四月の終わり ある図書委員長の語り
転校生の桃園姫花さんは面白い人ですね～。私、尊敬しちゃいます～。蒼依君や水瀬君達に拒絶され、若竹先生やファンクラブの皆さんやクラスメイトさん達にも諫められてるのに気づかないなんて、すごいですよね～。ちなみにファンクラブは桃園さんのではなく、蒼依君達のです～。
私もよくお友達や周りの方に「空気が読めない」とか「何考えてるか分からない」とか「意思疎通出来る気しない」とか言われますけど、絶対に桃園さんには負けちゃいますよ～。
私の部下？にあたる図書委員の皆さんも「夢宮委員長があそこまで電波じゃなくてよかった！ まだ、会話がなんとか成立する人で本当によかった！」って言ってました～。「電波」の意味は分からないですけど～。多分失礼な意味ですよね～。私は確かに人とテンポ？がズレているみたいですけど、傷つきます～。
そういえば、同じく特別委員会に所属する菜実ちゃんには、いつも怒られちゃうんですよね～。なんだかんだで幼稚舎からの付き合いなので私は仲良くしたいんですけど、ハキハキした菜実ちゃんとは、やっぱりテンポ？が合わないみたいです～。
図書委員の数人には「常識人の藍川文化委員長と委員長が仲良くなれる気はしませんが、あの電波となら友達になれそうですよね」って言われましたけど、桃園さんとは私も仲良くなれる気はしませんよ～。仲良くなりたくもないです～。
だって、自分の好きな人に迷惑かける子と仲良くなんて普通に考えて無理ですよね～。私は蒼依君が好きですし～。その蒼依君をとっても困らせている桃園さんを私は好きにはなれませんよ～。
だから、同じ人を好きになった者同士、菜実ちゃんと、やっと仲良くなれると思ったんですけど、図書委員の皆さんだけじゃなく菜実ちゃんの部下？の文化委員の皆さんにも「頼むから柊様を引き合いに出して仲良くなろうとするのはやめてくれ」って止められちゃいました～。
なんでも菜実ちゃんは「ツンデレ」という子らしくて、蒼依君を好きだと認められないみたいなんです～。引き合いに出しちゃったら依怙地になっちゃって、ますますお友達から遠退いてしまうそうなんですよね～。それは、困ります～。
そうそう、桃園さんと言えば、今日の不定期開催風紀チェックで違反点が９点もついちゃったそうです～。なかなか、風紀チェックで９点なんていかないんですよ～。皆さん学園の恥にならないように気をつけますから～。やっぱり、桃園さんはすごいんですね～。
そういえば「今までは転校して来てから一週間ということで大目に見るようにって学園から言われていたけど、普段の迷惑行為を考えると本来なら余裕で２０点いってるわよ」って風紀委員長の翠先輩が言ってましたね～。
翠先輩が今日風紀チェックをしたのも我慢の限界だったからみたいです～。限界が来ちゃった理由は、昨日、蒼依君の教室のドアの前で桃園さんが騒いでいたかららしいですよ～。警備員が出動する一歩手前だったとか～。
翠先輩も私と一緒で蒼依君のことが大好きですからイラッとくるのも当然ですよね～。菜実ちゃんも桃園さんの行動に怒ってましたし～保健委員長をしている深尋先輩も困惑してましたもの～。
ただでさえ、最近は桃園さんの行動範囲が広がってピリピリしてましたからね～。三年生のところに来たときは翠先輩も度々かり出されてたそうですし～。私も蒼依君がつきまとわれている時に蒼依君を守る手助けがしたかったんですけど「余計ややこしくなる」ってクラスメイトに引き止められちゃいました～。どうしてでしょうね～。
あっ。風紀チェックと言えば、翠先輩は桃園さんに違反点をつけられて喜んでました～。それに、雪城さんが桃園さんより後ろにいたのもよかったみたいです～。雪城さんは今年から生徒会補佐になった人で私はあまりお話ししたことないんですけど、翠先輩のお気に入りらしいんですよ～。
雪城さんはまさに模範生といった身なりをしてらっしゃいますし真面目な方ですから翠先輩が気に入る気持ちは分かります～。でも、雪城さんには不思議な渾名があるんですよね～。その名も「石蕗の魔女」です～。模範生な雪城さんにどうして、そんな渾名がついたんでしょうね～。
生徒会書記の水瀬さんに「姫」とか美化委員長の胡桃先輩に「妖精」という渾名がついているのは分かるんですけどね～。雪城さんの渾名は本当に分からないです～。不気味な見た目でもないですし～
生徒会といえばゴールデンウイーク中に親交を深めるための合宿が行われるそうなんですよ～。最近は毎日皆さんでお昼ご飯も食べてるそうですし、本当に仲良しですよね～。羨ましいです～。
特別委員会は男性が体育委員長の大熊先輩しかいない上、顧問の先生もいないので、合宿とかは出来ないんですよ～。お昼ご飯も基本的に皆バラバラですし～。残念ですけど茶道部の合宿だけで我慢するしかないでしょうか～。
そういえば、桃園さんに与えられる処罰が決まったそうですよ～。５点なら苦手教科の課題とポエム作成なんですけど～。桃園さんは編入テスト以外はまだテストを受けたことがないですし～問題行動も多いので、苦手教科じゃなくてゴールデンウイーク中の必修科目の課題の量を倍に増やすことにしたらしいです～。
選択科目の課題が増えなかっただけいいですよね～。色んな人に迷惑をかけているのに、とても寛大な措置だと私は思います～。それでも桃園さんは「なんでぇ、私がぁ、こんなことしなくちゃぁ、いけないのよぉ！」って怒ってたらしいですよ～。すごいですよね～。
その上「私がぁ可愛いからぁ。嫌がらせするんでしょぉ！ そんなんだからぁ、蒼依君にぃ相手にされないのよぉ！」って翠先輩に言ったらしいんですよ～。でも、翠先輩の方が桃園さんより遥かに美人さんなのに、どうして、そんなことが言えたのか不思議です～。
それに、翠先輩は桃園さんと違って蒼依君に無視なんてされていませんし～。寧ろ仲良しさんですから～。桃園さんよりも、よっぽど相手にされてますよ～。可哀想ですけど桃園さんは、きっと、そのことを知らないんですね～。
本当に、桃園さんは面白い人です～。自分の立場が分かっていないところとか～。周りにどう思われているか知らないところとか～。お馬鹿さんなところとか～。いつまで、今のままでいられるか考えていないところとか～。
これから、体育祭や修学旅行がありますけど～。桃園さんは参加できるんでしょうかね～。その頃には学園から居なくなってたりしそうです～。少なくとも、今回の風紀チェックのみの違反点がギリギリ一桁ということで学園側にもかなり悪い印象を与えてるみたいですし～。
まだ、奨学生じゃなかっただけマシでしょうか～。桃園さんが奨学生だったら他の奨学生さん達に多大な迷惑をかけていたでしょうね～。ただの転校生で本当によかったです～。だって、桃園さん１人のせいで奨学生さん達の評価まで下がっちゃったら大変ですよ～。
桃園さんはどうなってもかまいませんけど、頑張っている奨学生さん達は応援しているんです～。もちろん、奨学生以外の外部生の方達もですよ～。私は図書委員長として、学園統治組織の一員をしていますし～。皆さんが出来るだけ幸せな生活を送れるようにしなくちゃ駄目ですよね～。
