75/106
じゃじゃ馬なんだよ
「やっぱり気持ちいね、トーマ。」
「そうだな。」
中庭の秘密の場所で昼寝をする二人。
「ね、ねぇトーマ。前にトーマが“キスをするなら本当に好きな人としろ”って言ったよね?」
「言ったが?」
「トーマはもう、したことあるの?その、えっと…。好きな人と。」
「残念な事に、俺は無理矢理されてるんだよ。」
「ナナって人に?」
「そ。」
ちょっと気まずそうにする燈馬。
「ナナって人は嫌いなの?」
「嫌いって訳じゃない。幼馴染だし、結構美人な部類には入るだろうしな。“好きだ”って何回も言われてるが、どうも俺には手を負えないじゃじゃ馬なんだよ。」
あぁ、恐ろし…。と言って、燈馬は寝息を立て始めた。だが、それは演技である事が丸見えである。
「トーマ、起きてよ~。」
普段は眠たがりのミリィだが、自分が寝る前に寝られるのは嫌なのだろう。