き品を持ってきてくれたな、ドワルド侯よ」
「恐縮でございます。妻が、心を伝えるのに茶をおいて他にないと申しておりました。我が心は、陛下に届きましたでしょうか」
「ああ、私心なきそなたの忠誠を疑うことはない。皆の者、今回のドワルド侯の贈り物は毒味をしておらん。それだけ、儂は侯を信頼している。以後は軽挙妄動を控えて、このアルブレヒトの下で協力するのだ」
アルブレヒトは別にドワルドを信頼しているわけではない。むしろまだ疑っていたが、ドワルドが毒殺を試みる程の度胸はないと高をくくっているのだ。自身の贈り物で毒殺を考えるくらいなら、もっと積極的な行動を起こしている。
貴族たちが自分の言に頭を下げるのを確認し、もう一度カップに口をつけて、一気に飲み干す。
茶をうまいと感じるのは久しぶりのことであった。
さりげなく視線を動かすと、侍従によってカップにお茶が注がれる。
「妻が言うには、その茶には酒を入れても良いようです」
「なんと。それは良きことを聞いた。せっかくだ、試してみよう。用意をせよ」
侍従に命じると、すぐに酒が運ばれてくる。
「父上、謁見中に酒を飲むのは……」
「せっかくのドワルド侯の心遣いだ。それは楽しまなければならん。そうだ、皆にも酒を振る舞おうぞ。和解には宴席がいい。今日は準備ができておらんが、酒だけならば用意できよう」
「仕方ありませんね。わかりました、すぐに運ばせましょう」
ラディスラウムが、指示を出すために幾人かの貴族と騎士を引き連れて出ていく。
アルブレヒトは邪魔者がいなくなったところで、カップに酒を少量加える。
ドワルドが言っていた通り、酒精の香りが交わってたまらなくなる。
「良い香りだ。ああ、ドワルド侯よ、もう立っても良いぞ。他の者たちも、ラディスラウムが戻るまで歓談して待っていよ」
参集している貴族たちがそれぞれ会話を始める。それを見届けて、アルブレヒトは茶を口に含んだ。
酒精が加わった茶の味は、これまたアルブレヒトの味覚によくあった。貴族たちの歓談を眺めながら、二口、三口と口に含んでいく。
酒を飲む良い口実ができた。この茶を飲むのならラディスラウムも文句はいえまい。
アルブレヒトが内心ほくそ笑んでいると、指先に違和感を感じた。少量の酒に酔うことはない。カップを盆に戻し違和感を感じる手をじっと見つめる。
日頃に飲みすぎておったから、酒毒にあたったか。これでは酒を控えなければなるまい。
アルブレヒトがそう考えているうちに、指先の違和感は手全体の痺れに変わってきている。
「父上、お待たせしました。酒はすぐに運ばれてきます」
「あ、ああ。そう、か」
ラディスラウムが戻ってきたらしい。だが、痺れは手から腕へ、体へと伝わっている。
「父上? どうかされましたか?」
ラディスラウムの問いかけも遠く聞こえる。玉座に座っていられず、崩折れるように倒れ込んでしまう。
「父上!」
「ドワ、ドワルド……きさ、ま、ま、さか……」
息も満足できないなか、どうにか口を開く。これは酒毒ではありえない。毒を盛られたとしか考えられない。そして、それを為したのは、茶葉を持ってきたドワルドしかいないのだ。
「馬鹿な。そんな馬鹿なことが……」
異常を察した貴族たちが驚愕している。そして、その視線はドワルドに向けられていた。
「早く医者を! ドワルド! 貴様、父上に何をした!?」
「……もはや……致し方あるまい」
ドワルドは呟くと、腰の一気に剣を引き抜く。
「ドワルド! 乱心したか!!」
「者ども、酒に溺れ、妄挙に走り、我ら青き血の一党を弄ぶ暴虐の王アルブレヒトを倒すのだ! このドワルドに続けい!」
ラディスラウムを上回る大声をドワルドが発し、アルブレヒト護衛の騎士に斬りかかった。
ドワルドの取り巻きも、一拍遅れて剣を抜き、それぞれが斬りかかっていく。応戦するために騎士が剣を抜くが、その騎士の中にドワルドに味方する者も現れて混戦が繰り広げられる。
さらには剣を持っていない貴族たちは逃げ惑い、混乱に拍車をかけた。
「父上! 父上!」
ラディスラウムの呼び声が聞こえる。麻痺する体を動かして、どうにか顔を向けると、ラディスラウムが剣で戦う姿が朧気に見える。
「国王陛下をお助けするのだ!」
「暴虐の王アルブレヒトを倒せ!」
相反する声が各所で上がり、玉座の間に留まらずに王宮内のあらゆるところで戦いが起こっていった。
中立派と言えども、その中心となるドワルドは王国一の将軍との呼び声が高いために、自然とその取り巻きや派閥は騎士や戦いを習熟した貴族たちが多い。中立派にはラディスラウムに加勢するものもいたが、その数は少なく、次第にラディスラウムは劣勢となる。
