隙間[7]
【キラー・チルドレンについて調査報告 佐藤 タケル①】
キラー・チルドレン。それは僕ら同世代の若者たちが殺人をする総称である。
今回はそのキラー・チルドレンについて調査を行った、その報告である。
※しかしあくまで噂の域を出ないものである。
元は江戸時代に治安維持のために結成された組織『左門一派』から始まった。そこから寝覚月、衣更月、春待月、神在月、夢見月と5つの家系に分かれた。
他にも派生が家系からは離れだ別側面の殺人鬼一派やそれら殺人鬼を匿い、情報整備をする集団も存在しているとされている。
では次に各家系ごとの殺しの手口について解説する。
(続く)
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【佐藤 タケル犯罪研究部時代 ①椿 ルカとの邂逅】
《2年前/鳥籠[陸奥]学園1年1組教室》
「部活動かぁ~」
高校一年生の僕は机に突っ伏して悩んでいた。正直、中学生の記憶がないためなんの部活をやっていたのか覚えていなかった。でもバスケがどういうわけか得意?だからバスケ部に入るのが正規ルートなのかなとも考えている。でもそんなんじゃ面白くないし、というかスポーツをするのがあまり好きではないから文化部のどこかに所属したいなぁと思う気持ちの方が勝っている。
「タケルまだ決めてなかったの?」
そう声をかけるのは同級生で同棲している恋人、御国啼 マリアだった。
「そういうマリアは?」
「私は生徒会の手伝いとかで生徒会室に遊びに行こうかなって思うから、部活はいいかなぁってプラン」
「え? マリア、生徒会に知り合いいるの?」
「いるよ~」
「相変わらず知り合いを作るのが早いね…」
「タケルも私と一緒に行く? 生徒会の人良い人たちばっかだし」
「いや遠慮しておくよ、何かの部活に入りたい気持ちはあるからね」
「そう、まぁ頑張んなさい」
と言いながらマリアは僕の頭を撫でる。
「おーい佐藤」
すると向こうから同級生の声がする。
「何かな?」
「なんかお前に用があるって客人が来た」
指さした先には茶髪の長い髪に金色のメッシュを数本入れたスラッとした長身の女性が立っていた。まぁこの学校は校則がゆるいから多少なりとも派手であってもおかしくないか。胸元のリボンを見ると一つ上の学年の先輩であることがわかる。
僕は彼女の方へと向かった。
「やぁ、急に呼び出して驚いただろうね」
「えっと………前にどこかでお会いしましたか?」
「いいえ初対面よ」
「じゃあその、そんな初対面の僕に何か用でも?」
「ここじゃなんだ、人の行き来を邪魔するから廊下で話そう。なぁに、お姉さんは君に害を与えることはないさ」
「はぁ…」
それが僕と椿 ルカとの出会いだった。
「で、佐藤君。君部活動はどこにするか決めたかい?」
「いえ、まだです」
「そうなのね! いや~、君には私が部長をしている部活に入ってもらいたいなって思うのよ」
「は、はぁ…」
「ちなみに運動部が嫌だと思っている君に朗報、文化部だよ」
「なんでそれを!?」
「君、入学式の時新入生代表の挨拶をしたでしょ? ステージ上で歩いているのを見てね、『あ、君は運動をするのが嫌いなんだな』って分析したのよ」
それだけでと思うし、胡散臭くとも取れる話をされてしまい困惑している。
「それに君の話し方は、興味のあることには執着心を持って食らいつく様子が読み取れるんだよね~」
「どうしてそこまでわかるんですか…?」
「お姉さん、人間観察が三度の飯より大好物で、逆に人間観察をしすぎて『こういうことをする人はこうだ』ってバイアスを山ほど抱えているの。でもそのバイアスが正しくてね、今こうしている間にもすでに2つ当てたでしょ?」
「確かにそうですが…」
「それで君は間違いなく私の部に適任だ!ってビビビッて来たんだよね~」
「それでその部活というのは…」
「おっとそうだった。その部活なんだけど、犯罪研究部って言うんだ」
「………は?」
「アハハッ、まぁそんなリアクションになるよね~。文字通り犯罪について研究してその成果を報告する部活だよ!」
「そんな部活ありましたっけ?」
