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第40話 病院

「病院か……」


大きい方の反応に向かった俺が辿り着いたのは、かなり大きな病院だった。


「てことは、怪我をして入院してるって事か?」


体の一部を欠損する大怪我を負い、病院に搬送された。

それならパーツが二つに分かれている事も説明がつく。


大怪我をして病院に運び込まれたなら、普通は家に連絡がありそうなものだが……まあ本人の意識がなく、身分証も持ち合わせていなかったとかなら、連絡は無くてもおかしくはないか。


ただ、少し気になるのは小さい方の反応との距離だ。

本体は地下から。

そして小さいパーツは、少し離れた高い位置からその反応が感じられた。


建物は違えど、どちらも間違いなく同じ病院内なのだが……

なぜこんなに離れてしまっているのか?


「まあ……繋げられなかったから、切れた部位は別の場所に置いてあるって感じか」


ちょっと気になったが、まあそうなのだろうと結論付け。

俺は病院に入った。


のだが――


「駐車場しかないな……」


大きい方の反応は地下からだ。

にも拘らず、エレベーターの操作盤には、地下停止は駐車場しか示されていなかった。

その突きつけられた状況の矛盾に俺は眉をしかめる。


「そう言えば……病院って霊安室もあるんだっけか」


一般人が入れない様にしてある霊安室が、地下にある可能性は否定できない。

そうなると……


「はぁ……とにかく、確認しないとな」


死亡している確率が再度跳ね上がり、憂鬱な気分になってしまう。

俺は一旦ロビーに移動し、看護師達の動きや会話なんかを確認する。


――入り方が分からないのなら、分かる人間に聞けばいい。


俺はエレベーター待ちをする看護師の女性に声をかけた。

付近には彼女しかいない。


「あ、先輩。ちょっと聞きたい事が」


直前まで彼女と会話していた看護師に見える幻覚の魔法を使い。

声の方は只の声真似だが、再現率はほぼ100%だ――何気に声真似は、異世界に行く前からの特技だったりする。


「どうしたの?」


「えっと……霊安室ってどこでしたっけ?」


「霊安室ぅ?何の用なの?」


「いえ。用がある訳じゃないんですけど、急にど忘れしちゃって」


「はぁ……まさかもうぼけたの?霊安室は屋上でしょ」


「あ、そうでしたね。これでスッキリしました。ありがとうございます」


聞きたい情報は手に入ったので、俺はその看護師から離れる。


幻覚魔法は機械類には効かないので、監視カメラには俺が看護師の女性に声をかけた姿がハッキリ映っているだろう。

だが問題ない。

何故なら、ただ話しかけただけだから。


「霊安室は屋上……か」


つまり、反応は霊安室からではないと言う事だ。

表示のない場所にある山田の母親の反応。

きな臭い事この上なしである。


一旦病院から出た俺は、人気のない場所で魔法を使って亜空間から皮を取り出す。

以前クズから剥いだ物で、また使う機会があるかもと思って魔法で腐らない様に保存しておいたものだ。


当然これを出したのは顔を誤魔化すためである。

これから荒事を起こす可能性が高いので。


因みに、今回被るのは首から上、つまり頭部から首元までと。

手の部分だけだ。

知り合いに見せかける必要がないので、全身を完璧に偽る必要はない。


手の部分に関しては、物に触った時の指紋対策である。


「服の色も変えとくか」


一応念のため、魔法で服の色も変えておく――一時的な着色。

顔は違っても、病院に寄った俺の格好が全く同じだと、警察の捜査対象になりかねないからな。


「殺して病院の地下に埋めたとは考えづらい」


デカい建物の下に穴を掘って埋めると言うのは、労力が余りにもかかりすぎる行為だ。

それなら表示されてない地下室があって、そこに閉じ込められていると考えた方が自然だろう。


その場合、山田の母親は生きている訳だが……


「まあ秘密の死体置き場って可能性もあるからな」


なので喜ぶにはまだ早い。

兎に角、確認だ。


俺は山田の母親がいる地下部分に入り込むため、再び病院へと戻った。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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