ミディアムとの初デート
ミディアムとの初デート?無口なミディアムも喜んでくれるでしょうか?
朝起きて二人で顔を洗い、日課になっている卵の薄皮取りと、卵焼きを作り朝食にする。飲み物はお茶を用意した。
「ミディアム明日の金曜日は朝から買い物に行くから、今日は無理せず体調を整えておきなさい、夕方には戻る」
「……はぃ」
「大丈夫だ。化粧をすれば火傷は見えない。今日は化粧の練習をしていても良い」
「はぃ」
ミディアムに、明日の予定を伝えダンジョンへ向かった。
今日はお酒の魔石を多めに集め、四階層のボス前でマエコちゃん達にも会ってから商店街に寄り、帰る。明日は外食の予定だ。食材は少なめにする。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
「エプロンが良く似合ってるな」
「……」
家の中が綺麗になってる気がする。掃除をしてくれているのだろう。
ミディアムも会話は少ないが、少しづつ元気に成って来てる気がする。
いつもの様に風呂は先に入るが、ミディアムは後から入って来る事は無い、俺が上がるまで待っている。背中を流してくれても良いのだが、何も言うまい。
「ミディアム、良い風呂だった。いつも有難うな」
「どう致しまして」
「今日から風呂に入る時に首輪を外すから来なさい」
「はぃ」
革の首輪にしたから濡れると良くない、外してから風呂に入らせる。
首輪が無い方がゆっくり出来るだろう。
夕食も下拵えは出来ていて、火を通すだけになっている様だから任せた方が良いだろう。仕上げの功績を取り上げるようで悪いし、エプロン姿を堪能したい。
ミディアムが風呂から上がってきた。湯上りで髪をタオルで巻き魅力的だ。
「首輪は寝る時まで着けなくて良い、少し休んでから夕食にしよう」
「はぃ」
ミディアムは髪を弄りながら、火照った体を冷ましたようだ。
立ち上がりエプロンを着けると台所へと向かった。
俺も後を付いて行く。俺の手でエプロンを着させてあげれば良かった。失敗。
「何か手伝う事あるか?」
「……いいえ、私がやります」
「食器くらい用意してやる。気にするな」
「……はぃ」
適当な理由を付けて、ミディアムのエプロン姿に見惚れていた。
エプロンの紐で腰がくびれ、少し大き目のお尻が強調されて実に良い。
安産型だと思う。左右に動き観察のし甲斐があり、実に良い。医学的に。
「ミディアムいつも有難うな」
「はぃ」
いつもの通り、会話が少ないのは寂しい。
食事も終わり食器を片付けて、お酒を用意する。
「いつものお酒だが、今日は俺も一緒に少し飲む」
「はぃ?」
「飲みながら明日の買い物の予定の話をしよう」
「はぃ」
明日買い物の為に出かける事と何を買うかも話したが、殆ど俺の独り言だ。ミディアムは無言で返すか「はぃ」しか言わない。
俺が何か嫌われる事をしているのだろうか? それとも性格なのか? 火傷のせいなのか? 考えても全然分らない。
「治療を始めようか、少しづつだが良くなってるな」
「はぃ」
相変わらず痛そうな苦しそうな顔をしている、痛いなら急がず少しづつ治療を続ければ良い、その分長引くが痛みは小さい筈だ。
顔と首筋は良くなって来ている。今度は胸元と手を優しく撫でる様に治療してゆく。胸元の治療の時はピクリと跳ねる様な反応をした。驚いたのだろう。可愛い。
「ミディアム、足を伸ばして座りなさい」
「……はぃ」
「足に少しむくみが有るな。力を抜いてそのままで居なさい」
「はぃ」
まずは足の踵から爪先までを揉んで解した。
「ミディアム、今度は仰向けに成って足を伸ばしなさい」
「はぃ」
ミディアムの膝から爪先まで、優しく撫でたり擦ったり、揉み解した。脹脛を重点に。
「ミディアム有難う、いや何でも無い。もう良いぞ」
「はぃ」
「ミディアムの足は綺麗だな」
「……」
