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モンスターを31匹仲間にした

「ヴァンパイアは幹部クラスですよね!? 素直に言うことを聞くとは、とても……」


「先ほどSS級の闇魔法が発動したのが見えました。幹部の中でもかなりの実力者のはずです」


「やめろって言ったらやめてくれたよ。な? アデリカ」


「マスターのお言葉は絶対です。我らが逆らうことはありません」


「……だそうだ」


 俺は小さな腕を胸の前で組んで、どや顔をした。


「あなた達、シャノン様のお力を疑っていたのですか?」


 サフィアに軽く睨まれた騎士達は、慌てて首を横に振る。


「いえ! 決してそのようなことは!」


「お、おい。こんなに強いなら、魔王軍に制圧された他の村も取り戻せるんじゃないか!?」


「ああ! 一騎当千の将とは、まさにこのことだな!」


 こうして俺達は、なんとかシーニャ村を守り切ることができた。


 夜が明ける頃には消火活動も怪我人の治療も終わり、騎士達は村の入り口で出発の準備をしている。


「シャノン様。窮屈でしょうが、城まで我慢して下さい」


「お、おう。悪いな、サフィア」


 サフィアは俺の身体を持ち上げ、胸のポケットに入れてくれる。


 確かに狭いが、俺はこの特等席をすっかり気に入っていた。


 身体が小さいって、意外とメリットも多いよなぁ。むふふ。


「本当にありがとうございます、勇者様」


 見送りに出てきた村人達が、深々と頭を下げた。


「援軍を要請しても、きっと間に合わないだろうと諦めておりました。このご恩、決して忘れません」


 先頭にいた長老っぽいおじいちゃんが、地に膝を突いて平伏する。


 俺はサフィアの胸ポケットから抜け出して、側へ近づいた。


「顔を上げてくれ。お前がこの村の責任者か?」


「はい、勇者様。私はここで村長をしている者です」


「じゃあ聞いてくれ。村の守りに、ヘルサバーカとバットリーを、20匹ずつ残すことにした」


「な、なんと!? 勇者様のお仲間を、我らに分け与えて下さるのですか!?」


「また魔王軍が攻め込んできたら困るだろ? 城下町の食料は、ほぼ全てここで作られてるって聞いた。シーニャ村が壊滅したら、たくさんの人が飢えに苦しむ」


 そう、後で知ったことだが、この村はガルディ王国にとってかなりの要所だったらしい。


 もし守り切れなかったらと思うとぞっとする。


「魔王軍もそれがわかっているから、幹部の中でも実力のあるアデリカを送り込んだ。今後も、同レベルの敵が現れるかもしれない」


「それは、確かに……! 先々のことまで考えて下さるとは、本当に感服致します」


「バットリーはリンゴが好物で、ヘルサバーカは雑食だからなんでも食べる。村を襲った奴らだから複雑かもしれないが、仲良くしてやってくれ」


「ええ、ええ! もちろんです! 勇者様のお仲間を無碍(むげ)に扱うようなことは、決して!」


 これでよし、と。


 幹部クラスを倒すことは無理でも、俺達が駆けつけるまでの時間は稼いでくれるだろう。


「あれ? そういえば、アデリカはどこに行ったんだ?」


 村人達の救助をする間、ずっと俺につきまとっていたのに、気づくと姿が見えなくなっている。


「彼女なら、ここに」


 サフィアは、毒々しい紫色の棺桶を指さした。


「え、まさかこの中に入ってるのか!?」


「ヴァンパイアですから、昼間は活動できません」


「そういえば、そうだった……」


 ヴァンパイアは闇魔法の使い手でめちゃくちゃ強いが、昼間はまったく役に立たない。


 いきなりトップクラスの戦力を手に入れたと満足していたが、使い所が肝心だな。


 再びサフィアの胸ポケットに収まった俺は、馬を走らせ城を目指す。


 振り向くと、激しく波打ちながらロープで引きずられるアデリカの棺桶が見えた。


 い、いいのか? こんな運び方で……。


 せめて馬車でもあったらよかったんだけどな。


 帰ったら、手配してもらえないか相談してみよう。

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