32話 リエルの出発とクラウスの憂鬱
誤字脱字、おかしな部分は随時修正していくつもりですが、なかなか時間が取れなくてすいません。
テルマ達との挨拶を済ませると、足早に衛兵たちがいるテントへを向かうリエルとミヤビ。
〖クラウスさん起きてるかな?〗
〖誰かしら寝ずの番くらいしてるじゃろ?そこで聞いてみたらよい〗
そんな事を話しながら村の中を進んでいくと、やがて目的の場所へと到着する。依然見たときよりもテントの数も減ってる様に見えるが、特に気にする事もなく誰かいないか辺りを見ていると、都合よくヴレアがいるのを見つけるリエル。
ヴレアもリエルに気づいたのだろう。軽く頭を下げるとリエルの元へと歩いてくる。
「おはようございます。リエルさん」
「おはようヴレアさん。クラウスさんはいますか?」
「あぁ、昨日の件ですね。それについては私が隊長から手紙を預かってますので、これに目を通して貰っていいでしょうか?」
「え?どういう事?」
「端的に言うと、昨日のフォッシルリザードの事でですが、私達が村に戻ってきた少し後に町から増援隊が到着したのですけど、討伐した魔物が魔物ですからね。隊長はその件で援軍隊と、昨日の夜には討伐した魔物を運びながら村をでてバランディアに向かいましたよ。詳しい事はその手紙に書いてあると言ってましたので、申し訳ないのですが私はそこまで詳しい事は知らされていないのです。ただ薬の方はしっかり受け取っているので問題なくお渡しできるようになってますよ」
そういうとヴレアはテントの中からアイテムポーチを持ってくると中から液体の入った瓶を、備えられている机の上に手早く並べていく。
「・・・数はこれで足りてますか?」
「えっと・・・はい。大丈夫です」
リエルは瓶の数を数えながらチェストリングへとしまっていく。全てしまい終えると、ヴレアから声がかかる。
「では、確かにお渡しいたしました。ところで・・・こんな朝早くからどこかへ出かけるのですか?随分と物々しい恰好をしますけど」
リエルの恰好をみて気になったヴレアが質問を投げかける。
「はい。バランディアまで用事があって、これから向かう所だったんです」
「え?一人でですか?」
「え、えっと・・・」
そういうと、リエルはちょいちょいと耳を貸す様にヴレアを促す。腰を落としたヴレアの耳元でリエルは小さく告げる。
「ミヤビも一緒だから大丈夫です」
その言葉をきいて、従魔の存在を探し、周囲に目をやるが姿はみえない。ただ昨日ミヤビを見ているヴレアはそれ以上詮索する事はやめ、「なるほど」と一言いうとすっと立ち上がり、リエルに視線を落とす。
「バランディアまでは結構距離がありますし道中、魔物がでるかもしれませんからお気をつけて。隊長からリエルさんの事は聞いてますので、私が心配する必要はないかもしれませんがね」
「ありがとうヴレアさん。それじゃあたしはこれで」
「はい。いってらっしゃいませ」
ヴレアと別れ、リエルは村の出口へと向かう。すると、そこには家から先に出て行ったエリックが待っていた。
「もうやり忘れた事はないかい?」
「うん。忘れ物はないと思うわ」
「そうか。それじゃ、気を付けていってきなさい。・・・リエルをよろしくお願いします」
傍にいるだろうミヤビに向けた言葉も最後に口にし、エリックはリエルの頭を軽く撫でる。その撫で方は今までと違って、名残惜しむような思いが十分に伝わってくる仕草を見せていた。そんなエリックにリエルは笑顔で答えた。
「行ってきます!」
リエルは村の外へと足を踏み出し走っていく。振り返るとエリックが見えているが、村に気持ちが引かれるのを避ける為、軽く手を振ると前を向き進んでいく。
リエルとミヤビの冒険の幕が上がる。
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時は昨日の夜まで遡る。
到着した援軍隊の一人と話しをしているクラウス。
「そういう訳で、何とかヴレアの援護を受けて、私がフォッシルリザードに留めを差したのです」
「貴様が?留めを差したといったが他の兵は何をしていたんだ?まさかフォッシルリザードに怯えて隠れていたのか?」
「ですから、皆必死にフォッシルリザードを食い止めていたんですよ。勇敢に魔物に挑むが、次々と毒で石化していく者が出始め、ついに最後に残った私とヴレアで戦い、ヴレアの魔法で作った隙をついて【オーバーアタック】を使い、何とか討伐に至ったわけです」
