両手剣
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依頼の詳細と真意は、シイの作った武器とは?
シイとの待ち合わせの約束をする。
「明日の午前十時にダンジョン入り口の受付で待ち合わせよう」
「わかったよ、よろしく頼むよ」
俺はダンジョン入り口に十分前には着いたが、シイはすでに待っていた。
「悪い待ったか?」
「少しな」
約束の時間前だが一応聞いてみたら、待ってたらしい。素直は良い事だ。
シイは全身革の服を纏っていた、首から上は可愛いが全身を見ると男の子に見える。武器は持って無いので施設内のロッカーに預けているのだろう。
「早速入るかシイ」
「よろしく頼むよノーバンさん」
俺達はダンジョン入り口で入場検査を受けて中へと入った。
一度分かれて、それぞれ装備を整えエレベーター前で待ち合わせた。
またしても俺の方が遅かった。
「おまたせ」
「うん」
やはり素直だ、気にせずエレベーターで四階層へ降り、安全地帯で打ち合わせだ。
「一つ気になったんだが何故、俺に依頼しに来たんだ? 他にも熊を倒せる冒険者は居ただろう?」
「アタシの依頼を覚えてないのかい? 倒せる者が必要じゃなく、熊を無力化して欲しいんだ」
そう言われれば倒して欲しいとは言っていなかったし武器がどうとか言っていた。
確かに熊を倒さず無力化は他のフリーの冒険者では少し難しいな。
もっとも、商家に雇われている者なら余裕だろうが、雇い主以外の依頼は受けないだろう。
シイの背中を見ると両手剣を背負っていた、が大きすぎる。シイの身長が百五十cm位に対し剣が百二十cm位有る、扱えるのだろうか?
俺も今日は百二十cm位の武器を装備して来たが、俺のは大太刀で剣よりは軽い筈だ。
おおよその目算だが、俺の大太刀が二kgも無いがシイの両手剣は、それ以上有りそうだ。
「背中の武器で熊に止めを刺したいと言う事か?」
「そう言う事に成るが、武器の出来を確認したい」
「一撃でも良いのか? 俺は数回挑んでも良いが」
「それは助かるが良いのか?」
「まあな、報酬がシイの体なら熊など何度挑んでもお釣りが来る」
「じゃぁ頼んだよ」
シイの体は魅力的だが俺が気に成るのは、武器を作る度に俺に依頼が来るのだろうか?嬉しいがお互いに大変な事に成る。
俺とシイは安全地帯を出て光の柱が立つボス部屋へと向かった。
向かい途中でも幾つか質問した。
「シイは弓は使えるのか?」
「弓は軟弱なエルフの使う武器だし、飛び道具の様な手に感触の伝わらない物は嫌いだよ」
「なるほど」
飛び道具が嫌いと言われてはシイ単独で熊を倒すのは難しそうだ。
テイビトとマエコちゃんでも怪我をしない様にと思えば二人がかりだ。
「熊と戦ったと言っていたが、足は熊より速いのか?」
「いや熊の方が早いが防戦しながら逃げたよ」
熊より足が遅いとなると更に厳しい、逃げながら熊の体力を削る事も出来ない。
「ありがとう参考になった」
「よくわからんが、かまわないよ」
話をしながら歩きボス部屋前まで来たが、マエコちゃん達は居なかった、残念。
俺は鞘から大太刀を抜き、鞘は邪魔に成るから入り口に立て掛けた。
シイも両手剣を背中取り革の鞘を外し両手で構えた。
「中に入ったら俺が熊を無力化してうつ伏せにするから入り口付近で待っていてくれ」
「頼んだよ」
簡単な打ち合わせをして中に入る、シイは入り口付近なら何か有っても外に出られる。
冒険者は扉から外に出れるがボスは外に出ることは無い安全だ。
俺は熊まで走りフェイントを使い熊に空振りさせて右手の肘に一太刀。
一度距離を取り熊の左手側に周り、今度は左手を空振りさせる、また肘に一太刀。
完全ではないが熊の攻撃力は下がった、隙を見ながら石を拾い熊の顔面に数個投げ放ち、熊が手でガードして自分で視界を塞いだ瞬間、低姿勢になり右膝に一太刀入れた。
肘も膝も、その頂点を狙い外傷は少なく関節を破壊した。
熊の後ろに回り背骨を断ち、後ろから蹴り倒し左足の膝裏の腱を断った。
熊は暴れようとするも、背中に俺が立つ。
手で合図を出してシイを呼ぶ。シイはずっと見てたらしく、すぐに走ってきた。
「無力化したとは言え完全ではない、気をつけてくれよ」
「ノーバンさん流石だね」
俺の事を褒めながらシイは剣を構えて振り上げていた。
「はあああ!『バキッ!』」
熊の左足が脛の辺りから、切り飛んだ、文字通り飛んだ。
「おお~気持ちいい、切れ味も予想以上だ」
「凄い凄い!皮も骨も切れてるよ!」
シイは足、手、と切り飛ばして、最後に胴体の半分までを切り離した。
熊は魔力の残照となり消え去った、残ったのはチョコレートの魔石だ。
「やったよやった! ノーバンさん凄いよ、この剣、えへへ」
シイは何だか大興奮だ、熊を倒した後は俺に抱き付いて喜んでいた。
嬉しいのだが、お互い武器も持っている、とても危険だ心配で嬉しさが半減だ。
だがシイは嬉しいと言いながらも、剣を見つめながら最後『何処が駄目なのだろう?』と呟きながら首を傾げていた。
ドロップ品を拾い、一度ボス部屋を出て開けた場所で休憩にした。
ボス部屋を出てようやくシイの興奮が収まった。ダンジョンでなければ一緒に喜べるのだが、ダンジョン内で浮かれるのは危険だ。
