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何故?

 俺の「アールヴはまだ子供だろう?」との推測に、無言の答え出したアールヴ。

 そして話はまだ続き、更なる質問が俺に投げ掛けられる。


「何故あのような報酬要求を?」

「それはだなぁ……登山家に『何故山に登るのか?』と、学者に『何故研究するのか?』と尋ねるのと同じだな、俺は人体、特に女体に興味が有る、何故人は動くのか? 何故生きているのか? 何故子供を産めるのか? 他にも知りたい事は山ほど有る、しかもアールヴは此の町では少ないエルフ族だ、誰だって診たいと思うだろう?」


「……そうかしら?」

「俺だけか?」 


「それにしても……何故誤解を招くような言い方を?」

「そりゃぁ安く見られては困るからかな? 金に困ってはないが仮に金銭で要求していたら、それが俺の価値に成ってしまうだろ。俺の価値は誰にも決められたくはない、だから報酬は誰にも価値を決められない()でしか釣り合いが取れない、と言ったところか?」

 アールヴは、まだ何か納得出来ないと言わんばかりに訝しげな顔をしているが、それ以上は何も聞いてこなかった。


 勿論、アールヴに言った事が全ての理由という事でもない。

 仮にアールヴが大人の女性だったらとか、もしそうであったなら特別な報酬も要求したかもしれないと思わ無く無くも無い。


 全てが誤解と言う訳でもないし何と思われても良い、それに依頼数を絞るには丁度良いし、男では払えない報酬との噂に成れば、仮に依頼が舞い込んだとしても女性からと言う事に成るんではないだろうか。


 ふふふふ、その時はキッチリ報酬を頂こう。



 アールヴとの話は一応終わったが、時間が余ってしまった。

 俺は、おもむろに立ち上がり何時もの様にお茶を淹れてアールヴに差し出した。

 二人でお茶を啜り僅かな時が流れ、アールヴが静かに問いかける。


「このお茶の葉少し頂けるかしら?」

「あぁ気に入って貰えたなら何よりだ」

 そう、アールヴに出したのは最近お気に入りの枇杷のお茶だ、これは俺がエルフ族の国に行った時に頂いた来た物で、同じエルフのアールヴにと何時も思っていた。

 頂き物だが同族のアールヴに御裾分けをするなら、わけてくれたエルフも喜んでくれる事だろう。

 そして何より此のお茶は万病に効くと言っていたので、アールヴにこそ必要な物だと思う。

 俺は快く答えて直ぐに枇杷の葉が入った紙包みを、アールヴに手渡した。

 ゆっくりとお茶を楽しんでから、少し早いが二人で食事処へと向かった。


 何時もの食事処へ入って先日店主から言われた言葉が頭をよぎり、入り口付近の席に腰を下ろした。

 だが、今日は時間的に早いから手前の席が空いていたに過ぎない。


 この町には冒険者が多く、その冒険者とは日々危険と隣り合わせの戦いをしている者だ、その行動は日常の行動にも現れ、飲食店に入れば何あった時に直ぐ逃げられる出入り口近くに腰を下ろすのは、本能に近いのだろう。

 そして此の店ほど上手い飯屋は他に無い、ダンジョンから少々離れてはいるが、冒険者にも人気がある。

 店主の言い分も判らなくは無いが、結局は空いている席に座るしかない。


 何時もより静かな店内で、聞こえて来るのは肉や魚の焼ける音、そして美味しそうな匂いが店内へと広がってゆく。

 音や匂いを楽しんでいると、テーブルに料理が並び始めた。

「「頂きます」」


 今日の料理は特別旨い、何が違うかと言えば久々に美女を目の前にしての食事と言う事だろう、美女とは最高の調味料だ。

 美味しい食事を食べて外に出た……が、まだ時間に余裕が有る筈だと思いアールヴをデートに誘うも断られてしまった、早めに出勤して着替えやミーティングをするらしい。


「じゃぁ俺の為に御粧しして待っていてくれ」

「あら、ノーバンさんの為に?」

 まぁ俺の為だけじゃないのだろう、自分の為、来店するお客の為なのだろうが、本当にアールヴはお店の外だと御世辞(リップサービス)が少ない。

 アールヴの返しを適当に流しながら軽く手を振り、その場を後にした。


 さて、キャバクラの開店まで時間は有るし、町の中を歩いて時間を潰そう。

 町の中をフラフラと歩いていれば、綺麗な花が目に付いた。

 小さな花屋に大小様々な花が所狭しと飾り立てられている。


 その中にキャバクラのママを連想させる花を見つけ、色々な思いが駆け巡った。

 最近ママと話が出来ていないなと、ずっとアールヴに掛かりきりだったと、そしてママとの同伴出勤の約束も延期の状態だ。

 久々にママに会う訳だし花の一つも手土産に、若干意味は違えど文字道理の御機嫌伺いをして来よう。


 花屋で一束包んでもらう頃には、辺りが暗くなり始めている。

 花束を持って少し急ぎ足にキャバクラへ向かったが、既に開店しておりオープン入店を逃してしまった。

 まぁ何かを約束していた訳でも無いし良しとしよう。


 久し振りのキャバクラに俺は気合をいれ、少しでも良く見える様にと顔を引き締めてから入った。

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