「つまり私がここまで来たのは無駄骨だという訳か?ふざけた話だな。しかもなんだ?結局、エルフ共を攫おうとした賊の生き残りも逃がしてしまった訳か。とんだ体たらくだな」
「・・・それについては弁解する余地はありません。村人を守る事を優先した次第です」
「・・・ふん」
クラウスと話しをしているこの男。バランディアの町を収める領主で、名前をハボット・オークランドという貴族で、クラウスがあまり好ましく思っていない相手で、何かと黒い噂の絶えない人物である。
「しかし、ハボット様自らこちらに来るとは思ってませんでしたよ」
「フォッシルリザードが相手となれば衛兵如きでは無駄と思ったまでだ。だが結局は連れてきた私の自慢の護衛達の出番はなかったわけだがな。腹立たしいことだ」
「そこまでして頂いたのに申し訳ないです。ですが、我々も無事で、村にも被害が出ずに済んでよかったと思って頂ければと思います」
「まぁいい。賊の方はこちらも手を打とう。お前には詳しい話が聞きたいから町に一度戻ってもらうぞ。フォッシルリザードも一緒に町へと運ぶが問題はあるか?」
「フォッシルリザードの方は問題ありませんが・・・今からですか?もう日が落ちてますから危険なのでは?」
「私がいつまでも町を離れている訳にもいかん。つべこべ言わずに準備しろ。あと今後、この村に同じような事が起きた時の事を考えて、町から駐屯兵を出そうと考えている。この村には価値があるから、盗賊共に渡すわけにはいかん」
普段の傲慢な態度を知っているクラウスにとって、意外な考えを明かしたハボットに思わず同意する。
「それはいい考えですね。流石はハボット様です」
「そうだろう!まぁまずは町に戻って駐屯所を作る計画書を用意し、この村の責任者に会う必要があるがそれはまた今度だな。それと、フォッシルリザードを運ぶのに人手が足りん。何人か衛兵隊も一緒に町まで運ぶのを手伝わせろ」
そういうとハボットはフォッシルリザードを何台か繋げた台車に乗せる作業をしている護衛達の元へと歩いていく。その様子を確認すると軽くため息を付くクラウス。
(傲慢で無茶ばかりいう人だと思っていたが、意外と回りの事も考えているという事か?しかしこれから移動となると、リエルさんに渡す薬をどうするか・・・。)
そんな事を考えながらクラウスはテントへと向かい、何人かの兵士に帰還の準備をするように告げる。そして周囲に聞かれていないか用心しながらヴレアに話かける。
「ヴレア、すまないがお前も村に残ってくれ。少し頼みたい事がある」
「私ですか?かまいませんが、それで一体何をすればいいんですか?」
「これから書く手紙をリエルさんに渡してほしい。それと解石薬も一緒にな」
「あぁ、そうか。隊長はこれから町へ戻ってう訳ですからそれは必要な事ですね。了解です。任せてください」
「頼む。今用意するから少しまっててくれ」
そういうとクラウスは机に向かい、手早くペンを走らせるのだった。
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町に向かう街道を歩きながら、手紙に目を通すリエル。その隣には不可視化を解いたミヤビの姿も一緒だった。
「で?手紙には何が書かれてるんじゃ?」
「うん。あたし達に挨拶と、薬を直接渡せなかった事をあやまってるわね。それと・・・わぁ!どうやら村を守るために衛兵さんが警備してくれるようになるかも知れないらしいわよ」
「ほう。それはいい話じゃな。よかったではないか」
「あとは・・・お婆ちゃんやエリック兄さん、それとミヤビによろしく伝えてくれってさ。よかったわね。ミヤビの事も含まれてるわよ」
「まぁ妾は別にどっちでもいいがな。そこまで興味があるわけでもない。秘密を喋られることがなければどうでもいいしのぉ」
「折角クラウスさんが気にしてくれてるのにひどいわね。まぁミヤビらしいけど。書いてあるのはそれくらいかな」
リエルは手紙をポーチへしまうと、地図を手に取る。
「バランディアに向かった後は・・・次はここかな?」
「どれどれ・・・」
リエル達は地図を見ながらバランディアへ向けて、期待で胸を膨らませながら歩いていくのだった。
お疲れさまです。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
楽しんで頂ければ幸いです。