「女性は足の静脈、血管に瑠と言うか瘤が出来る事が有るんだが、ミディアムの足はとても綺麗で安心した、いや医学的にだけじゃなく見た目も綺麗だ」
「ありがとうございます」
どの言葉に対する『ありがとう』か分らなかったが、少しは喜んで貰えたらしい。
俺の方こそ有難うなのだが、触り心地を楽しんだ事は、言わないでおこう。
「ミディアム今日は終わりだ。寝よう。お休み」
「おやすみなさい」
首輪を着けてから、お休みの挨拶を交わし寝ることにした。
朝、目が覚め顔を洗いに行ったらミディアムが居た。顔を洗っている。
「おはよう」
「おはよう御座います」
挨拶はしてくれるんだよな、会話が無いのだ。
「朝食にしよう」
「はぃ」
日課の卵焼きだ、勿論薄皮も取って乾かしている。
牛乳は煮沸し、パンも出して朝食を食べた。
「ミディアム、片付けて歯を磨いたら、ゆっくりで良い、化粧して来なさい」
「はぃ」
まだ商店街の開く時間じゃない、ゆっくりでいい。
知ってか知らずか? 良い時間に化粧を終えてミディアムが戻って来た。
「ミディアム、右手を出しなさい」
「はぃ」
火傷した右手を出させ腕を捲り、手首から火傷部分を包帯で全て隠した。包帯のせいで、かえって痛々しそうに見える。
「出かけよう」
「はぃ」
玄関を出て俺は右手を差し出した、がミディアムは見つめるだけで止まって少し首を傾げている。
「左手を出しなさい」
「……はぃ」
ミディアムの手を握り歩き出した。冒険者として右手が塞がるのは怖くも有るが、ミディアムの火傷した右手を握るわけにもいかない。
「人が多いからな、手を離さない様に。それから俺と一緒の時以外は一人で外出しないように」
「はい」
「化粧品から買いに行こう」
「はぃ」
ミディアムとの初デートだ、楽しんで貰えると良いのだが。
化粧品店へ二人で入った。
「いらっしゃいませ」
「この子の為の化粧品が欲しい。少し顔と首筋に痣が有るから上手く隠せるものが良い。少し位高くても買うから、化粧の仕方も実演しながら教えてやってくれ」
「はい分りました、では、お嬢様をお借りいたしますね」
「俺は邪魔そうだから一時間くらい歩いてくる」
「はい、いってらっしゃいませ」
奴隷の首輪を見ても、痣に見える火傷の跡を見ても、何事もなく対応してくれているし良い店員のようだ。安心して任せられる。
「戻ったがどうだ?」
「はい、是非見てあげてください」
店員は奥からミディアムを連れてきた。
「おぉ、とても綺麗だぞミディアム」
「有難うございます」
「店員さん、髪用の石鹸も有るか?」
「はい、置いてありますよ」
「艶が出てミディアムの好きな香りの物を一つ頼む」
「はい、お選びして使い方もお教えしますので、少々お待ち下さい」
「あぁ、慌てなくて良い」
化粧をしたミディアムはとても綺麗だった。だからこそ髪に艶が無いのが気になってしまった、良い仕事をする店だ、髪用の石鹸も良い物を選んでくれるだろう。
「いい香りの石鹸は有ったか?」
「はぃ」
「では精算してくれ」
「はい、ただいま」
予想以上に高かったが、綺麗にしてもらったし文句は無い。
ミディアムが綺麗になった事を考えれば安い物だ。
化粧品店を出て手を繋ぎ、高級服店へと向かった、下着を買った店だが高級服店は他に知らないし仕方ない。
「いらっしゃいませ」
「また来た、今日はこの子に合う服を欲しい、上下とも三着買うから幾つか試着させて貰えるか?」
「構いませんが、着替えは覗かないで下さいね」
「あぁわかった」
先に言われてしまった。一緒に着替えも手伝いたかったのだが諦めよう。
「少しゴージャスなのと、少し派手目で可愛い感じのと、普段町で着れるのを頼む」
「はい、サイズも測りますからお時間がかかりますが」
「かまわん。試着した所は見て一緒に選びたい」
「畏まりました」
着替え中は見れなくても着替えた後は確認したい。
また、買いに来る予定が有ると言ったら、サイズを教えてくれるだろうか?
