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女性の尻を追いかけて

 ママから受けた依頼はママとデートの為に、そして自分の幸せの為に必ず達成して見せると、思いを胸にする。


 翌日、俺は迷宮へと向かう……前に、渡世人の元へと向かった。

 大体の階層は分るが、情報が有るなら聞くに越した事はない。

 渡世人とは夜の街を影ながら守る団体の事だ。夜の店に花を配達したり、店の女性従業員の送迎や揉め事の対処と様々だ。

 その分は各お店から少しづつ手当てを貰う。

 そして日々鍛える為に、ダンジョンへ潜ってもいる。


 渡世人の居る事務所に顔を出し、手土産を渡しながら、此方(こちら)の用件を伝える。

「キャバクラで『働いてるホステスが迷宮に入ったきりだ』と、ママが心配している、耳の長い女性の情報が有ったら聞かせて欲しい」

「う~ん、いや、それが本当だとしても情報を明かす事は出来ない、その代わり、見かけたら此方(こちら)で保護しよう」


 少し考えが甘かったか? だが俺にも知り合いが居ない訳じゃない。

 あまり使いたくは無い手だが仕方ない、「ボスを呼んでくれ」と頼んだが、予約が無ければ駄目だとか何とか中々話が進まない。

 そんな事で立ち話していると、背中に気配を感じて避ける様に振り向けば……、そこに渡世人のボスが手を振り下ろしていた、が俺が避けた事で空を切る。


「相変らずだな」

「お、おう、探してたんだ」

 何が相変らずなのか分らなかったが、丁度良くボスに会えたし、早速本題を切り出す。

 先程の話をボスにも同じように話すと、スグに情報を集めると言うので、しばらくお茶を飲みながら待たせてもらった。

 その間に「ホステスの名前がアールヴだと言う事」、「七十五階層前後らしい事」、「エルフだろう事」を話した。但しママからの報酬の件だけは伏せた。


 そして一時間も待たない内に情報が入り、やはり七十五階層の西の方で、それらしい女性を見掛けたとの報告が上がって来た。

 俺は礼を言うと急ぎダンジョンへと向かった。


 まだ七十五階層に居るのなら、向かう先は階層ボスの部屋だろう、但し同じ階層にもボス部屋は複数存在する、だから階層と方角が絞れた此の情報はありがたい。

 渡世人には、後で改めて御礼をしなくてはと思う。


 装備を整え、七十五階層にエレベーターで下り立ち、西のボス部屋の有る光の柱を目指して走った。


 だが俺の(あせ)りとは裏腹に、以外にも早く追い付いた。いや追い付いたのは良い事だが……危なかった。

 何処かのPTと一緒に潜っていると思ったが、どうやら一人で潜っているらしく、アールヴ以外の人影は見えない。

 まだ距離は有る、もしもの時の為に、威嚇用(いかくよう)の音の魔石を右手に持ち、走る速度を少し落としつつ見ていると、アールヴはスルリと木に登り魔物の眉間を矢で貫く。

 どうやら音の魔石は必要無さそうだと、安心し力が抜けた。

 その後はゆっくり歩いて近付き、声をかける。


「アールヴ」

「あら、ノーバンさん?」

 流石にホステスだけあって、人の顔を覚えるのは得意らしく、名前で呼び返してくれる、少し嬉しい。


 今の場所は、エレベーターの有る安全地帯と、光の柱の有るボス部屋との中間地点位だ、話をするには、どちらかに向かうしかない、階層のフィールドでは魔物が居てゆっくり話も出来ない。


 少々面倒だが、アールヴは先の階層を目指していた様だし、ボス部屋向かおうと思う。

 俺は音の魔石を仕舞い、右手に刀、刃渡り七十cm程の太刀を持ち、左手イッパイの小石を拾い上げ、アールヴの登った木の下に行くと、回りに小石を投げ放った。

 当然の如く近くに居た魔物が俺に向かって襲ってくる、だが俺にとっては欠伸が出るほどにゆっくりとした時間だ、慌てずに近い者から狙いを定め……が、アールヴの放つ矢が次々と魔物を襲う。


「あはは、凄いなアールヴは」

「それより何しに来たのよ?」

 周りの魔物を俺が排除しようと思ったが、結局はアールヴが四匹に俺が二匹を狩った形だ。

 しかも、アールヴはお店で見せる顔をは違い、何処か不機嫌そうに見える。


「アールヴの尻を追い駆けて来たんだが……駄目だったか?」

「駄目じゃぁ無いけど、危険なのよね」

 どうも機嫌だけじゃなく、声色や口調までお店に居る時とは違う。

 これが本当の彼女の姿なのかもしれない、いや、どっちも本当の姿か?


「少し話がしたいから、取り合えずボス部屋に行こう」

「二人だけじゃ無理よね? しかも『取り合えず』で倒せる相手とは思えないのよね」

 確かに普通なら、少なくとも四人以上のPTを組んで挑む相手だろう。


 俺は矢と倒した魔物の魔石を拾い集め、下りて来たアールヴに手渡した。

 ダンジョン内の魔物を倒すと、魔石だけを残し死体は消えてしまう。


「興味が有るなら、付いて来ると良い」

「ノーバンさんには興味は無いけど……心配だから付いて行ってあげるのよね」

「ありがとう、アールヴ」

 どうやらアールヴからすると、心配を掛けているのは俺の方らしい。

 まぁここまで一人で来た事も、先程の弓の腕前を見ても、俺の後を付いて来る位には問題無いだろう。ボス部屋に向かい静かに歩き出す。

 歩きながら何度か後ろを振り向きアールヴの事を確認したが、弓を仕舞い短剣に持ち替えている。慣れた者だと少し感心する。


 途中で何度か魔物に出くわしたが、全て俺が倒した。まぁ、たまたま後ろから襲われなかっただけの話で、後ろから魔物が襲って来ていたら、アールヴが始末しただろう。


 ボス部屋の前に辿り着き、俺が警戒する中でアールヴは武器を弓に持ち替える。

「準備が出来たらPTを組んで中に入ろうか?」

読み専≠DOM

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