「う~んチクチク言葉、影が薄いのよ…」
「あ、あぁ~…」
「ね! 私の分析だと君はこの部活が適しているなって思うの! まだ入るところが決まっていないならいいんじゃないかな?」
「う~ん、それは………」
「お願い! 最低でも今年の1年生を一人入れれば休部は避けられるの! そこそこ長く続いているこの部活を私の代で止めるのは嫌なの!」
「そうなんですか…」
まぁ実際現状行く当てはないし、この人が僕を必要としているのなら断るのも申し訳ない。それに犯罪を研究するってのも悪くはないなぁと思ったのは間違いない。
「わかりました。困っているのなら、僕で良ければ入部します」
こうして僕は犯罪研究部に所属した。
(続く)
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《19:04/302号室》
松本 アスカはゼミターミナルで誰かに電話を掛けていた。
「あ、もしもし。お久しぶりです、カスミ先輩」
『お、こよみんじゃん、おひさおひさ~。珍しいね、こよみんから電話をかけてくるなんて』
「えぇ、連絡先を交換してからだと私の方からかけるのは初めてかもしれませんね」
『だよねぇ~、どうしたの急に』
「率直に聞きますが、カスミ先輩って椿 ルカですか?」
『………どうしたの急に?』
「否定しないということは当たりなんですね…」
『こよ……いや、アスカちゃん。トゥルー・ネームで名前を呼ぶのは御法度よ』
「そういうあなたも私のトゥルー・ネームを知ってるじゃないですか」
『立場をイーブンにしたのよ』
「御厚意感謝します」
『で? 君の伝家の宝刀推測で私の名前を当てたのはいいとして、わざわざ電話してきたわけは?』
「佐藤 タケルをご存じですか?」
『あぁ、うん。私の後輩くんだよ。驚いたな、どうして彼の名が君の口から出るんだい』
「今わけあって彼と同級生なんです」
『へぇ~、あ、わかった。都市伝説になっていたゼミでしょ! 本当にあったんだ~』
「えぇ、私も佐藤君もそれに選ばれました」
『それはまた面白いね~』
「その佐藤 タケルなんですが、何か感じたところとかあります?」
『………うん、やっぱりこよみんも同じことを思ったのね』
「えぇ、少しですが」
『だとしたら君も加賀美の一人として胸を張ってもいいわ』
「何なんですか、彼は?」
『私の分析を駆使してもわかったことは、内に何か秘めているくらいよ』
「先輩の分析でも、私の推測でもわからないんですね…」
『こればかしは少しでも違和感に気付けただけでも100点よ。私なんて漁っても無理だと決めつけたわ』
「先輩、逃げたんですね」
『失礼な、分析して逃げたのよ』
「どっちでもいいですよ」
『………こよみんは追うんだね、真実に』
「見るのが怖いですがそのつもりです。そのためにも今の推測の摺り合わせができてよかったです」
『そう、私なんかが役に立ってよかったわ。こよみんのゼミが終わって卒業したらさ、また皆でご飯とか食べに行こうよ』
「えぇいいですとも」
そうしてアスカは電話を切った。
(佐藤君、君は何者だ…?)
アスカの思考はぐるぐるとめぐる。今の彼女のトレンドは佐藤 タケルと42-死人-ゼミの2つでいっぱいだった。
一つ目は佐藤君が過去に調べて、まとめたキラー・チルドレンに関する資料の一部。もちろんこれには続きがあります。タイミングを見計らって小出しにしていきます。
二つ目は佐藤君が犯罪研究部に入る前の話、そして先輩との出会い。前話で後輩の名前がチラついていましたが彼との話もそう遠くない未来に出てくると思います。
三つ目は佐藤君と松本さんが探偵・助手コンビを結成する直前の一幕。そして佐藤君の先輩である椿さんは松本さんと同業の探偵で同じ加賀美家の人間であることが描かれています。
松本さんはコヨミ、椿さんはカスミと名前があるようですが、これは言わばコードネームみたいなものです(漢字一文字読み三文字ルールがあります)。それぞれ普段は加賀美 コヨミ・加賀美 カスミ名乗っています。ちなみに年も近いこともあり、2人は先輩後輩関係として仲がいいです。




