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DIE CORN 〜転生したら大根だったがな!〜  作者: 瑞 ケッパオ
狙われた王族・敵になると強くなる仲間編
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第87話 魔王ウサタン


ウサタンはあろう事かミーナちゃんをバニーガールにしたのだ。


こんなことが許される筈が無い!

そんなことをすればミーナちゃん親衛隊唯一の隊員にして隊長、俺! に殴られて当然だ!


……と思ってたら、ウサタンを殴り飛ばしていた。

しかも、ホトトギスが鳴くまで殴る事を宣言してしまったのだ。


この砂漠にはホトトギスはいない。


ここにいる鳥はニワトリとハトだけだ。


ところでホトトギスって何て鳴くの?

わからないから鳴いてても殴り続けるかもしれない。


「ええい! ウザい! はなれろ!」



コイツは相変わらず俺の目を見ていない。

というか目を開いていない。

しかし、ウサタンは俺の動きを捉えていた。



ウサタンが本気を出す。

赤筋大根の力で縛っている筈なのだが、ウサタンが根っこ触手を引き千切りだしたのだ。


よく見ると、ウサタンの体がどんどん大きくなっている。


その膨張力に耐えきれなかったのか、赤筋大根の根っこは完全に引き千切られてしまった。


流石にこれは予想外。

完全無敵、圧倒的なパワーを誇る赤筋大根が、初めて力負けしてしまったのだ。


ウサタンは俺の背丈より少し高いほどだった。

それが今や、俺が奴を見上げるほどの差が出来てしまった。


更にウサタンの毛色が白から黒に変貌。

背中からはコウモリの翼が生えて、額からは一本角が出現した。


ウサタンは以前よりも魔王(サタン)に相応しい見た目になった。


ただし、身長は鳩尺様に届かず、耳を合わせても約2m。


人間基準で考えると、魔王にしてはやや迫力に欠けるサイズだ。

耳を抜きにすれば、だいたいビーバー人族のビビンバと同等だろう。


ウサタンの巨大化に合わせたように、ピョンギヌスの槍も巨大化した。


流石は伝説の武器、扱う者に合わせて大きさが変わるのだ。それは凄い。




「この大根野郎! 奇襲は無意味だって言ったじゃねーか!!!」


「なんて事を! 破戒僧でも許せませんよ!」


「ポポポポ! クルッポー!」


「ごめん! ぐふぅううう!?? ウッ!? あいったー!」


俺が作戦を台無しにした事にブチギレたドン・グリードに蹴られ、刻甲には錫杖で突かれ、鳩尺様にはクチバシでつつかれた。


謝罪では済まない失態だから、仕方ないかもしれない。


「ご、ごめん! 勝手な行動、すみませんしたっ!

でもこれだけは言わせてくれ! ミーナちゃんに破廉恥な格好をさせる事は許されない! この怒りはウサタンにぶつけよう!」


「うむ、……確かにお前の言う通りだ!」


「なるほど、名案ですね!」


「ポポポポポ、ポッポー!」



俺の謝罪を3人は受け入れてくれた。


「おお! お前ら無事だったか! 怪我しちょらんか!?」


アードバーグは自分よりも俺たちの心配をしてくれているようだ。


「……というか、なんでリス人族が、こがな所におるんじゃ!? おどれもげっ歯類連合じゃろうが!」


アードバーグはドン・グリードに敵意を向ける。

ドン・グリードは説明するのが面倒そうに顔を歪ませる。


「ほんと、ほんと、まさか大根側につくなんてね〜、闇社会の王としてのプライドってのがないのかな〜、ドン・グリード?」


ウサタンは愉快そうに、ドン・グリードを嘲る。


ウサタン巨大化しているので、ドン・グリードを物理的にも見下ろしている。

そのせいか、ウサタンの言葉が余計に悪質な挑発に感じる。


「『ピョンギヌスの槍(おもちゃ)』を見つけて、とても嬉しそうだなクソガキ、残念だがそのおもちゃも、俺からネコババした能力も、返してもらうからな! 覚悟しろよ」


ドン・グリードは逆に煽り返した。


「なるほど、詳しい事はわからんが、げっ歯類連合も大変じゃのぉ」


ウサタンとドン・グリードの会話から、アードバーグは、ドン・グリードは仲間だという事を理解したらしい。


アードバーグは魔剣(モップ)の呪いとはいえ、同胞のアライグマ人族のライオネルと敵対してたから、ドン・グリードに思うところもあるのだろう。


俺達、計5人(動物と野菜しかいないが単位は『人』! いいね?)はウサタンを睨む。


「そんな目で見るなよ〜、照れるじゃないか」


思った通りだ。

ウサタンを睨むと、ヤツは目をそらしてしまう。


ピョンギヌスの槍の力だの、真の力になっていようが、睨まれ事は気に食わないらしい。


よってウサタンには勝つ事が出来る。

現に戦えるメンツは揃っている。

ウサタンと目を合わすことさえできれば、何か起きる。

誰が見ても分かるほど拒絶、目が合うことで何か俺達にとって良い事が起きるのは明確だ。



「おい、あのウサギが騒ぎの元凶なんじゃねーか!?」


「ああ、長年の感でわかる。 あれはウサギの皮を被ったバケモノだ。 今、やっちまわねーと、町どころか国も滅んじまうな! おいみんな! 集まれ!」


流石にこんだけ騒げば、町中を警戒し廻っていた冒険者や自警団さん達も、そりゃあ、寄ってくるよね?


