表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/99

30話 明日に備えて

誤字脱字は時間があるときに修正していきます。


旅の計画と準備編は終わりになります。

次回からはやっと旅にでる予定です。


話の展開が遅くて申し訳ないです。

 夕食までには解体は間に合わないと判断されたラットブルをリングにしまったリエルは、ソニックバードの解体を始めているエリックの側により、その作業を手伝い始める。

 手際よく解体の手順をリエルに教えているエリックと、フォッシルリザードの肉ブロックから必要な分だけ肉を切り取ると


「リエル、必要な分のフォッシルリザードの肉は切り出したからしまって置いておくれ」


 そう言うと家の中に戻っていくリリーナ。リエルは解体作業の手を止めて、フォッシルリザードの肉をリングに収納し、再び元の位置に戻ってエリックと作業を再開する。


 だいぶ日も落ちてきた頃、ソニックバードの解体を無事に終えたリエルの手には、後かたずけをしているエリックの傍で、ソニックバードの魔力の結晶である薄緑色の綺麗な魔石を興味深そうに覗き込んでいた。


「これが魔石かぁ。なんだか宝石みたいな感じがして綺麗」


「ん?そうだなー。その魔石は亜種個体の物だから普通のとはちょっと違うんだろうな。俺が知ってるのはもっと色味が濃い石みたいな感じだよ」


「へぇ〜。全部がこんなに綺麗なわけじゃないんだ」


「さっ。解体は終わったからリエルもいつまでもそれを見てないでこっちの残りをしまいなさい。俺はこっちをお婆ちゃんのところに持っていくから、リエルもそっちが済んだらミヤビ殿と一緒にうちも中に入りなよ?」


 そうリエルに言い残して、解体したソニックバードの肉をいくらかもって家の中へと入っていく。

 リエルが魔石と残った肉をリングにしまっていると、ミヤビは椅子から降りてリエルの側まで歩いてくる。


「【チェストリング】の扱いにも慣れてきた様じゃな。便利な物じゃろう?」


「確かにこれは便利ね。実際に使って見ても全然邪魔にならないし、食べ物も悪くならないから旅の途中でも安心できるわね」


「そうじゃ。衣食住とは人の重要な要素じゃからな。時にリエルよ・・・。お主、飯、料理はできるのか?」


「まぁ基本的な事ならできるけど。なんで?」


「ん?いやな?旅の途中の食事が食えたものではないなんて事になったらどうしたらよいかと考えておっただけじゃ。その様子ならまぁ安心しても平気そうじゃな」


「・・・やっぱり食べ物の事なのね」


「まぁのぉ。妾も遙か昔から様々な物を口にしてきたが、現在の下界の料理はかなりの物みたいじゃからな。期待してしまうのも仕方がないという事じゃ。今晩の夕食も大いに期待しておる故、妾達もさっさとうちにもどるぞ」


「はいはい。こっちも終わったからいきましょ」


 二人も家の中へと戻っていく。


 家の中に入ると胃袋を刺激するような、肉の焼けるいい匂いが漂ってくる。

 その匂いを嗅ぐや否やミヤビはリエルを追い越して猛ダッシュでリビングへと突撃する。以外にもリエルもそれを追う様に走り出す。

 リビングに一歩遅れて現れたリエル。ミヤビは既にいつもの席に陣取り、匂いに期待して、尻尾を猛烈な勢いで振り回している。

 二人が来たのに気づいたリリーナとエリック。


「来たか。まだ出来上がってないから、リエルは早くその服を着替えてきなさい。それからちゃんと手を洗うんじゃぞ」


「ねぇねぇ!この匂いってもしかしてフォッシルリザードの肉なの?」


「あぁそうじゃぞ。儂も手始めに軽く焼いてみただけじゃが、実においしそうな匂いがしたもんじゃから驚いておるよ。ちょっと摘まんで見たが・・・ミヤビ殿がうまいと言っていた事、期待していいぞ」


「ずるい!あたしも食べる!」


「わ、妾も食うぞ!」


「わかったわかった。まずはリエルは服を着替えてきなさい。ミヤビ殿もリエルが来るまで待ってやってもよいじゃろう」


「リエルよ!いつまでも突っ立ってないでさっさと着替えるんじゃ!」


「わかった!」


 リエルはすぐさま自室へと戻り、しばし待つと服を着替えた姿で部屋から出てくる。リビングに戻るとリエルは手を洗い、期待の眼差しでリリーナを見つめる。


「そんな目で見なくても・・・ほれ。ミヤビ殿の分もある。これでも食いながらもう少しまってておくれ。あとこっちはエリックの分じゃ」


「俺の分も?」


「・・・涎が出とるぞ。全く」


 はっとして口元を拭うエリックを見て、リリーナとリエルは笑いを洩らす。リエルとエリックはテーブルまで移動して席に着き、リエルはミヤビの前に器を置くと、まじかでスンスンと肉の香りを味わいミヤビは堪らず身悶えする。


「ふおー!焼いたフォッシルリザードの肉とはまた、生の物よりずっといい香りじゃなぁ~。早速頂くのじゃ!あぐっ!・・・もぐもぐ・・・」


 肉を一口かじり咀嚼しているのを見ていたリエルとエリックもその肉を口に運ぶ。

 二人と一匹は静かにその肉の味を確かめる。そして表情が緩み、何とも言えないだらしない笑顔をそろって見せる。


「こいつはうまいな。フォッシルリザードの肉ってもっとぶよぶよしているイメージだったんだけど、柔らかくて、噛めば噛むほど肉のうまみが十分に味わえるいい肉じゃないか。いやぁ、おいしい」