着せ替え人形の様にミディアムに試着させて、俺も楽しんだ。
どれも良いが、多く買っても外出が少ないから必要分だけで良い。
色々迷い店長の意見も聞きながら三着決めた。
「普段着用は今着て帰れるか?」
「はい大丈夫ですよ」
「それに着替えさせて、首輪を隠せる様なスカーフをそれぞれの服に合うように三枚と、白いシルクの手袋を見繕ってくれ」
「はい、畏まりました」
店長とミディアムは何かを話し、赤い布をしまっていた気がするが、何か必要なのだろう、何も言うまい。
俺も楽しんでたので気付かなかったが、すでに午後二時を回っている。
時計を見たら急にお腹がすいてきた。
「ミディアム似合ってるぞ」
「有難う御座います」
「着て来た服と残りの二着は夕方引取りに来る。預かっておいてくれ」
「はい、その間に裾丈を直しておきます」
「よろしく頼む」
服は預け、精算して店を出た。
首輪にスカーフを巻いて認識票は見えるが、一目では奴隷だと分らない。
「遅くなったが食事にしよう」
「はぃ」
行き付けの食事処へ入った。
「何でも好きなものを頼みなさい。メニューに無くても言えば作ってくれる」
「はぃ」
店の厨房で、何か言ってる人が居るが気にしない。
優良店で言えばメニューに無い物も可能だ。
「野菜炒め定食でお願いします」
「飲み物は何にする?」
「水でかまいません」
「オレンジにしよう」
「はぃ」
ミディアムは野菜定食、俺は焼肉定食で肉を二倍で頼んだ。
料理が届いたら自分の肉を取り分け、ミディアムの皿に乗せた。
「ミディアムも肉を食べて精を付けなさい」
「……はぃ」
「「頂きます」」
ミディアムがご飯を食べ切れなかったので、残した物は俺が食べた。
食事を終え、長めに休んでから精算して店を出た。
夕方近くまで商店街を見て歩き、靴や寝巻き等も買った。
夕食の時間に、昼と同じ食事処へ戻ってきた。
「悪いが夕食も頼む。昼に野菜と肉は食べたから、魚にしてくれ」
「はいよ」
「ご飯と味噌汁も頼む。二人分な」
「わかった」
夕食を食べたら急ぎ店を後にして、高級服店へ向かった。
高級服店へ駆け込み服を受け取る。どうにか間に合った。
「服を一つ持ってくれ」
「はぃ」
服は軽いから全て俺が持っても良かったが、一つ持たせた方が嬉しいだろうと思って持たせてみた。何も反応が無かったのは寂しかったけど。
最後に卵屋に寄る。
「いらっしゃい」
「卵を四つ貰えるか」
「はいよ。毎日の卵はこの子の為かい?」
「あぁ女の秘密を悪いな」
「良いって事よ。優しくしてあげなよ」
「ありがとう」
卵を買いながら少し話をしてから、家に帰った。
買って来た食材以外の、化粧品と服はミディアムの使っている部屋へ運んだ。
風呂を建てながら自分の部屋から椅子を持ってきた。
「ミディアム、椅子に座りなさい」
「はぃ」
「風呂が沸くまで時間が有るから、軽くマッサージする」
「はぃ」
ミディアムの後ろに回り、肩と二の腕、肩甲骨の辺りも揉み解していった。
俺とは精神的にも肉体的にも抱えるものが違うのか? 大分こっていた。
今度は前に回りスカートを膝まで捲り、片足づつ脹脛と足の裏を優しくマッサージした。
スカートを捲る時に若干変な顔をされたが、何も言って来なかった。
ミディアムの足にむくみが有った。やはり女性の足はむくみ易いようだ。
「服が皺に成るから軽くだ、後は風呂上りにしよう」
「……はぃ」
先に風呂に入り俺が出た後、右手の包帯と首輪を外してミディアムを風呂に行かせる。
風呂から上がったら寝巻きに着替えさせた。
「寝巻きなら皺に成っても良い、椅子に座りなさい」
「はぃ」
風呂上りで血行も良くなっている筈だ、摩る様にマッサージした。
「ミディアム、髪が綺麗に成ってサラサラだ」
「有難う御座います」
「良い香りもする。ミディアムの事を気に入った」
「…………」
言い方を間違えただろうか? 無言になり俯いてしまった。
「治療を始めよう」
「はぃ」
何時もの様に治療をしてから、二人とも別々の部屋で寝た。
いつになったら距離が近付くのやら?
女性の体は男性とは違うようです。
これからも見て触って調べなければ、やましい下心は少ししかありません。
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