やがて、戦いの中心は玉座の間から遠ざかっていった。
倒れ伏しているアルブレヒトに、ドワルドが歩み寄る。
「王よ、あなたが悪いのですぞ」
血に濡れた白刃が、ゆっくりと振りかぶられる。
「ぬおおおおおおお!」
突如、横合いからドワルドに人影が打ちかかる。ドワルドは若干体勢を崩しながらも、人影の剣を受け止めた。
「陛下をお連れするのだ!」
人影、老侍従が若い侍従に叫ぶ。
若い侍従は、老侍従とドワルドが切り結んでいる間に、倒れたアルブレヒトを抱えるようにして持ち上げる。その際、アルブレヒトは転がっている王冠と王笏をどうにか抱きしめるようにして拾った。
玉座近くの扉から、侍従に引きずられながら玉座の間から逃げ出す。
息がしづらく苦しい。休みたいが、逃げなくてはならない。
「あっち、だ。かく、し、通路が、ある」
侍従を誘導し、城外への隠し通路を目指す。まだ王宮の奥には戦いが広まっていないため、敵と戦うことなく進むことが出来た。そして、何の変哲もない一室に入る。
「その壁、だ。おせば、ち、かへ」
侍従が部屋の壁にアルブレヒトをもたれ掛からせる。
まだ体の力が入らないため、うまくもたれることが出来ずに結局横になってしまう。それでも、腕の中にあるものは離さない。
侍従が壁を押すが、なかなか動かない。そのため、体当たりをするようにして体全体で壁を押し込む。
すると、どうにか僅かに隙間ができる。
「陛下、お通りください。私が支えているうちに」
アルブレヒトは、立ち上がることができずに這いずるようにして隙間に入っていく。
この国王アルブレヒトが、こんな惨めな姿を晒すとは。ドワルド、それにウィケッドめ。必ず復讐してやるからな。
アルブレヒトがどうにか隙間から隠し通路に入ると、続いて侍従も体を滑り込ませる。
「陛下、もう少しです。ご辛抱を」
侍従の言葉にうなずき、また侍従に支えられながら、急な螺旋状の階段を降りていくのだった。
何度も転びそうになりながら階段を降りきり、薄暗い通路を進んでいく。しばらく歩いていくと、通路の先に日の光が見えてくる。
「おお、出た、か」
通路を抜けると、深い森の中であった。薄暗いところを通ってきたために木漏れ日ですら眩しく感じる。アルブレヒトは思わず目を閉じた。
「これは、陛下。まさか陛下が来られるとは思いませんでしたわ」
見えないが、聞き覚えのある声がすると思えば、突如にして侍従の支えがなくなってしまう。そのまま訳も分からず倒れ込むと、今度は腕の中の物まで強引に奪われる。
「な、なにを、する。国、おう、アルブレ、ヒトなるぞ」
「ええ、よく存じていますわ。あなたたち、大丈夫だろうけど、通路を塞いでいらっしゃい。まったく、いらない付属物のせいで手間がかかってしまう」
何人かの足音が通路の方に消えていく。そして、アルブレヒトは目が慣れてきたので、ようやく目が開けることが出来た。
幾人かの騎士と兵士たち、そしてラディスラウムの元婚約者エリザベート・ウィケッドの姿が見えた。
馬鹿な、なぜこの小娘が?
驚愕しているうちに、自分を連れてきた侍従がエリザベートに王冠と王笏を手渡している。
エリザベートが手渡された王冠を自らの頭に載せ、王笏を握りしめる。
それは私のものだ。小娘風情が手にして良いものではないぞ。
「陛下。王宮でお亡くなりになったものとばかり思っていましたわ。その執着心、感服いたします」
「な、ぜ、おまえが」
「この冠と錫杖が欲しかったので。屋敷で待っていても良かったのですが、我慢できずにこの王家の森まで取りに参りました」
求めた答えと違うため、アルブレヒトはエリザベートを睨みつける。
「ああ、もしかして隠し通路のことでしょうか? 私はラディスラウム殿下の婚約者として、ウィケッド家のことだけでなく、王家のことも学んでまいりましたわ。隠し通路も存在は知っておりましたので、昔、殿下にお強請りして連れてきてもらいましたの」
あの馬鹿息子が。
怒りに立ち上がろうとするも、力が入らない。惨めに這いつくばるしかなかった。
「それにしても、陛下が連れてこられて驚きましたわ。思いがけず、諦めていた私の願いも叶いそうです」
「ねがい、だと?」
エリザベートは答えず、兵士に命令してアルブレヒトを強引に跪かせるような姿勢にさせる。アルブレヒトにとって、屈辱以外の何ものでもなかった。アルブレヒトにとって他者を跪かせるものであって、自分がするものではない。
衣服や髪に土がつき、その身なりは薄汚れてしまってすでに王には見えなかった。実際、ここではエリザベートこそが王であった。
「知りたいのではありません? どうして陛下が母に振られてしまったのか?」
彼女が儂を振っただと?
