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42人の教室  作者: 夏空 新
第2章

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26/88

隙間[3]

《8:27/植物園》

 佐藤 タケルが鹿島 カズキとオーラについて話をしていた一方で松本 アスカと羽入 ハルカの方でも会話があった。

「初めまして……えっと」

「松本 アスカ。よろしくね、羽入君」

「よろしくお願いします。松本さんは男性女性問わず君付けで呼ぶのですね」

「癖みたいなものさ、嫌だったかい?」

「いいえ、少し気になったの」

「そうかい。ところで羽入君はどうしてここに? 鹿島君と一緒に来たとは見えないが、どうだろうか?」

「鹿島さんとはたまたま近くに来た時に会ったのよ。少し変わった人だったわね」

「変わった人?」

「人のオーラが見えるとか言うのよ。怪しい占いかと思いましたわ」

「それは面白い人ね。後で話してみようかしら」

「鹿島君のことは一旦置いといて、私がここに来た理由ですが、純粋に植物園が気になったのよ」

「この施設自体がってことかしら?」

「それもそうね。でもどんな植物が育っているのか見てみたかったってのもあるわ」

 ハルカはしゃがんで花を眺めた。その先には白や黄色、紫のパンジーが咲いていた。

「私、実家がお花屋さんでその流れから花とか植物が好きになったのよ。ところで松本さんの誕生日はいつかしら?」

「私の誕生日かい? 4月10日よ」

「あらそれは偶然。ちょうど4月10日の誕生花がパンジーなのよ」

「誕生花?」

「365日それぞれに生まれた日にちなんだ花のことよ。神話とかそういうのに紐づけて割り当てているから必ずしも正しい誕生化があるわけじゃなくて、例えばこのパンジーも他に2月2日、5月25日が誕生花として扱われているわ」

「なるほどね、もしかして羽入君はその誕生花とやらを全て覚えているのかい?」

「まさか、贈り物とかでの知識だからメジャーな部分しか押さえていないわ。いつか覚えてみたいけど脳が先にパンクするわ」

「そうなんだね。ちなみにパンジーの花言葉は知っているのかい? 私も花言葉があるなんてことくらいはわかるが、どんな言葉なのかまでは知識がないものでね」

「えぇもちろん。ただパンジーは色によって花言葉が異なるの。白は心の平和、紫は思慮深い、黄色は慎ましい幸せね」

「色によって方向性は同じであれど中身は違うのね」

「そうね。松本さんに送るなら紫のパンジーがいいかもしれないわね」

「……私はそんなに思慮深く見えるかい?」

「う~~~ん。なんとなくクールでさっきも私が鹿島さんと会った時のことを推理っぽく話していたからね」

「そうかい」

 アスカはタケルと共に図書室に向かうまで、引き続きハルカと談笑していた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

《8:31/図書室》

 仮屋 アキラは図書室に来た。ここに来るのは初めてで彼も表情に表さないが確かにワクワクしている気持ちがあった。

(やっぱ落ち着くなァ、この静かさはよ)

 しばらく図書室内の本を手に取っては戻してを繰り返していた。そんな時間を過ごしているとアキラの目には一冊のスクラップブックが目に入る。

(なんだこれは……スクラップブックか)

 彼はスクラップブックを手に取るとしばらく読んでいた。あるページに入るとアキラは持っていたスクラップブックをギュッと強く握りだした。そして舌打ちをしながら

「くっだんねェ………」

 と言い、そのままページを引き千切った。右下には11と書かれ大きく『生徒1名心停止 搬送されたが回復』と書かれた記事がクシャクシャになりながら表に写る。アキラはそのままその紙を近くにあったゴミ箱に丸めて捨てた。

(ふぅ、さて他に面白い本は転がってないか)

 何事もなかったかのようにアキラはそっとスクラップブックをもとの場所に戻した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

《佐藤 タケルと松本 アスカの読んだスクラップブックの一部》

・『教師10名殺害 女子高生関与か』 □□新聞

 20XX年6月25日。東京都にある私立鳥籠[陸奥]学園にて茶谷(さたに) ヨウジさん(当時32歳)含む計10名の教師が鋭利な刃物により刺殺された。

 容疑者は当校に通う女子高生(当時16歳)だが、教室の窓から飛び降り自殺を図る。

 頭を強く打ち搬送先の病院で死亡が確認された。警察は容疑者死亡のまま書類送検する。

 尚、遺体には複数の切り傷があったが事件性は皆無として処理している。

※この記事の外側に黒いマジックペンで「京極(きょうごく) ココア」と文字が書かれている。


・『繁華街で大暴動 12名を逮捕』 〇〇雑誌

 20XX年3月22日。新宿区の繁華街にて若い男女による騒音問題が発生

 警察が駆け付けたところ、気絶した男女が12名と騒いでいた様子が流れた映像を映すタブレット端末があった。

 そのまま全員を逮捕するまでに至ったが誰によるものか不明のまま事件は幕を下ろした。

※この記事の外側に黒いマジックペンで「八密が関与か?」と文字が書かれている。


・『権藤ケイスケ急逝 心不全か』 □□新聞

 20XX年5月31日。▲▲党所属の権藤 ケイスケ議員(当時62歳)が自宅で倒れているのを妻が発見。

 既に死亡しており、病院に搬送されたところ急性心不全によるものだった。

※この記事の外側に黒いマジックペンで「KC?」と文字が書かれている。

一つ目は羽入さんの花に対する知識アピール回。私も彼女のように花言葉を調べるのが大好きである一人です。贈り物の花などを見ると考えちゃうんですよね。羽入さんみたいな人が近くにいたら花束を贈るときの相談相手になってほしいですね。


二つ目は行方不明になっていたページの真相ですね。そうです、仮屋君が破っていました。どうししてでしょうね?

ところで図書館内のゴミ箱に捨てて大丈夫なのだろうか?


三つ目は佐藤君と松本さんが見つけたスクラップブックの中身についてですね。

佐藤君が何度とそれとなく語っている事件についてはどこかで語られるでしょう。重要かそうでないかはその時にわかるかもしれません。

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