9話
「行くぞっリンク君!自然から生まれし5つの力よ!混沌より生まれし2つの力よ!今、全ての敵を打ちのべすべく我に力を授けたまへ!現れよーー原初の七剣ーーー」
シュウが詠唱を唱え終わった後‥‥‥シュウの背後に輝く7本の剣が現れ、円状になりクルクルと回っていた。
えっ、詠唱魔法とかがちぃ??しかもそれぞれの剣に五大属性と光と闇の属性付与がされてる‥‥‥‥これ一般の人に向けて使うレベルを軽く超えてんぞ!!
「よしっ、これで時間内に俺が魔法を使ったから君は合格だ!これで思う存分やれるな!!」
うわぁぁぁ、喜びたいけど喜べねぇぇぇ!
「いやいやいや!タンマ!合格できれば良いんで!!」
「元気があってよろしい!行くぞ〜♪」
「話を聞けやぁぁぁぁ!!!」
まずいまずいまずいっ!!何故か知らんが脳筋が本気を出してきた!!もう合格してるのにぃぃ!!!!くそっ!詠唱を始めた瞬間に鈴を鳴らせば良かった!!そして、そろそろ身体強化の反動がくる!何とか時間を稼いでマナさん達に止めてもらうしかねえ!まずは逃げる!!
「戦略的撤退!!!」
「あっ!逃すか!!」
不意を突いて逃げたから若干距離を開けれたもののもう追いつかれそう!速すぎだろ!
くそっ!近くに協力してくれそうな奴は‥‥‥
あいつだっ!!!とりあえず少しでもシュウさんの動きを止める!!
鈴を1つだけ外し、少し魔力を込めた後にシュウさんに向けて投げつける。
「おっ!さっきのやつかい?でも君が近くにいないと魔力操作ができないから音は鳴らせないんじゃないかい!」
「鈴が一個だけでしたらね!!」
狙うのはシュウさんが鈴を切ろうとしたタイミング‥‥‥
今だっ!!!
「共鳴!!」
リーーーン、リーーーン、リーーーーン
剣についている方の鈴が音を鳴らした瞬間、もう1個の鈴も釣られるように音を鳴らし始めた。鈴の近くにいたシュウは、まだ魔力の乱れに慣れていないためフラついてしまう。
「ぐっ‥‥‥そんな使い方もあるのか!!面白い!!」
シュウさんもまさかこんな方法で鳴るとは思っていなかったらしいな!良いカウンターになったわ!!ざまあみやがれ!
げっ、少しフラついたと思ったらもう追いかけてきやがった!バケモノめ!だけどフラついている内に大分距離を離せた!こらならあいつの元に着く!
「おおーい!セジュン!!!あの人を何とかしてくれ!頼む!!」
そう。俺に協力してくれそうな奴が、さっきシュウといい勝負をしたジュンだ。こいつは意識が高くて強かったし、優しそうだから協力してくれる!!はず!!!
「ん?セジュンって俺の事か??」
「他に誰がいるんだよ!」
「俺の名前はポッセ・ジュンだっ!ポを抜かすな!!」
「俺たち友達だろう!!!細かいことは気にするな!」
「今日会ったばっかだろうが!!しかも会話したのは今が初めてだし!!」
「良いから!ジュンジュンもあの人の相手をしたいだろう!?」
「せめて呼び方を統一させろ!!!ったく‥‥したいけどもお前の試験中だろ?ていうかシュウさん魔法使ってるし‥‥‥」
「もう合格したから気にすんな!!お願い!!ねっ!!ダメ!?」
「圧が凄いんだよ!ああっもう!やりゃあ良いんだろ!!やりゃあ!!リンクだっけか?お前は早くマナさんの所に行ってこい!」
「サンキュー!」
「今度会ったら何か奢れよ!!」
「高い飯ならいくらでも奢ってやるよ!」
「よっしゃぁぁぁ!!!」
ありがたいことに協力してくれるようだ!!助かったぁぁ。あいつならだいぶ時間を稼げる!!あっ、クォーツさん達見っけ!ついでに協力してもらおう!
「イオナ様、ハオ様!ちょっとあの人を止めるのに協力して下さい!」
「「‥‥‥‥」」
あれ???なんか空気悪ない?????
「あの〜、お二人共どうしたんですか??」
「私達がお誘いした時は一回断りましたのに、あの男の人とはずくに友達になるんですねっ‥‥‥」
「ちょっとショックだったなぁ‥‥‥」
げえっ、拗ねてる!そういえば俺、この人達からのお願いを断ったんだった‥‥‥どうしよう‥‥‥
「ほっ、ほらっ!俺は合格確定なんで、もうお友達です!!ウィーアーベストフレンズ!!」
「まあ私達もほぼほぼ合格でしょうが‥‥‥」
「なんか投げやりだね‥‥‥」
「本当に時間が無いんで!!あの!できる範囲で友達としてお願い聞くんで機嫌を直してください!!どうかお慈悲を!!」
「!!」
イオナさんとハオさんが急に顔を明るくして顔を向けてきた。もしかして余計なことを言ったか?
「じゃあ私は名前呼びと敬語なしでお願いします!!」
「あっ、僕は今度の休みに一緒にお出かけも追加で」
「ずるいです!私もお出かけを追加で!!」
この人達、急に図々しくなったな!!しかも注文が多い!まあ良いか‥‥友達だしな‥‥‥無能の俺にアリス以外に初めて友達できたのか‥‥‥いや、初めてはジュンか?一応断られなかったし。
はっ!のんびりしてる場合じゃねえ!2人にジュンの援護をしてもらわないと!
「わかりまs‥‥‥わ、わかった!これからよろしく頼む!取り敢えずイオナとハオはジュンの援護を頼む!それじゃあ!!」
「ええ!任せてください、リンク君!」
「それじゃあ後でね!」
そう言って俺たちは別れた。チラッと後ろを見るとボコボコにされているジュンが見えた。何か見てはいけない物を見た気がする‥‥‥すまないっジュンっ‥‥‥
ジュン達のおかげで俺はマナさんの元へ到着した。マナさんは試験が終わったので様子を見にこっちに向かってきていたらしい。
「マナさん!シュウさんを止めて欲しいんですけど!」
「はぁ、またあの人は暴走して‥‥‥ご迷惑をかけてすみませんでした。私は団長を止めてくるので他の皆さんと合流して待機していてください。」
「わかりました」
「それではっ」
マナは銃を下に向け、魔力を放出し続けた。その反動を利用してシュウの下まで凄まじい速度で宙を飛んでいった。
はっっっや‥‥‥2、3分あればジュンのところに着くんじゃね‥‥‥銃であんな使い方あり??シュウさんより速いとかビックリなんだけど。