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42人の教室  作者: 夏空 新
第3章

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41/88

23:始動、探偵と助手

《18:13/食事会場》

「で、本当に君は探偵なの?」

 僕は松本さんに聞く。

「えぇ、本当よ」

「じゃあ実際に事件を解いたことも…」

「ま、とは言ってもただ進言しただけんなんだけどね」

「進言?」

「佐藤君よ、私の特徴と言えば何かしら?」

「それはもう推測でしょ?」

「えぇそうよ。ところで推測一つで警察が動いてくれるかしら?」

「それは……うーん……難しいんじゃないかな」

「そう。だから私がしたことはあくまで『こうなるかも』とアドバイスしただけなのよ」

「それで結果は」

「検挙率の優秀な敏腕刑事を何人も産んできたわ」

「あ~………なるほどね」

 それは探偵というより占い師に近いんじゃないかとも思ってきた。

「だから私個人の実績はなんもないんだよね、感謝した刑事さんからはぜひ紹介させてほしいと言われたことも幾度とあったけど」

「それはどうしたの?」

「全部蹴ったわ。私のこの推測は本物であると過信しているけど、それを表立って言うと胡散臭いと思われそうでね」

「まぁ確かにそっか」

「だから私の名前は新聞のどこにも載っていない。強いて言うなら噂ができたくらいよ」

「どんな?」

「迷宮入り難事件を全回避させた名探偵」

「つまり君の言う探偵ってのは職業じゃなくて………自称?」

「これを見て」

 松本さんはテーブルの上にバッチを置いた。そのバッチは金色で両サイドにモミジのような葉っぱのデザインが、真ん中には「加」の文字があった。

「何これ? 代紋?」

「まぁいわゆる探偵バッチみたいなものさ、私はそこに所属している探偵ですよって証明。周りの葉っぱは菊の葉っぱらしいわ。花言葉の真実から取ってるとかなんとか諸説あり、真ん中の加えるの字はね―――」

「ねぇ松本さん」

「何かしら?」

「僕の犯罪研究部での話は君の話の何百分の一にも相当しないほど中身はないよ? そこまで話されても僕は君を満足させる話を持ち合わせていないよ」

「なに、さっきの情報の対価はものの例えだ。遅かれ早かれどのみちこれは君に話すべきだと思ったのよ」

「どうしてまた急に」

「そうね………佐藤君、君に頼みがあるんだ。まぁこれについては夕食後私の部屋で話そう」

「松本さんが僕に頼み事なんて珍しいね」

「これでも私は佐藤君のこと信用しているのよ」

「ありがたいね」

「さて、夕食の続きとしようか、君の犯罪研究部時代の話を添えて」

「君ほどのビッグな話題はないけどね…」

 僕がここで話したのは入部した頃、一つ上の先輩である椿 ルカとの邂逅。二年目に入って出会ったたった一人の後輩である瀬戸 コウジとの邂逅。そして実際に調べたことと発表した内容。エトセトラエトセトラ。

「とまぁ、僕のエピソードはここまでだね」

「いや、随分と濃いエピソードだったわ」

「そうかな?」

「あぁ、胸を張ってくれ」

「ありがとう…」

「ところで質問なんだが、君の先輩である椿 ルカ氏について」

「なんだろう。僕は椿先輩本人じゃないから答えられない話かもしれないよ?」

「いやぁ、簡単な質問さ。椿 ルカ氏は毎日部活に顔を出していたかい?」

「え? あぁ~、たま~に不在だった時があったね。でもそこまで気になるほどでもなかったよ」

「そう」

「今の質問になんか意味あるの?」

「いやぁ特に。私が少し気になったと思っただけさ、推測の摺り合わせだよ」

「そうなんだ」

「さてと、そろそろ夕ご飯も終わることだ、お互い切り上げようか」

「そうだね」

「じゃあ佐藤君、さっき言った頼みごとの件だけど」

「あぁうん、松本さんの部屋に行けばいいんだよね」

「それなんだが、そうだな………19:15頃に来てくれないか」

 時計を見ると18:46を指していた。

「うん? まぁ別にいいけど」

「こっちからの頼み事で申し訳ないがよろしく頼む」

「わかった、19:15頃に向かうね」

 そうして僕らは


《19:15/302号室前》

 僕の部屋の正面が松本さんの部屋だ。それは前々から知っている。僕は呼び鈴を押した。

「佐藤君かい。時間通りとは偉いわね」

 ドアの向こうから松本さんの声がする。そしてガチャッとドアが開く。

「入りたまえ」

「お邪魔します」

 部屋に入ると女子の部屋特有の甘い匂いが鼻をくすぐる。マリアの部屋を思い出すなぁ。

「さてと佐藤君。わざわざ来てもらった理由だが、これだ」

 そう言って松本さんが差し出したのは黒いカード1枚、昨日配られたゼミの課題カードだ。

「これは………いいの? 人によってはそれがアキレス腱にもなるって」

「もう晒したわ。見てわかるわ」

 そう言うので僕はカードを手にし、裏返す。そこにはこう書かれていた。


【このゼミの真実を掴め】


「これを見たとき私は正直動揺したわ。私が探偵であることを知っているみたいじゃない」

「確かにそうだね」

「で本題に戻ると、私はこの真実を掴むための助手が欲しくてね、ぜひ佐藤君には私の助手になってもらいたい」

「課題をクリアしてお金が欲しいの?」

「いいえ、探偵としての血が騒いだだけよ」

「そうなんだ、まぁ理由がどうであれいいよ」

「随分と即答だね」

「君が探偵であるとカミングアウトして、この課題を見た瞬間、おおよそ見当がついたんだ」

「そうか、さすが佐藤君、勘が冴えているね」

「実際ゼミの真実を知るのはちょっと面白いかもね」

「その意気だ、よろしく頼むよ」

 松本さんは握手を求めたので僕はそれに応えた。

「そうだ、松本さんの課題カードを僕が知ったことだし、君に僕の課題カードの内容を伝えた方が平等だよね」

「軽口だからそこまで君にとっては弱点じゃないんだね」

「だって本人が一番困っているからね」

 僕は念のためにと事前に用意していた課題カードを松本さんに渡す。

「用意周到ね、どれどれ……………確かにこれは難しい課題だ」

「でしょ」

「私もできれば君の課題に協力するさ、それがギブアンドテイクだからね」

「恩に着るよ」

 こうして僕と松本さんは結託してゼミの真実を掴む徒党を組むことになった。

 そして今日という1日が幕を閉じる。

物語の大本になるだろう一つの決め手だと思いながら書いていました。

探偵松本と助手佐藤のコンビ結成は今後の物語の軸となるテーマだと思います。


どこかで出すと思うけど先に情報を出すと松本さんが持っていたバッジの『加』は加賀美家という探偵組織の頭文字から取っています。

必ずどこかで詳細を語ることを約束します。

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