心得はあるよ
「戦闘開始!」
燈馬はナイフをベルトのホルスターから外す。それと同時に刃が展開した。ミリィはポケットに手を突っ込む。何をするかと思ったら、ポケットから出した手には何かが握られていた。どうやらビー玉の類のようだ。
「?」
全く検討の付かない燈馬。ミリィはそれを空中に投げ上げた。夜空の星のごとく散らばるそれは、日の光を浴びて輝いている。
「トーマ、先に攻撃してもいいよ。」
分かった。と返し、ナイフを銃の形に変える。そして光弾を放った。しかし…
「そういうことか。」
驚くでもなく、謎が解けたことに納得する燈馬。空中にランダムに散りばめられたビー玉の数々が、それぞれ魔力でお互いを結びつけて、線で囲った部分をバリアとしたのだ。
「これは厄介だな。」
ミリィの全方位を囲むように散りばめられたビー玉。これでは全く歯が立たないという意味。
「これね、魔宝石って言うんだ。綺麗でしょ?」
のんびりとしているミリィ。絶対防御と言うものが在るゆえだろうか?
「今度はこっちからだよ。」
魔宝石が列を為す。それが攻撃態勢だと言う事に気が付いた燈馬。とっさに避けた。すぐ横を光線が通り過ぎた。
「トーマ凄いね。」
「それなりに心えはあるからな。」