「おお、誰かと思えば、伝説の冒険者、刻甲殿じゃないか!これは頼もしい、我々も協力するぞ!」


刻甲は冒険者として有名で、顔も広い。

それだけで、人が集まり、皆が団結する。


その中には、昨日ビビンバからダリアちゃまを守っていた戦士のおっさんと、魔女のねーちゃんもいる。


ピクニックの時といい、冒険者達の人情、団結力というものは、すごいものだな。


町中に散っていた戦える者共が、この場に集まってきた。



冒険者や自警団達と俺達5人は、一斉に巨大化したウサタンに立ち向かった。




・・・




「これは強いですね。 愚僧はクレア殿と戦い力を使い果しておりましたね! 鳩尺様! お逃げください! コケーッ!」


刻甲は倒れた。

彼はクレア戦での疲労が残っていたので、ウサタンに敵わないのも仕方ない。


あとは俺達4人に任せろ!……と、思ってたが、刻甲の頼みを聞いた鳩尺様が俺達が来た道を走って消えていった。


なので、残り3人だ。



ちなみに、集った冒険者や自警団の兄ちゃん嬢ちゃんの事なんだが、開始早々、ウサタンの発する闘気に吹き飛ばされ、全滅した。


つまり出落ち、即落ち2コマである。


「なんじゃこの力はぁ! ヤツを浄化するより穢れた力が増幅する方が早いけぇ、敵わんわー! ぐぇー!」


アードバーグ、ウサタンに触れるも、圧倒的な力の前に敵わず吹っ飛んだ。


これで、あと2人。 ドン・グリードと俺だけだ。


「バカめ仔ウサギ! てめぇがどんぐりを撒き散らしてくれたお陰で、弾を補給する事が出来たぜ! 喰らってくたばれ! 『どんぐりキャノン』」


ドン・グリードは、ウサタンが撒き散らしたどんぐりを、ありたっけ口に頬張り、ウサタンに吐き飛ばした。


「汚いし、痛い! やめて!」


ウサタンは不愉快そうに槍を振り、地面に槍先を突き刺した。


それだけで、地が割れ、ドングリードが態勢を崩す。


わずかながらに隙が出来た。


ウサタンはウサギの長所である脚力でドン・グリードを蹴った。


俺は、槍術と蹴り技を組み合わせた戦い方をしっている。


「槍の扱い方をフーリーから習ってて良かったよ〜、ドン・グリードおつかれ〜」


「まだ終わっちゃいねーよ!」


ドン・グリードは蹴り飛ばされていなかった。


よく見ると、ドン・グリードはリス特有のもふもふ尻尾でウサタンのキックの威力を、緩和していた。


「気の毒だな! フーリーから技を習ったのはお前だけじゃねーよ!」


ドン・グリードは怪力を誇るウサタンに、完全な力を使えなくとも、抵抗している。


そもそも、この2人はフーリーと面識があるのか。


改めてフーリーの凄さ、恐ろしさを実感できる。



ドン・グリードがウサタンの動きを封じてくれている。


俺もただ棒立ちで、戦いを見ているわけではない。

チャンスがあれば、容赦なく叩くに決まってる。そして今が、そのチャンスだ。


俺は根っこ触手でウサタンの足を縛る。


「ぐぬぬ! この大根風情が! 離せ!」


案の定、根っこ触手が千切れていく。

さっき赤筋大根の根っこを千切ったのは、まぐれではなかったのだ。


そして、根っこ触手は完全に断たれた。

だが、その間にウサタンに近づく事ができた。



この時を待っていた!

俺はクレアから拝借している聖剣の力を解放させる。


赤筋大根の力があるので、容易く紫電を発生させる事が出来た。


俺はその電撃を、ウサタンに向けて放つ。


実質ゼロ距離での直撃だ。


「ぐぎゃあああああ!」


電撃を横腹に受けたウサタンが悲鳴をあげる。


というかこの聖剣、思ってたより野菜エネルギーの消費が半端ない。

もともと、大根と電気の相性が悪いせいかもしれないが、この紫電を一発撃つだけで、かなり疲れる。


もしかしたらクレアは、肉体面においては俺よりも強いんじゃないか?



「こがに強いヤツは初めてじゃで? じゃが、わしはこの程度でくたばらんに決まっちょる!ぶちまわしたるでウサ公!」


吹っ飛ばされたアードバーグが戻ってきた。

流石は磨王といった所だ。




「流石は天下の害獣アライグマ! そしてナイスだ大根! トドメいくぜ!」


ドン・グリードは、懐からどんぐりでもクルミでもない木ノ実を取り出した。


「喰らえ! こんがり焼いた極上アーモンド弾!」


多分、ドン・グリードの必殺技だ。

ならばこっちも赤筋大根の力を最大限に発揮させてもらう。



俺とドン・グリード、そしてアードバーグは、それぞれ最大威力の一撃を、ウサタンに放った。




・・・






……。



あれ?


なんだこれ?


一体何があった?



目の前にドン・グリードとアードバーグがマヌケ面で倒れてるんだけど?


というか俺の体も動かないぞ?


「凄いね君ら、闇の王、磨王、元根菜類の総司令(ダイコマンドー)の名は伊達じゃないんだね? でも僕の前では無意味。 魔王には勝てない。 残念だったね〜」



ウサタンの、神経を逆撫でされるような声が上から聞こえる。



……。


…………なるほど。



どうやら俺達3人は、ウサタンに負けたらしい。




・・・




ダイコンデロガ達がウサタンに破れる姿を、遠目に見つめる少女がいた。


彼女の名は、ダリア・ビント・ファルボド・アスファ。

この国、バーディアの王女にして次期王になる事を生まれながらに決められた、愛を知らない歪んだ少女である。


「……」


ダリアはウサタンを睨む。

くちびるを噛み締め、ただ単にヒソヒソと隠れてながら、ウサタンを睨む。


されど、彼女の足は少しずつ、ウサタンへと向かっていくのだった。



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