Frontier
BGM DELUHI - Frontier
「あっそうなんだ?」
苦笑いともなんとも言えない表情になる莉奈。
「あいつ確かアメリカ国籍だからさ、日本人の名前だけど。カゼナ・ブランデンバーグって……そういうとこいくならアメリカ代表で来るはず。ようするに、世界大会じゃないとダメってこと。日本代表なんて遠いって」
「副島ならいけそうだが」
「無理。あれは流石に次元が違う」
例の試験を受けて以降、陸は本大会……すなわち世界大会の問題を見た。
無理だった。
すべての次元が、予想とそれまでの経験を超えていたから。
そういう難しさを耐える人間でないといけないということだから。
スマホをいじり始めていた莉奈が言った。
「まーそうねえ、陸くんの気持ちもわかるけど。うわ、突破者ってみんな頭いい高校ばっか。絹布とかラ・ロシージャとか、旭川開泉とか」
「だろ? ……っていうと人見に失礼かもしれんが」
何より、いまでこそ頑張ってはいるけど、どこかで天井をみる怖さも、自分の上限を知って、そしてその上限の向こうに人の手の届かない知があるという事実も、知りたくはないから。
「人工知能全盛期に、そこまで頑張るかといわれるとなあ?」
「でも受かってうれしいだろ? ほれ、購入証明のページ」
冬矢が言う。
「ありがと。同じ頑張る方でも、ジム行く方が好きっていうか」
AIには鍛えるべき身体がないから、ここだけは勝てるという実感があるから。
一方の莉奈。合格者一覧を見つづけていた。
「男の子ばっかだねーあっ女の子いる。旭川の子がそうなんだ? へ―この子もカゼナってんだ」
「へえ偶ぜ……」
そしてたまたま、その手元をのぞき込んでいた陸。
見て。
飛び上がる。
「あっ」
陸は目を見開いた。