「ほんと!あたしこんなおいしいお肉初めて・・・はぐっ・・・」


 初めて食べるフォッシルリザードの肉のおいしさに二人して声を上げる二人とは違い、ミヤビはひたすら肉を口に運んでいる。あっという間に自分の器の肉を平らげると、ものほしそうな目でリエルの肉に目を落とす。

 その視線に気づいたリエルは、軽く笑みをこぼしてその肉を半分に分けるとミヤビの器へと運ぶ。


「あなた、ほんとに食い意地が張ってるわね。あたしも食べたいから半分だけだよ」


「うむ!ありがとうなのじゃ!」


 以外にも素直な反応をするミヤビに面食らったリエル。その隙を付いたミヤビは行動にでる。


「・・・油断するなといったであろう!」


 素早くリエルの器の肉へと噛り付き口の中へと納めると、自分の器の肉も続けざまに口に運び、頬を一杯に膨らませて何食わぬ顔をしている。

 勿論そんな事をされてリエルが黙っているはずもなく、リエルはミヤビの頬に平手を放つが、それをミヤビは優雅に躱す。


「この馬鹿!あんたってほんとに食べ物に事になると見境ないわね!・・・あと避けるんじゃないわよ!」


「ふふん。ふぉれもふんれん(これも訓練)ひゃとおもっふぇ(だと思って)・・・んぐっ、妾の動きを捉えられるように精進する事じゃな」


 ミヤビの言葉を受けて、リエルから強い魔力が漏れ始める。


「や、馬鹿者!やめるんじゃ!わ、わかった。妾がやり過ぎた故反省する。じゃからそいつを使うのはよすんじゃ!」


 勿論漏れていたのは魔王の魔力。頭に来たリエルが無意識に発動させてしまったのである。つまり、それだけ怒っているという事を理解したミヤビが謝罪の言葉を口にするのは早かった。


「人の物を取るのは泥棒と一緒なんだからやっちゃだめよ!全くもう!」


 ミヤビの反省の言葉に漏れていた魔力は自然に四散し事なきをえる。


「う、うむ。少々妾もやり過ぎた。以後気を付けよう」(まさかこの程度で【魔力解放】を使いだそうとするとは・・・以外にこやつ、短気じゃな。少し気に止めといた方がいいかもしれんな)


「これこれ、喧嘩せんでも・・・ほらこっちももうできたから運んでおくれ」


「そうだぞ二人とも。ほら、リエルも料理を運ぶのを手伝うよ」


「ミヤビ、あんたも手伝いなさいよ」


「む。し、仕方ないのぉ」


 エリックの後をついて台所へと移動するリエル、人化の術を使って人の姿を取ったミヤビも後に続く。

 テーブルには所せましと料理が運ばれ、一般の家庭では見られないような食卓が出来上がった。

 四人は席に着くと、みんなでその料理に手を伸ばし始める。


「フォッシルリザードの肉もうまいが、このソニックバードの肉も風味がいいのぉ。儂はこっちの方が好みじゃな」


「肉の味としてはフォッシルリザードの方が俺は好みだけど、こっちは酒の摘まみによさそうかな」


「あたしはどっちもおいしいからそれでいいわ!ミヤビはどう・・・って聞くまでもなさそうね」


 三人が各々感想を口にしているが、ミヤビは黙々と料理を口に運んでいる。


「ところでリエル。出発はいつにするか決まったかい?」


 エリックが話の流れを変える話を切り出してくる。

 リリーナもそれが気になっていたようで、エリック同様リエルに視線を向ける。


「そうじゃな。理由は無理に聞かんが何か目的があるんじゃろ?」


「うん・・・。ミヤビとも相談したんだけど明日かその次って言ったけど、お母さんの荷物のおかげで必要な物は十分そろったから、できれば明日にでも村をでて隣の町に向かおうと思うんだけど」


「ふむ。儂等はそれに異を唱えるつもりはない。じゃが、準備はしっかりとしておくんじゃぞ。・・・これからは少し寂しくなるな」


「そうだね。リエル、ちゃんと帰ってくるんだぞ。手紙を書くのも忘れるんじゃないよ」


「うん。絶対忘れずに書くようにする」


 賑やかだった夕食が少し湿っぽくなったのを感じたミヤビは、意外な言葉を口にする。


「何をしょんぼりしておる。せっかくのうまい飯が勿体ないではないか。それに、今生の別れというわけでないんじゃ。妾も付いておる故リエルの事は任せておけ。月並みな言い方かもしれんが、笑顔でリエルを送り出してやるのが家族という者じゃろ?」


「ミヤビ殿・・・。そうじゃな、湿っぽい話などしてはリエルも安心して世界を見て回る事なんできんな。そうじゃろ?エリック」


「あぁ、その通りだ。いや、悪かった。楽しいはずの食事に水を差して」


「ううん、いいの。元はあたしの我儘だし、二人に心配かけてるのもわかるもの。でも大丈夫。あたしは絶対帰ってくるから安心して。ミヤビも一緒だもん」


 料理に噛り付いているミヤビは、頭から飛び出た狐の耳で肯定の意思を示す様に動かしている。


「ふふっ。さぁ、これからしばらくはお婆ちゃんの手料理を食べられないから、あたしも明日に備えていっぱい食べるわよ!」


「な!?リエル!それは妾が狙っておったんじゃぞ!?あ、まて、それも――」


 料理の取り合いを始める二人をみてリリーナ達も笑いながら食事を楽しむのだった。


 -----------


 夕食を終えたリエルとミヤビは、リリーナ達に明日に備えてもう休む事を告げると、リビングから自室へと入っていった。

 リビングに残ったリリーナ達は、残った料理を肴に、二人の旅の事の無事を願いって酒を飲みかわすのだった。


お疲れさまです。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

楽しんで頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