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裏 聖杯を抱くシュヴァリエ ~ エティエンヌの純情編 ~

「初めての試練 Ⅲ」でエティエンヌが深夜遅くまで外を眺めているシーンがあります。


これはその時のエティエンヌの心情(?)を面白がって書いたものです。



 深夜 ――――――――― 。

 エティエンヌは悩んでいた。

 彼は年齢こそ、603才であるが、外見は26才ほどの健康な成年男子である。

 若い女の、しかも好ましく思ってる女の素肌を見て、平常心でいられるわけがなかった。

 もちろん、緋奈が自分に素肌をさらしているのは治療のためだとわかってはいるのだが・・・・・・。

 けれど、緋奈は自分の限界でも試すように、

 

「・・・・んっ・・・・・」


「あん・・・痛いっ・・・」



 とか、切なげにいってくるのだ。

 これに反応しないでいられる男はいないだろう。

 この場合、苦痛に耐える表情と、快感を堪える表情が同じなのが最悪である。

 エティエンヌはさっさと治療を終えてしまおうと決め、はたしてその通り実行したのだが。

 それなのに、こういう時に限って緋奈が妙に素直というか、甘えたふうなのだ。

 治療が終わっても、ちっとも自分から離れようとしない。

 その上、上目遣いの、潤んだ瞳で見つめられ、思わず押し倒しそうになってしまった。

 もし、彼女が神に選ばれた乙女だということを思い出さなければ、欲望のままに抱いていたことだろう。

 エティエンヌは、すっかり目覚めてしまった自身を彼女の目から隠すために立ち上がった。

 その際、彼女の意識を他に向けるために小言を言うという小道具も使っておくのも忘れない。

 

 エティエンヌは、月も星も消えてしまった夜空をいつまでも見つめ続けた。

 時間が彼の身体を普段の状態に戻してくれるのを待つために・・・・・・。


                        おちまい

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