第41話 B3F
俺は無人のエレベーターに乗り込み、天井を見つめる。
「映画とかだと、よく天井を開けて出入りとかやってるんだが……」
が、天井いっぱいに照明が付いており、出口となる様な場所が見当たらない。
可能な限りひっそりと潜入するつもりだったのだが……
「まあ秘密の地下室を作って、そこに山田のお袋さんを閉じ込める様な病院だ。気にせず壊して進むとするか」
俺は感知魔法でエレベーター付近に現在人がいないかを確認してから、爆発系の魔法でエレベーター自体を盛大に破壊する。
そしてその爆発で抜けたエレベーター底から、俺は下方に降下した。
B1F。
B2F。
エレベーターに表示されていた地下はここまでだ。
――そして少し長めの間隔を開けてB3F。
高低的に、山田の母親はこの階にいると考えて間違いないだろう。
「よっと……」
壁を蹴り、B3Fの扉に俺は取りつく。
そして力を込めて、ゆっくりと扉をこじ開け中へと入った。
「上の爆発騒ぎが、少しは目くらましになるだろうからな」
ドアを蹴破って中に入らなかったのは、そういう考えがあっての事だ。
まあこういう場所はセキュリティが厳重だろうから、あんまり意味はないのかもしれないが。
真っすぐの通路を進む。
先はT字路。
俺はそこを、反応のある右へと進む。
「ここだな」
突き当りにある左の部屋。
電子ロックの分厚い扉がついてるが、指を突き入れて穴を開け、そこを力づくで広げていく。
扉の先に人がいたなら、金属製の扉に開いた穴がゆっくりと広がって行く様を見て、きっとホラー映画の登場人物にでもなった気分になれた事だろう。
ま、山田のお袋さんしか中にはいないけど。
「ふむ……」
中にはベッドがあり、そこに女性が寝ていた。
山田の母だ。
その口には酸素吸入用と思われる器具が付けられており、腕には点滴が付けられていた。
それと体のあちこちに色々ペタペタ張って合って、それが直ぐ横で『ピコンピコン』
いってるモニター付きの機械へと繋がっている。
「生きてるな」
最悪の状態を回避できて俺はほっとする。
明らかに顔色は悪いし、胸元には包帯が巻いてあるが、そこは生きてさえいれば俺の魔法でどうにでもなるので問題ない。
「どれ……」
魔法で彼女の体の状態を確認すると――
「やっぱりか」
――彼女の肺が片方無くなっていた。
肺に凄い怪我を負った?
勿論そんな訳はない。
それなら普通に入院している筈である。
こうやって秘匿されてる事は……
移植されたのだ。
不当に抜き取られて。
「まったく……糞みたいな病院だな」
海外だと、攫われてそう言う目に合うって話をネットなんかで見た事があったが、自分の住んでいる日本でそれを目の当たりする事になろうとはな。
こんな環境じゃ、まったく安心して生活できそうにない。
母さんにタリスマンを渡したのは正解だ。
「さて、取り敢えず回復させるか」
片肺がない状態を回復できるのか?
もちろん出来る。
死者蘇生こそあれだが、生きてさえ、と言うか死んだ直後ぐらいまでなら俺の魔法でどんな状況からでも完全回復が可能だ。
そうでなきゃ、好き放題拷問なんてできんよ。
点滴を抜き――なんか変な薬品混ざってそうなので。
俺は回復魔法で山田の母親を回復させる。
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