閑話 会談
金曜日の夜、冬雪は大学のある駅より都心に近い駅の改札口に立っている。
「それにしてもリリエル、男の子と一人で会わないように私を呼ぶなんて、意外と可愛いところがあるじゃないの」
顔立ちはゲームと同じだが、違う色に染めた髪を持つ女性──ドレミと先に合流した冬雪は、不服そうな顔でドレミを見る。
「初めて会う相手よ。それに、あなたとも顔を繋ぎたかったのもあるわ」
「まったく、素直じゃないんだから。あ、そろそろくるらしいよ」
「やあ、お待たせしました。白瀬です」
「って早くない?連絡してから数分だったね?」
「二人の会話が聞こえていたからね。すぐにわかったよ」
やはりゲームと同じ顔立ちの白瀬は、爽やかな笑顔を浮かべている。
「それじゃあ、行きましょうか。たしか、白瀬が予約してくれているのよね?」
「ああ、ボクの行きつけだけど、そこでいいよね?」
白瀬は確認しつつも迷いなく足取りを進める。
数分も歩けば駅の中心を離れ、中層ビルが増えてくる。その一角の地下に目的地はあった。
「こんばんは」
「いらっしゃい。今夜は可愛らしい子を二人も連れてくるなんて、明日は雪が降るね」
「やめてよ、マスター。そんなじゃないさ、友達だよ」
「こんばんは可愛らしいお友達方、マスターです。彼とはもう5年くらいになるのかな?」
三人は案内された席に着き、メニューを眺める。
「さて、まずは何か頼もうか。あ、ボクはいつものやつでお願いね」
「私は、そうね……バーボンをロックで。銘柄はお任せしますね」
「私は柑橘のカクテルをください」
それぞれが注文し、ドリンクが揃う。
「さて、話はたくさんあるけれど、まずは乾杯と行こうか」
チンっと軽くグラスのぶつかる音が響き、一口づつ口をつける。
「まず、来てくれてありがとう。話っていうのは向こうじゃ話せないことよ」
「ウェスティニアの話だね?」
「ええ、いくつか情報の交換がしたいのよ」
白瀬はロックグラスに入っているドリンクを一口飲む。
「まず、前提の確認をしようか」
今夜は長くなりそうだ。冬雪はそう思い、最終電車の時間を調べた。