「陛下が振られた理由、それは……」
どうせウィケッドの卑怯な手段で、彼女は心を傾けてしまったに違いない。
「気持ちが悪かったのですって」
気持ち、悪い……だと?
「陛下、ああ当時は王子でしたか。まあともかく、偏執で、執念深くて、独善的。人の話を全然聞こうとしなかったのが気持ち悪かった。そう、母が言っておりました」
嘘だ。彼女がウィケッドに言わされてるだけだ。儂が気持ち悪い訳がない。そんなこと、あるわけがない。
エリザベートがまっすぐにアルブレヒトと視線を合わせる。
自分を見つめる毅然とした姿が、昔の彼女を思い起こさせる。ウィケッドに似ているはずなのに、当時の彼女が重なって見えた。
「アルブレヒト王子って気持ちが悪い人ですね。だから嫌いなのよ」
まるで、愛した彼女本人に言われているようだった。もはや、否定する言葉も浮かんでこない。ただ、彼女に似たエリザベートを見つめるしかできない。
そのアルブレヒトの表情を見て、エリザベートは笑顔を浮かべる。
「そう、その顔が見たかった。あの日、玉座で勝ち誇っていた顔を、どうにかしてやりたかったのです」
笑顔は父親を想起させる。そういえば自分は、ラディスラウムの隣にいる笑顔のエリザベートしか見ていなかった。
間違っていたというのか。このアルブレヒトが、間違っていたとでもいうのか。
「では、陛下。失礼いたしますわ。もうお会いすることはないでしょう」
もはや頭を下げることもなく、エリザベートはアルブレヒトに背を向けて歩き出す。
呼び止めようとするが、アルブレヒトの口と鼻が左右の兵士によって覆われる。振りほどこうにも、兵士たちの力にまったく敵わない。
間違っている。
駕籠に座ったエリザベートが、勝ち誇った笑顔で、小さく手を振ってくる。
勝つのはウィケッドのはずがない。こんなこと……。
駕籠が護衛されながら遠くなっていく。それにともなって、視界も狭くなるようだった。
こんなこと絶対間違っている。
ドワルドの乱は、一月とかからずに王太子ラディスラウムとウィケッド公爵によって鎮圧された。どうして乱が起こったのかは、今なお不明である。ドワルドもしくはウィケッドによる陰謀、アルブレヒトによる貴族弾圧を察知したドワルドの反抗、ただの病気が偶然重なっただけ、はてには悪女エリザベートによってドワルドが操られていたというのもある。ただ、どれも確かな証拠はない。
興味深い点は、ウィケッド家には、ドワルドの妻による自筆の手紙が数通残されていることだ。それには、反逆を疑われる不安や王への不信が綴られている。残念ながらドワルド家は乱によって断絶しており、エリザベートがどう返事をしたのかはわかっていない。
謎多き乱は、学者たちの頭を悩ませるとともに、数々の物語を作り出すことになる。
そして、国王だったアルブレヒトの遺体は、乱の鎮圧後に発見された。森に放置されていたために、獣などに荒らされて、見るも無残な姿であったと記録されている。王家の印章が刻まれていた指輪のお陰で、どうにかアルブレヒトと断定したようだ。
一国の王とは思えない最後を遂げることになったアルブレヒト。彼が残した業績は、悪女エリザベートを生み出したことだけ、と言われている。
本作をお読み頂きありがとうございます。楽しんでいただけたなら幸いです。
最後にエリザベートを出すか否かを最後まで悩みました。しかし、シリーズの主人公と言えるエリザベートはやはり出しておきたいと思い、登場させることにしました。そのために、予定の文字数を大きく越えてしまい、書くのも時間がかかってしまいました。
ちなみに最後にエリザベートが座った駕籠というのは、江戸時代の大名が乗るような仰々しい代物ではありません。一本の木の棒に人が座る部分を吊るしただけの物です。どうしても、エリザベートが森を歩いたり馬に乗る姿が、作者としてイメージできなかったので書きました。
アルブレヒトは、自己中心的な内面を書いたつもりです。こうした人物の視点は難しく、かなり苦労しました。また、本作は場面転換や移動の描写の難しさを痛感しました。文字数を意識したこともあって、かなり単調になってしまった気がします。
次作は、ヴィルマかウルストラ視点を前後編くらいで書きたいと考えています。どちらにするかは悩み中です。
それでは、拙作『こんなこと絶対間違っている』をお読み頂き、ありがとうございました。