「両手剣は肉を切らずに骨を砕く物だと思っていたが、それは違うのか?」
「アタシが砥いだしノーバンさんの刀程じゃないが軽くしてる」
軽くしている分、破壊力が減り、その分を切れ味で補うと言った所か。
俺の大太刀でも熊の脚が切り飛ばせるかは疑問だ、シイの剣は良い武器なのだろう。
「俺の大太刀はステンレス製の安物だがな」
「そこだよ、ある意味、武器屋泣かせだね、安物で簡単に熊を無力化するのだから」
「大丈夫だ深い階層へ行けば良い武器は必要になる」
「ありがとう、そう言って貰えると武器を作る側として救われるよ」
その後も熊を五回程倒した、時間にして一時間半くらいだろうか。
ボスの復活時間とかもあるし、休憩中には色々と話もした。
「今日は終わろうか?」
「そうだね、疲れたから帰ろう」
熊を切る度に興奮していては、疲れて当たり前だ。
俺とシイは安全地帯に戻り、エレベーターで地上に戻った。
お互い装備をロッカーに預け、俺は自分のロッカーから、誰の為にとは言わないがストックしていた治療用の魔石を幾つか持って出た。
シイと一緒にダンジョンから出る時に魔石分の税金は払ったが、今日はお酒もタバコの魔石も持って無いから安かった。
出て来た時には午後一時を過ぎていたのでシイを食事に誘った。
勿論誘った以上は俺の驕りだ。
何時もの食事処へ行き昼食にした。昼時間も過ぎていた為、席は空いていた。
「「いただきます」」
俺もシイも焼肉定食の肉大盛りを頼んだ。
シイは俺と同じ量だけ食べていた、何処に入るのか不思議だ。胸やお尻に?
「今日の分の報酬を頂きたいんだが、俺の家に来るか、それともシイの家に?」
「アタシの家に来て欲しい、見て欲しい物も有るから」
報酬は体でと言ってあるから『見て欲しい物』と言ったら決まっている、涎が出てしまう食事中で良かった。
「見て欲しい物か、今から楽しみだな」
「多分、喜んでもらえると思うよ」
我慢出来ない、すぐにシイの家に行きたい、ん? 何故『アタシの家に』とシイの家限定なんだ?何か嫌な予感がする。
「「ごちそうさま」」
食事を済ませ精算し、お店を出てシイの家に向かった。
「上がってくれ」
「おじゃまします」
シイの家は鍛冶屋だが予想の範囲内だ、家全体の広さに対して鍛冶工房が半分位を占めているだろうか、武器は彼方此方置いてある。
「流石に武器が多いな」
「見て欲しいのは、この刀だよ」
シイは一本の刀を出して来た。俺の大太刀より短く七十cm前後だろうか、反りは少なく切っ先は長め、刃文は真っ直ぐだ。
「武器か?俺はシイの体でも見せて貰えると思っていたのだが」
「それは報酬だから構わないが先に刀を見てほしかった」
シイの体を見せて貰えるらしい、実に楽しみだ、浮かれて目の前の刀の事を忘れそうだ。
報酬の為にも、刀くらい幾らでも見よう。
「綺麗な刃だ、シイの性格がそのまま出ている様に真っ直ぐだ」
「褒めているつもりかい?」
真っ直ぐな性格に刀は褒め言葉だと思うが、シイの機嫌は良くない様だ。
「褒めたつもりだが、真っ直ぐでは駄目なのか?」
「その刀は客から返されたんだが、何が悪かったのか鍛冶師のアタシには分らないんだよ」
返された刀か、素直に褒め言葉として受け取れない筈だ。
「その刀でも熊を斬るつもりなのか?」
「そうだ客から返された意味が分らないから、自分で使えば分ると思ってたよ」
今、何か違和感があったな、『思ってたよ』だと言ったか?
「自分で刀を使って熊を斬る前から何故過去形なんだ?」
「今日の剣も客から返された物なんだけど分らなかったよアタシには」
やはり真っ直ぐな性格だ、分らないから自分で使って分ろうとしてるのだろう
「客には聞かなかったのか?」
「聞いて作り直しても良かったんだが教えて貰えなくてただ要らないと言われてしまって、何が悪いのか分らないんだよ」
シイは商人じゃ無いから間に商家が入る筈だが、今その話は時間がかかりそうだ止めておこう。
「武器の好みはそれぞれ違うし、俺はその客じゃないから何処がと聞かれても答えられないし、その客以外は誰も正確な答えを知らないんじゃないか」
「そうか、それでも諦められない明日、明後日もつきあってくれ」
「あぁ分った」
「よろしく頼むよ」
シイは武器を片付けて、広間に案内してくれた。
「ここで今日の分の報酬を渡したいが、どうすれば良い?」
女の子だしお茶でも飲んで少し時間を掛けながら、心の準備でもすると思ったら何でもない事のように報酬の話をしてきた。
「あ、あぁ取り合えずその革装備を外してくれないか」
シイは早速装備を外した。中は上下とも無地で少し厚手の麻の様な生地の長袖長ズボンだ。
「上下とも短い服は有るか?」
「どうせ脱がすならココで脱いでも良いんだよ」
俺より覚悟が決まっている、と言うより武器以外に興味や関心が無いだけじゃ?
シイに見た覚悟も頑張りも、興味が有るか無いかだけな様な気がしてきた。
「では下着になってくれると嬉しい、見て触るだけだそれ以上はしない」
「それで良いのならアタシは構わないよ」
俺はミディアムの事が有って女性に嫌われる事に臆病に成っている気がする、いつもより慎重になっている分、シイの方が堂々としてる気がする。
次は念願の報酬です。シイの覚悟は。




